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特別な関係  作者: 夜明け
12/57

十笑 あたしとあいつ

 ちょっと、言い過ぎたかも。

 あたしは、翌日の四時間目に溜息をついた。国語の先生の声が全く耳に入らない。時計をちらりと横目で見るとあと、三分で終了だった。

 今日の午前中、まだ一回も慎ちゃん――片桐とは話してない。昨日、あんなこと言って、気まずいのだ。片桐を見ると、どうやら友達も出来て、けっこうしゃべったりしていた。


「でも、アノ言葉に嘘なんか言ってないし」


 そう。あたしは、嘘なんか言ってない。本当のこと。それに、アノ話は終わらせたんだから気まずくなんてないし、反省するつもりもない。自分で自分に言い聞かせた。

 キンコーンカンコーンとチャイムが鳴り、あたしは席を立って、給食の支度をした。


「おい、明日香」


 あたしが席を横に向けて、隣の席と正面になるように机をくっつけると、斜め右から声をかけられた。


「何、光樹?」

「お前さ、今日一言も片桐としゃべってねーだろ」

「うーん、そうだね」


 分かってるよ、と心の中で舌打ちする。


「少しは話せば?」

「は? 用もないのに、しゃべれないって」


 あたしは、笑っていってみせた。しかし、光樹はむっとして、突っかかってきた。


「話すことなら、たくさんあんだろ!」


 あー、逃げれないか。めんどいなぁ、もう。

 周りから、「何だ? 夫婦喧嘩か?」と声がする。


「別にないよ。昨日の話は、あれで、終わったんだって。終わりって言ったじゃん」

「お前の中では、だろ!」

「そう。だから、あたしは話すことなんてないでしょ。あったとしても、話があるのは、あちらさんだから」


 あたしが正論を言うと、光樹は声を詰まらせた。あたしは別に間違ってない。


「何だ? どうしたんだよ、光樹」


 横から、隼人が声をかけてきた。しかし、光樹は隼人の顔を見ると、ますますむすっとなり、


「何でもねぇ!」


 と乱暴に言い放った。そのまま、教室を出る。


「何なんだ、あいつ」


 隼人が不思議そうに言った。あたしだって、聞きたいよ。


「なあ、白石。本当に、何があったんだよ」

「別に。何でもないよ。あたし、覚えないから」

「そうか」


 ふーん、と隼人が相槌を打つ。


「なあ、白石。今日さ、空いてる? 今日は木曜だから部活休みだろ」

「え、ああ、うん」

「ほんじゃ、ゲームしようぜ」


 急な誘いに、あたしの声が裏返る。


「え! まじで言ってんの?」

「当たり前。ついでに、勉強しようぜ」

「あ、うん。分かった。ほんじゃ、三時に行くよ」

「おう」


 隼人はにっと笑うと、そのまま去っていった。


 隼人と勉強&ゲームかあ。


 あたしは、にやけそうな顔を必死に抑えた。

えっと、サブタイトルの章節を変えさせて頂きました。全部統一しないと面倒なんで。ということで、これから“笑”を使いたいとおもいます。

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