十八笑 林間学校!4
空を見上げると、星が点々と瞬いている。
「ナイトウォークだぁ!」
隣で、光樹君が叫んでいた。
光樹君はウォークラリーが終わってからテンションが高い。明日香ちゃんと仲直りしたのがかなり嬉しかったみたいだ。
……俺もだけどさ。
「テンション高ぇじゃん」
「おうっ。夜の中を探検だぜ? しかも、山ん中」
「そうだなー」
光樹君と隼人君の会話を聞きながら、明日香ちゃんたちを探す。
……いた。みんなで話してる。
「明日――」
俺が明日香ちゃんの名を呼ぶ前に、光樹君がすごい速さで明日香ちゃんの方に向かっていった。そして、カチッと懐中電灯をを向け、明日香ちゃんたちを照らした。
「うわっ」
明日香ちゃんが声をあげる。光樹君はクスクスと笑っていた。
俺らも明日香ちゃんのところに駆け寄る。
「ちょっと、びっくりしただろーが!」
「ぬおっ、あっぶねー」
明日香ちゃんが光樹君に蹴りを入れる。それを避けて、光樹君が逃げる。みんな、笑っていた。
「あ、片桐君」
誰かが俺を呼んだ。みんなの動きが止まって声のした方を見る。
「上田さん……」
俺は小さく呟いた。上田さんがニコニコ笑っている。それから、俺の腕を手にとる。
「一緒に回ろう」
「なっ」
「ちょっ」
「マジかよ」
「おお」
上から俺、小坂さん、光樹君、隼人君が声をあげた。
みんな、呆然と俺を見る。
俺は慌てて上田さんの腕を払った。上田さんの眉が釣り上がる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、上田さん」
「何よ。二人一組だし、回る人いないでしょ?」
「なっ、そうだけど……」
俺は何も言えなくなった。ここで、明日香ちゃんが言ってくれたら……。
あ、あれ? べ、別に明日香ちゃんじゃなくても、隼人君でも光樹君でも言い訳で……。俺、何でそんな事思ってるんだろう。
顔が火照って行くのが分かる。
「でも、あ、あのさ、俺、上田さんと……」
「ちょっと待って!」
少し諦めかけた時、誰かが声を張り上げた。顔をあげると、声を張り上げたのは小坂さんだった。
「上田さん、片桐君はさ、回る人がいるの。だから、無理だよ」
「そうなんだよ! あたしと回る予定なんだ!」
「あ、明日香ちゃん?」
俺がきょとんとしていると、上田さんはチッと舌を鳴らした。
「そう。じゃ、仕方ないわ」
上田さんが去って行く。
小坂さんと明日香ちゃんは、「はあ」と溜息をついた。
「どうしよっか。あたしはともかく、慎ちゃんと回るね。さっき、言っちゃったし。ばれるとまずいから。澪、ごめん。あたし……」
「大丈夫! じゃあ、あたし、村井君と行こうかな」
「……そうだな。俺、ちょっと、小坂に言いたいことあるし」
「え?」
何か、俺と明日香ちゃん、隼人君と小坂さんペアができている。これって、ラッキーかも?
「ちょっと、待て!」
このまま収まるかと思ったが、光樹君が声をあげた。
「何で、俺は星野となんだよ!」
「嫌なのかよ」
明日香ちゃんが光樹君に詰め寄る。光樹君は「うっ」と声をだした。
「い、嫌じゃねーよ」
「じゃあ、いいじゃんか」
明日香ちゃんが鼻を鳴らす。星野さんはほっと胸を撫で下ろしていた。
何か複雑だなあ。
林間学校編長いですねー。
この林間学校編はちなみに、フィクションです。
(その前に引越していますし、実際の話は小学生の頃の話ですから)
あ、だましてたってことになりましたが、自分はだますつもりはなかったのです。
すみません。orz