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変化者の唄  作者: こげら
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変化者への試練

「で、ここに帰って来る事になるとはな」

ラディは、自分の家に帰って来ていた。 

地上にある、不思議な光沢を放つ、小さな家。

 助けてもらった、シェルターからは、かなり離れていたが、教えてもらった今いる場所の位置と、自分が前にいた地下都市の位置から、だいたいの位置を割り出して、たどり着けていた。

 

ただ、今になって、この場所は地図上では存在せず、人間の地図では谷になっていて、岩しかない場所とされている場所だった事が判明してしまった。


つまり、何重もの映像や妨害波で、絶対に探知できないように、カモフラージュされていたのだ。


ラディが家の中に入ると、普通に明かりが付き、部屋が明るくなる。

 ふと、リビングの椅子を見て、ちょっと前のアムとの喧嘩を思い出していた。


とりあえず、寂しさや切なさのような感情をふり払い、ラディはメールなどを見ていた端末をさわり、「船について」

と、探索してみる。

しかし、何も起こらず、昔の木造船から、宇宙船までの歴史が流れ出す。


「最強の船について」

と言うと、昔の巨大客船や、戦艦の紹介になる。


しばらく、検索を続けるも、全くひっかからず、手がかりすら出て来ない状況に、

「うーん。ここに船は無いのか?」とラディが呟いた時、目の前に手形マークが出てきた。

手形の上には、点とうねうねした線で作られた言語が並んでいるが意味すら分からない。


ふと、昔のスパルタ教育を思い出す。

「絶対に画面には触れるな、触れたら殺す。と言われていたな。なんか、ヒビが入ったりしたら、修理できないからとか、色々言われたな」


昔を思い出しながら、ラディはゆっくりと手形に自分の手を合わせた。


その瞬間。

 光が画面からあふれ、天井から、光の柱が落ちて来て。


ラディの姿はその場にいなくなっていた。



「ラディの馬鹿」


しおれた花のようなアムは相変わらず、部屋の隅でうずくまっていた。

「かわいい顔が、台無しではないか」


ノックも無しに女性の部屋に入って来る黒づくめの人間。

「また、あんた?常識の無い奴と一緒に居たくないの。出て行ってくれないかしら?」

黒づくめの人間を視界に認めるとすぐに反対方向を向いて、吐き捨てるアム。


「ははは。いつになく嫌われたものだ。だが、ここからは逃げられんぞ。おとなしく、従った方が身のためではあるのだがな」

「この、枷を外してくれたら、従ってあげてもいいのよ?」

アムがにらみながら返事をすると。


「下手に出ていれば、いい気になるな!半分風情がっ!」

と黒づくめは突然叫び、アムを思いっきり、蹴りあげた。

そして、しばらく何かが壁にぶつかる音と、殴られる音、女の子の悲鳴がしばらく続き、静かになった。


黒づくめが出て行った後は、再び部屋の隅にうずくまり、アムは全身の痛みに、ラディがいない寂しさに泣き続けるのであった。



「くっ。痛っ」

ラディが体を起こすと、全身に走る痛みに顔をしかめた。


周りは、今までいた家の中ではなかった。


人間が4・5人で抱き抱えてやっと一周できるくらいの巨大な柱。

天井がかろうじて見えるくらい高い天井。

「家じゃあ、  ない?転移?この先に船があるのか?何にも分からないけど、行くしか無いよな」


ラディは一人呟くと、奥へと入っていく。

巨大な神殿の中を。


と。

いきなり、虹色の光が柱の影から放たれる。


ラディはとっさに体をひねり、光をかわした。

少し避けるタイミングが遅かったか、右腕が一部えぐられた。

「ぐっ。はっ」


ラディは、あまりの痛みに変化を行う。

変化と同時に、白い煙が右腕から立ち上ぼり始めた。

黒い塊が、再び放たれた光を余裕で避ける。


「放射能が薄いっ」

ラディは、体の重さを感じながら、光の発射元へ走って行った。

光は、竜を形どった銅像の開いた口から発射されていた。


「これを倒せって事かよ」

叫びながら、ラディは拳を振るう。銅像の頭を殴る寸前。

全く違う場所から、光がラディを狙って飛んできた。

無理な態勢から、さらに無理矢理に体をひねり引きちぎれそうな

痛みを無視して光を避ける。


ラディの体から上がる、煙の量は少し増えていた。

そして、ラディの目の前で、光は柱に当たり、反射して奥へと消えて行く。

「ありかよ。それ」

竜の口から3発目が発射されたのが見えた。


ラディは分かってしまった。

時間がかかればかかるほど、射線が増える。  

そして、避けれなくなる。


「厄介すぎるだろっ。威力は一撃必殺ものだろうがっ」

叫びながら、再び、竜に接近するラディ。


黒い拳が竜に接近すると待っていたかのように光が襲いかかって来た。

ラディは、今度は少しだけ体をずらす。

 光がラディの左腕を喰らうのと、ラディの右腕が竜の頭を打ち砕くのは同時であった。


「ぐっ。がっ」

左腕を押さえるラディ。

そのラディが見たのは、再び飛んで来る光。

「まだあるのかよっ!」

怒鳴りながら、走り出す。光をかわし、

血と煙を撒き散らしながら、ラディは2体目の竜の頭を打ち砕いた。

 その瞬間。 

再び、ラディは白い光に包まれ、その場から消えていた。














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