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第13話『魔の手』

 日が傾き、赤みが増していた山麓。ダンジョン地下五階層、秘境の湖。犬獣人のスティルと兎獣人のレポリが訪れていた。澄んだ湖は、水源のない獣人村での生活水として重宝され、度々麓を降りて水が運ばれている。水質が良くて底が見透せるこの湖では、多種多様の水生生物が生息。今日日、獣人たちの食料調達にも利用されている湖だ。

 レポリは湖に腰まで浸かって、浅瀬に回遊する魚を狩っていた。普段から無断で村を抜け出していた二人。唯一、獣人村の門番テディルタには外出が見つかってしまう為、お土産の一つに魚を取って渡す事で、和解、懐柔していた。

 一方のスティルは怪我が治ってなく、水が傷口に染みそうなので、本日は陸地で見学モードである。

 しばらくして、魚を三尾程捕まえたレポリは湖から上がってきた。

「お疲れー、レポリ」

 陸地に座って眺めていたスティルの横に座り、両手と口に加えていた魚を地面に置く。魚がピチピチと地面を跳ねていた。

「なんで村長は人間なんて入れたんだよ」

 湖の遠くを眺めながら、レポリはボソリと呟いた。

「悪い人じゃなかったからだと思うよ」

「はあ? 人間だぞ、スティル?!」

「でも、助けられたし」

 スティルは指で土に線を描きながら、小声でそう言った。お互いに黙り込むと、しばらくせせらぎの音が続く。

「……俺さ、いつか地上を見てみたいんだ」

「地上を?」

「そうだ! どんなか知らないけど、死ぬまでには絶対に行きたい!」

「その時は僕も一緒だよ!」

「怪我人は置いてくからなあー」

「んぅー……」

「ウソウソ! んじゃ、そろそろ帰ろうぜ!」

 話題は放棄し、レポリは帰路へと向かう事にした。新鮮な魚を抱えると立ち上がる。その瞬間、レポリは意識を失って地面に倒れた。ドチャリと音を立てて地面に沈むレポリ。気を抜いてたスティルは一瞬ポカンとするも、慌ててレポリを起こそうと立ち上がった。その後、スティルは頭部に衝撃を受ける。一瞬で視界は切れ、浮遊感を最後に意識が途切れた。

「二匹ゲット。ついてるね」

 森林の物陰から、一人の男が近づいてきた。頭部に角が生え、細長い尻尾が垂れている。人間を模しているが人間ではなく、獣人族にも似て非なる存在。それは魔界の住人、悪魔族である。

 彼は倒れる獣人の子二人を持ち上げると、森林の中へと消えていった。地面には取り残された魚が三尾、虚しくも跳ねるだけだった。日が沈む。




 フリューゲル集会所内。現在は負傷者たちを寝かせる為にスペースを割いている為、移動スペースは人一人分だけの幅しかない。人を踏まないよう気をつけながら、ルフは受付嬢のいるカウンターへ。カウンターでは目にクマのついた受付嬢が欠伸をしていた。

「んあぁー……どうも、ルフくん。お疲れ様っス」

 今にも失神して眠りにつきそうな、とろんとした瞳で受付嬢は挨拶をする。

「……大丈夫か?」

「ええ、心配いらないっスよ。精算っスね?」

 眠たそうな受付嬢はいつも通りに処理を行う。ダンジョン探索に出ていたルフ。地下四階層にて採集した薬草と引き換えに報酬金を手にした。

「じゃ、またよろしくっスー」

 欠伸をしながら手を振って見送る受付嬢。集会所を後にしたルフは、そのまま負傷者が並ぶ大通りへ。日が沈んで薄暗くなり始めた街中。光る包帯を巻いた負傷者が、不本意にも光源になって辺りを照らしていた。ルフはシートの引かれていない通路部分を歩いて、ウィンディーネが眠っているシートへ。

 そこに座っている青髪の背中を見た瞬間、ルフは足を早めていた。意識が戻ったと知って、押し込めていた心配が暴れ出す。一秒でも早く、その声を聞きたいと。そうして慌てて駆け寄るルフに気づいたのか、ウィンディーネは振り向く。

「ルフ?!」

「ウィン──」

 ガッ!

 足元不注意。疎かになった足は僅かな地面の掘りにまんまと引っかかる。するとどうだ、ルフの小さな身体は前方へと派手に飛び上がった。それを目の当たりにして、咄嗟にウィンディーネがルフの身体を受け止めるも、勢い余って地面に倒された。

「むぎゅ」「ッだ?!」

 ウィンディーネにルフが伸し掛る形になってしまった。大慌てで横転しながら身体を避けるルフ。

「ごごごごごご、ごめん!! 大丈夫か?! どっか怪我は──」

 呂律の回らない口で必死に対応するルフに、ウィンディーネはギュッと身体を抱き寄せる。ただでさえパニック状態なルフの頭は、ウィンディーネの行動によって完全にオーバーヒートを起こして固まってしまった。

