表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変化者の唄  作者: こげら
11/17

変化者への試練 3

ゆっくりと、ラディが目を覚ます。

さっきまで、青と黄色の世界にいたはずなのだが、目の前は、真っ赤だった。


今、ラディは丸いテーブル状の岩の上に寝ていた。

岩の下では、赤い何かがぼこぼこと音を立てている。絶対落ちたら、駄目だと分かる色と姿であった。


ガランと、向かいの大きめの岩が赤い何かに沈んで行くと、ジュッと音を立てて岩が消滅した。


「はは。溶けるのかよ」


その姿を見て、冷や汗を流すラディ。

ゆっくりと体を起こす。


どのくらい、寝ていたのかはわからないが体の傷は治っていた。


足場は悪く、あちこちの岩場は崩れかけている。


ラディは、体や腕をぐるっと回す。


「こういう時は、異常な回復って便利だよな」


そう呟くと、ラディは大きい足場へと跳び移った。


ラディが着地したとたんに、地面が揺れ出す。

 バランスを崩して、しりもちをつくラディ。


岩場を取り囲むように、何本も火柱が上がる。


そして、その火柱がラディの真上で集まり一気に落ちてきた。


「だあっ」


力いっぱい地面を蹴り、その場を飛び退く、ラディ。


地面を真っ赤にしながら、地面に溜まった赤い水溜まりは空中に()()()いき、て長い蛇の形を作り始める。


「また、長いやつかよッ!」


愚痴を叫びながら、赤蛇の形が出来る前に、ラディは拳で殴った。


「があぁぁっ」


全く手応えがなく、疑問に思った瞬間。凄まじい痛みが走る。見れば、右手はぼろぼろに焼け爛れ、黒ずんでいた。


「殴れない相手?」


完全な形になった空中に浮かぶ蛇を見つめるラディ。


右手は早くも白い煙を出して、回復を始めている。


蛇が口を開け、塊を吐き出す。


あわてて、避けるラディ。足場は少しだけ赤くなり、すぐに黒く固まっていく。


「飛んでる相手は、もともと苦手なんだよなっ」


近くに転がっていた、ちょっと大きめの石を投げるも、赤い蛇を貫通し、はるか向こうまで、飛んで行った。


うねうねと、空中をうねる蛇。


「全く効かないとか、勘弁してくれ」


ラディが弱音を吐いた時、蛇はラディの真上で、トグロを巻く。


嫌な予感がしたラディは、両腕で顔をおおい、後ろに跳んだ。


真上から、無数の火炎弾が降り注いだ。


「あちっ!無理無理っ!」


叫びながら、耐えるラディ。


黒い体に火がついたかのように白い煙と、赤い火が立ち上ぼり出した。


「ちょっと、限界かも。動けなくなっちまう」


じりじりと範囲外に逃げようと後ろに下がるラディ。


すると突然、火炎の雨が止み、蛇は、ラディに突撃してきた。


身体中が焼けてしまっているラディは避けきれず、吹き飛ばされた。


足場の外へ。

「があっ!」

岩場の下にある崖のような岩に右手を突き刺し、落ちるのを防ごうとする。


しかし、右手は今までのダメージでぼろぼろになっており、落下の勢いに耐えれずちぎれた。


「っがああああああ!」


凄まじい痛みに襲われるラディ。しかし、落下は止まらない。


「死ねるかぁっ!」


ラディは自分の背中の角を左手でむしりとり、壁に突き刺した。

数メートル落ち、落下は止まる。


そのまま、あまりの痛みに意識を失うラディ。


しかし、すぐに目を覚ます事になった。

赤い池から蛇が上がって来たのだ。ラディにぶつかり、ラディを飲み込んだまま。


あまりの痛み、熱さに叫び声も上げれず、再び岩場に落とされる。


体の黒は、炭化したものなのか、もともとのモノなのか、分からなくなる。


ラディの中で、時間の流れがゆっくりになる。


「死ぬのか。ごめん。アム」


もうろうとする意識の中、ラディは女性の姿を見た。

顔も分からない、人間と思われる女性。


すっ。と女性がある方向を指差す。


再び、蛇が空中でトグロを巻き始める。


指差された先に、青い宝石のような光を放つ、丸い機械が見えた。


何か分からないが、ラディは全ての力を込めて、獣のように3つ足で力いっぱい飛ぶ。


「がッああああああああ」


左手もボロボロになっているため、頭でその青い光を叩き割った。


その瞬間。蛇の動きが止まり、わずかな時間を開けて。

空中の蛇が溶けるように崩れていき、赤い池に落ちていく。


光りに包まれる中、ラディはゆっくりと女性にその頬を撫でられる。


「かあ、さん?」


 ラディは、光りに包まれたまま意識を失うのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