「04」 時は2900年!
オッサンと別れ、『結城 花楓』と名乗る少女に案内されたのは、大通りの一角、見上げるほどの巨大ビルだった。
建物の上部にはでかでかと『Itugi corporation』の文字が輝いている。
ここに来てからというもの、Bigな物が多すぎないか...と、悠人は心の中で呟いた。
少女の計らいでロビーを抜け、エレベーターと思しきものに乗り込む。
中に入ってから、10秒くらいだっただろうか。
「740階です。」
という無機質な声と共に扉が開き、長い廊下が現れた。乗っているときは揺れ1つ感じず、動いているなんて微塵も感じなかった。
しかも740階って... どんだけ高いんだよ...
少女の後に続いて、廊下を進んでいく。
ところで...
「か、花楓さん... で、なんで俺はここに?」
聞きたい事は山ほどあったが、まずは根本的なところから... しかし...
「あの方に会えば、教えて下さるはずです。」
「あの方?...」
そんなことをしているうちに、廊下の突き当りまできた。
目の前には淡く光る扉があり、静かな機械音と共に左右に開いた。
「どうぞこちらへ。」
堅苦しい口調で、部屋の中へ案内される。
一面ガラス張り、美しい夜景を望む部屋。中は薄暗く、広い室内とは対照的に物が少なくすっきりとしていた。
そして最奥には、一人の男がソファーに鎮座し、外の景色を楽しんでいる。
「やあ。悠人君。君に会うのを楽しみにしていたよ。」
鋭い目つきと黒い髪が異彩を放っているその男は、微笑んで悠人を迎えてくれた...
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