俺<慎之介>のもう一つのプロローグ
俺は、片桐慎之介。今日、この街に引越してきた。変な時期に引越してきたが、仕方ない。
そして、明日、母さん達が色々と手続きをしなきゃいけないから、家を留守にする為、父さんの友達のところに預かられる事になった。それは良かったんだが、そこに住むのは俺と同い年の女子らしい。女子とだなんて、ちょっと、不安。無意識に、溜息をつく。
「兄ちゃん? どうしたの?」
弟の敬之助が溜息をつきながら段ボールを運ぶ俺を心配そうに尋ねてきた。
「何でもねーよ」
「ほんと? なあ、兄ちゃん。僕な、明日楽しみ。お兄ちゃん、友達になれるといいね」
「うーん、そうだなぁ。でも、女子だし」
「大丈夫だって。だって、お兄ちゃんと同じ小学校だったんでしょ?」
「そう聞いたけど……」
「だったら大丈夫だよ。だって、あの小学校悪い子いないもん」
「まあ、田舎だしな」
ケイ(俺は、そう呼んでいる)はにこにこと笑うと、俺の隣の部屋に段ボールを置きにいった。
俺は自分の部屋をぐるりと見渡す。アパートだから、一つ一つの部屋は小さいが、俺は自分用の部屋があることだけで満足だ。段ボールの蓋を開き、入っているものを取り出す。
ここって、向こうよりは都会だよなあ。ちょっと、不安。つーか、明日、大丈夫なのかなぁ? だって、相手は異性だし。
「ちょっと、慎之介ー? 手伝ってくれ!」
父さんの声がする。俺は短く返事をして、俺の部屋を後にした。
このとき、俺は不安を感じながらも、ちょっと浮かれてたのかもしれない。
なぜなら、少し胸の高鳴りを感じていたのだから。
この話は、二つの視点から、書こうと思います。でも、主人公は明日香なので、多分、明日香の方が文字数は多いはずです!ww
頑張っていきます!