十三笑 あたしの親友と悩み事
結局、あたしは慎ちゃんとも、光樹とも話すことなく、日が過ぎて、林間学校当日になった。
「明日香! おはよう!」
あたしが、旅行鞄をぶらさげていると、澪から声を掛けられた。
「おはよっ、澪」
挨拶をして、バス停のベンチに座る。当日は、駅に集合して、それからまた別のバスに乗るらしい。
だから、あたしは澪と約束をして集合した。
「ねえ、明日香さ、高橋と全然と話してないよね」
「うっ」
痛い所を突いてきたなぁ、もう。
「まあ、ちょっと」
「この前の奴でしょ。それからだもん、話してないの」
「そーだね。でも、あたし全然何もしてないだけど。あいつが勝手に切れたんだよ」
「へー、何があったのよ」
「うーん、あのね」
あたしは、喧嘩する前の日の放課後の事を話した。ついでにあたしと慎ちゃんの関係を。それを聞いた澪はしばらく「うーん」と唸った後に、言った。
「それは、正論だねー、明日香」
「でしょ?」
「ふむ」
澪はまた考え始める。澪は考え始めると止まらない。あたしはじっと待った。ついでにバスも来て、あたしたちは黙って中に入り、座席に座る。
「そうか、分かった。ふーん、そうかそうか」
一人で納得する澪。あたしには、さっぱりだったので、少しむすっとした。
「ねー、何が分かったのよ」
「内緒。これ言っちゃうとあたしも怒られらちゃうよ」
「は? 誰が澪に怒るんだよぉ。ね、教えて!」
「だーめ」
澪がいじわるくニヤニヤと笑って言う。あたしは諦めて、話題を変えた。
「ねー、今日のナイトウォーク一緒に行かない?」
澪は、しばらく考えた後、うーんと唸った。
「ごめん! あたし、ナイトウォーク行かないの。ちょっと、夜は苦手でさ。確か自由参加でしょ? 明日香、変わりに行って、どうだったか教えてよ」
「えー、澪が行かないならあたしも――」
「いや、行ってきて!」
澪はあたしがやめようとしたら、断言する言い方をした。
澪って、そんなに夜が苦手だったっけか……。
「ともかく、行くこと! 大丈夫、面子はあたしがそろえてあげるから、安心して」
「うーん、分かったよ」
なんとなく納得いかなかったけど、あたしは結局行くことにした。
あたしが返事をすると、澪はひとりでにうむと頷いて、それから大きなあくびをした。
「眠いの?」
「まあね。あたし、昨日眠れなくて」
「そうだったんだ。じゃあ、バスが着いたら、起こしてあげるよ」
「おっ、サンキュー!」
澪はもう一度大きなあくびをすると、ひじをついて手に寄りかかるような格好で目を閉じた。あたしは、窓の方を向き、雲ひとつない空を見上げた。
男子ってわけがわからん。
感想いただきました! ありがとうございます! 嬉しいかぎりです!
さてさて、やっと林間学校の始まりです……4話は続くかもしれません……てか、続きます。ご了承下さいませ。