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    「03」 見知らぬ少女

    -----目が覚めたら、「知らない場所」に居ました-----

 漫画やアニメでよくある『異世界転生系』のパターン...


       ---まさしく悠人は()()に直面していた。---


 かと言って巨大なトカゲや亜人、剣士がいるわけではないのだが、()()()()()

天を貫くような、超高層ビル。沢山の人々。

 

そして、頭上をかすめて過ぎ去っていく無数の『(なに)』か。言葉で表すとすれば、『小型羽根無し飛行機』...


 「な、なぁ...オッサン。 さっきっから、頭の上飛んでるやつ...  あれなんだ?」


『疑問に思ったことは聞いてみる』、いつだったか幼い頃に、母が言っていた言葉... そのせいか、自分の『心得』として、今でも心の中にしまってある。


 「...おいおい、おめぇ~さん...『車』も知らねぇ~のかぁ~?」


『酔っ払い』の言ってることが理解できなくなってきた。


 「車って...道路を走ってるもんだろ! 少なくとも、俺の知ってる車は宙には浮かないぞ!」


 -----そう、『車は道路を走るもの』... その認識が、これまでの人生の中で捻じ曲げられたことは皆無だった----- 


 「道路ぉ~? 何百年前の話してんだぁ~。 ()()()...ってのが付いてたんだろぉ~。 それよりあれ見ろ、あれ。」


 オッサンは、 遠くの方を指さす。


 『何百年前』という語が気になりつつも冗談だと思い、その方向に目をやる。その先には、巨大な...


 「ホロ...グラム...?」

 呆気にとられ、無意識のうちに(つぶや)いていた。


 見ると、空中に映像が映し出され煌々と輝いていた。


 -----「はい! NPC48の皆さん、心温まる歌をありがとうございました! さて、今年も残り僅かとなりましたので、『黒白(こくはく)歌合戦』出場者の方々と一緒にカウントダウンをしていきたいと思います!」-----


 女性の司会者の声と同時に周りにいた人々が熱狂し、秒読みが始まった。


黒白(こくはく)歌合戦』、毎年大晦日になると放送される歌番だ。それは悠人も知っていた。

 しかし、司会者は見たこと無い人だったし、出場者の名前も知らないものばかりだった。


 そして何より、まだ()()()()()()筈...だ...


 -----「「「はちっ! ななっ! ろくっ! ...」」」-----


 考えている間にも、時間は飛ぶように進んでいく...


 -----「「「さんっ! にいっ! いちっ! ...」」」-----


『パパパーーーーン!』と大きな音がして、人込みから歓声が沸き起こる。


 -----「皆さま! 明けましておめでとうございます! 2900年、今年も宜しくお願いします!」-----


 映像に映った司会者は、満面の笑みで... 『2900年』、そう...言った...


 「...2900年? はは... 冗談はよしてくれ... さっきから『空飛ぶ車』やら、『ホログラム』やら、なんなんだ、一体!」


 悠人の頭の中は、疑問符で埋め尽くされていた。


 -----ど、ドッキリだよな... きっとそうだ... そう信じたい... それならそうと、早く『ドッキリ大成功!』とか書いた看板、持って来いよ!-----


 自分の考えを肯定する。


 「おおぉ~! 年が明けたぞぉ~、あんちゃん! 30世紀だ、30世紀ぃ~!」


オッサンはまだベロベロだった。


 「そういやぁ~ おめぇ~さん、いくつだ?」


名前より先に歳を聞いてくる人を初めてみた... ただでさえ頭が真っ白だというのに、余計に拍車をかけてくる。


 「え...あ... 歳? ええーっと、16だけど...」


 「へぇ~ て、こたぁ~...」   


今度は指を折って、何か数えだした。


 「おっ! 2884年生まれかぁ~! じゃぁ~()()の完成した年と同じだなぁ~!」


 オッサンは再びどこかを指さした。

そして、指さす方を見て再び目を疑う。


 周りより一際目立った、円柱形の細長いタワーのような建造物... 雲ひとつ無い夜空、タワー全体が様々な色の光を放っているにもかかわらず、目を凝らしても先端が全く見えなかった。


 「『宇宙エレベーター』... 知ってるだろぉ~?」


 一瞬寒気がした。『宇宙エレベーター』、聞いたことはある...()()()()()だけは... 


 しかし、『完成した』なんて話は聞いていない。

かと言って、ドッキリの為だけに作れるような物では決して無い。


 「オッサン... い、今って... 西暦...何年?」


 「どうしたぁ... いきなりぃ~... 今は...」


 だがそこで、言葉は()ざされ、代わりに後ろから声がした。


 「西暦2900年です。」


 慌てて後ろを振り返る。


声の主は、小柄で短い髪を後ろで束ねた、可愛らしい少女...


 「会話に割り込んでしまい、申し訳ありません。」


 歳は悠人と同じくらいで、愛おしい姿とは裏肌に、少し大人びた口調が印象的だった。


 「結城 花楓(ゆうき かえで)と申します。 改めて、ようこそ30世紀へ、橘 悠人(たちばな はると)様。」


そう言うと少女は深々と(こうべ)を垂れた。

 

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