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第30話神樹と少女3

 テントに入った私は、マジックバックに入れておいた、水が張られたタライを取りだすと水浴びを済ませ、敷布に横になった。


 袋から出たピーちゃんが私の横で丸くなる。彼は、すぐにピーピーと可愛い寝息をたてはじめた。

 私もそれほどたたずに眠りに落ちた。

 だから、テントが大勢の人に囲まれても、全く気づかなかった。


「おい、起きねえか」


 誰かが、私の肩を揺らすので、目を覚ます。


「か、頭!

 こりゃ、上玉ですぜ。

 高く売れやすね」

「ああ、そうだな。

 だけど、なんでこの小娘、石なんか抱いて寝てるんだ?」


 誰だか分からないけど、いい人たちではなさそうだ。

 それに、ピーちゃんを石と間違えるなんて、失礼にもほどがある。

 私は、ここのところ使っていなかったテレパシーを使った。


『ピーちゃん、起きてる?』


『なんか、うるさいな。

 なに、この人たち』

 

『どうも、悪い人たちみたいだから、やっつけていいよ』

 

『えっ?

 燃やしてもいいの?』

 

『それはダメ。

 動けない程度にやっつけて』

 

『えーっ、殺すより、そっちの方が難しいのに』

 

『とにかく、お願いよ』


『ちぇっ、まったくメグミは竜づかいが荒いよ』


 ◇


 盗賊の頭は、少女が抱いている石が動いたような気がしたが、最初、それを魔術灯の光が揺れたせいだと考えた。

 しかし、確かに、石が動いている。

 

「どっ」


 どういうことだと言おうとした頭は、意識を失った。

 その石が、彼の顔めがけ、すごい勢いでぶつかったからだ。


「がっ」

「ぎっ」

「ぐっ」

「げっ」

「ごっ」


 盗賊が一人、また一人、地面に倒れていく。

 最後の一人が倒れるまで、それほど時間は掛からなかった。


 ◇


 私は、倒れている男たちの手足をヒモできつく縛っておいた。

 武器は全部取りあげ、マジックバッグに入れた。


 少し離れたところに、なぜかライとレフが倒れており、顔とハゲ頭がたくさんのたんこぶで膨らんでいた。


 二人は、ピーちゃんに頼んで大きい方のテントに運んでもらう。


「こ、ここは?」


 目が覚めたライが、言葉をもらす。彼の両目は腫れあがっていて開いているか閉じているか、分からなかった。


「テントの中よ」


「あ、メ、メグミさん」


 私に気づいたライは、起こしていた首を、なぜかがっくり落とした。


「う、ううう」


「レフ、大丈夫?」


「な、なぜ、メグミさんが?」


「倒れていたあなたたちをテントに連れてきたの。

 いったい、どうして二人は、あんなところに倒れていたの?」


「……きっと、罰が当たったんだと思います」


 そう言うと、レフもがっくり首を落とした。

 二人は、あまり開いていない目から涙をながしながら、黙っている。


 私は、次に何をするか、ピーちゃんと相談することにした。


「ピーちゃん、おいで」


 盗賊が他にいないか周囲を見まわっていたピーちゃんが、私の胸にすとんと収まる。


「ピーちゃん、この人たち、どうしようか?」


「メグミは、神樹様の仕事に人手がいるかもしれないと考えてるんでしょ?」


「うん、そうだよ」


「じゃ、みんなに働いてもらえばいいよ」


「うーん、でも、この人たち、言うことを聞いてくれるかしら」


「メグミ、ボクがどうやって君を見つけたか分かる?」


「そう、それが不思議だったのよ。

 どうやったの?」


 ピーちゃんは、もごもごと何か呪文のようなものを唱えた。

 私の左手に魔法陣が現われる。


「なに、これ?」


「メグミの居場所が分かるように、魔法で印を付けておいたの」


「へえ、だから私がどこにいるか、分かったのね。

 そういえば、結界はどうしたの?」


「秘密のトンネルから結界の外に出たんだ」


「えっ!?

 それは、封鎖されたって言ってなかった?」


「あれは、嘘だよ」


「なーんだ」


「怒らないの?」


「だって、ピーちゃんは私のためを思って嘘をついたんでしょ?」


「……どうだったかなあ」


「まあ、いいわ。

 とにかく、この倒れてるおじさんたちに、ピーちゃんの印を付けるのね?」


「そうそう、そうすれば、どこにいるか分かるからね」


「ライとレイにも付けておいた方がいいかしら」


「この二人は、頼りないから、別の意味で付けておいた方がいいね」


「うん、分かった。

 じゃ、ピーちゃん、お願い。

 だけど、こんなに沢山の人に印を付けても大丈夫?」


「この形の魔法は、ほとんど魔力を使わないから、こんな人数ならへっちゃらだよ」


「じゃ、お願いね、ピーちゃん」


 こうして私は、おじさんたちに、神樹様の仕事を手伝ってもらうことにした。


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