二十笑 林間学校!6
俺達は次のペアの光樹君達とその次のペアの隼人君達のペアに肩を貸してもらって吸湿してもらっていた。
全部、俺のせいだよな……。
俺が足を滑らせなければ、明日香ちゃんも巻きぞいにならなかったのに。
明日香ちゃんは「いいよ」と言ってくれたものの、俺が悪いわけで、なかなか立ち直れない。しかも、俺、どさくさに紛れてあんな事言っちゃったし。
「俺は、明日香ちゃんと回りたかったから良かったよ」
思い出せば思い出すほど顔が火照る。明日香ちゃんが誤解する直前で俺は慌てて弁解したから明日香ちゃんは誤解しなかった。安心したけど、別に誤解されてもよかったかも。
「はあ」
「何だ? 足痛いか?」
「え? あ、違うよ。ちょっと……」
俺が訊いてきた隼人君に答えると、隼人君はにやりと笑った。
「何だ? なんか、二人きりで何かあったのかよ。進展したのか?」
「何?」
即座に光樹君が反応する。さっきの台詞を思い出して、顔が熱くなるのを感じながら、俺は首を振った。
「違げーよっ!」
しかし、隼人君はにやにやしたまま。光樹君はむすっと眉間に皺を寄せた。
「ゆっくり、部屋で聞かせてもらうからな」
光樹くんがふんと鼻を鳴らして言った。
ほ、本当に何もないのに。
「おい、白石。足大丈夫か」
隼人くんはふと思い出したように言った。
「え? あ、足、捻ってさ。ま、大丈夫かな」
「そうか。後で、シップ張りに行こうぜ」
俺は驚いて隼人君を見た。隼人君は別に赤くなったりしていない。ってことは、普通に言ったんだ。
すごい。
感心してしまう。今の台詞、すっごくかっこいい。でも、あんなこと、さらりと言えない。それを隼人君はさらりと言ったのだ。
俺も、明日香ちゃんに言えたらいいんだけどなぁ。
隼人君に肩を貸してもらいながらそう思い、俺は隼人君から目を逸らした。
この日は、俺が本当に明日香ちゃんが好きだということに気付き始めた頃だった。
翌日、林間学校が終わり、俺らはバスに揺られていた。
窓側には隼人君が座り、通路を挟んだ隣の座席には通路側から明日香ちゃん、小坂さんが
座っている。俺の後ろの座席は光樹君が座っている。星野さんは明日香ちゃんの後ろだ。
「疲れた……」
俺は一つ呟いた。明日香ちゃんはすやすやと小坂さんともたれあいながら眠っていた。
身を乗り出して、光樹君と星野さんを見ると二人とも眠っている。どうやら、起きているのは俺と隼人君のみらしい。
「なあ、片桐は、本当に言ったのか? 昨日教えて言ってたこと」
「うぇ? あ、うん……」
「じゃあ、白石が好きなんだよな。……あのさ、俺、応援したいんだけど」
急に隼人くんが話を切り出す。しかも、意味が分からない。どうしてそんな事言うんだろう。
「え?」
「先約がいるんだ。俺は、そっちの方につく。そんで、そいつに協力する。悪いけど、俺、お前に協力ができないんだ」
「それって――」
光樹君の事? それとも隼人くんの事?
そう言葉を続けようとして、飲み込んだ。
その代わり俺は、笑った。
「じゃあ、敵だね。俺、頑張るからさ。その人に勝つから」
そう言うと、隼人くんは苦笑して、
「お互い頑張ろうぜ」
と言った。
やっと林間学校終わりました。しかも、ぴったりと二十話まで。
けっこう頑張ったなあ、と思います。