「あ、あぁ、あ、あの」

「ルフぅううう……」

 急に泣き出し始めたウィンディーネに、戸惑いを隠せないルフ。

「あ、え、あう、ウィンディーネ?」

「無事でよ゛がっだあ゛ぁあああ!!」

 なんて大号泣される。そんなウィンディーネの姿に、ルフは涙を誘われてしまい、この後二人でめちゃくちゃ泣いた。


 数分後。お互いに感情が収まった所で、二人でシートの上に座り込む。ルフは、ダンジョン探索で解熱作用のある薬草を採集していた。それをウィンディーネに手渡す。

「まだ熱が引いてないだろ」

「うん、ありがとう」

 ウィンディーネは手渡された薬草をそのまま食す。あくまで薬草であり、味は苦味が強い。渋い顔で薬草を食べ切るウィンディーネ。

 それからルフは、ウィンディーネに近況を説明した。被災状況、ダンジョン探索、フィノの負傷。

「それとだ……狐火が」

「狐火さんに何かあったんですか?」

「ウィンディーネに薬草を持ってくるって、一人ダンジョンに乗り込んで……その、まだ帰って来ねぇ」

 昨日の朝にダンジョン探索へ向かった狐火木ノ葉。ルフは狐火の安否が気になって、ダンジョン探索の薬草採集を兼ねて、狐火捜索に今朝から向かっていた。しかし、地下四階層草原に、狐火の姿は見当たらなかったと言う。一難去ってまた一難、新たな不安の種にウィンディーネの顔は曇った。

「心配です。狐火さん、厄介な事に良く巻き込まれやすいですから……」

「あぁ、この前もあいつ──」




「──ッぶぇッくシュンッ!!!」

 どこぞの誰かが私の話題で盛り上がっているらしい。

 日は落ちて夜が始まる獣人村。私とエシは、本日も村長宅にお世話になっていた。目の前では村長が晩御飯を作っている。赤毛の長髪にケモ耳、スカートから垂れる尻尾。人型獣人の女性は料理中の為にエプロン姿だが、たまにこちらへチラリと振り向く様がお母さんのようで尊みの塊だった。是非とも毎日味噌汁を啜らせてくれ。

「師匠、風邪ですか?」

「むしろ水浸しになったエシの方が風邪の恐れありなんだが」

「そんなあなたに、私特製スープをどうぞー!」

 晩御飯の支度を終えた村長が食卓にスープを置いた。香ばしくも甘い、それでいてスパイスの効いた香りが漂い、食欲がそそる。風邪は引いていないが、もし引いているならば身体に染み渡って泣き出してしまうのではないかという具合には、お母さん味を感じてしまう香りだ。

「あ、もうヤバい。食べずとも美味いってはっきり分かんだね」

「村長お墨付きよ? おかわりもあるからたんとお食べ!」

 そうして食卓にメインディッシュやドリンクが並んで、村長との晩御飯が始まる。そんな時、ノックなしに村長宅の扉が勢い良く開かれた。

「村長!!」

 飛び込んできたのは門番、半竜半人の獣人テディルタだった。中腰で膝に手をつけ、肩で息をする様は、疲れと焦りを感じる。

「な、何用かな、ジャクトゥ?」

 テディルタは呼吸を整え、唾を飲み込むと口を開いた。

「スティルとレポリがいなくなった!」

「?!」「………」「なんと?!」

 犬獣人のスティル、その友人のレポリ。二人はテディルタの許可の元、村を飛び出して麓へと遊びに行った。夕方頃には帰ってくるよう約束を交わすも、帰ってこなかった為、テディルタは山中を今の今まで捜索していたという。テディルタは門番として日々山林を監視し、隅々まで迅速に行き来ができる。しかし、捜索も虚しく発見には至らなかった。

「私が甘かったばかりに、こんな事態になってしまった! 申し訳ない!」

 テディルタは膝を付き、頭を地面に付けて謝罪をする。

「困った……君が見つけられないとは……」

「……エシ」

「行きましょう!」

 晩御飯はお預けだ。私はスティルとその友人を見つける捜索に出る事にした。

「君たち、どこへ?」

「スティルと、そのお友達を探しに行くよ」

「この機に乗じて、逃げるつもりではないのか……」

 テディルタは顔を上げ、私を細目で睨み付ける。そんなテディルタに対して、私は近寄って手を差し伸べた。

「そんなつもりないよ。それに、君なら逃げる私たちを簡単に捕えられるでしょ、テディルタさん」

 それを聞くと、テディルタは微笑し、私の手を取って立ち上がった。

「人の手も借りたい所。今だけは信用してあげる、人間」

「狐火木ノ葉、よろしくね」

 こうしてテディルタと共に、私とエシの二人は山林の捜索へ出る事になった。テディルタは上空から、地上を私とエシの二人で見て回る。狼獣人にも事情説明をして、同じく捜索班として参加。夜間の捜索が始まる。


 山林、獣人村入口前の岩壁。狼獣人とテディルタ、私とエシの四人が集まっていた。これからそれぞれ山中の捜索をするのだが、

「一つ注意があってなあ、テディルタ?」

 狼獣人がチラッと目線をテディルタへ送る。

「セネゴレアについてだ」

 この山中にのみ生息する、竹林に擬態する巨大な生物の事である。獣人村への道中で狼獣人に説明はしてもらっていた。普段は地面に埋まっていて、長大な鋏角を地上に伸ばし、竹に擬態。その上を通過した生物を捕食する、蟻地獄のような生物だ。

「私はセネゴレアの鳴き声を真似て、セネゴレアに指示を送る事ができる。捜索中は、セネゴレアの動きを止めておくが、あくまで指示の範疇を出ない。最悪は捕食される可能性も秘めている事を覚えておいて」

 血の気が引いた。擬態を見分けてなるべく近寄らないようにしたい所。

 忠告を入れたテディルタはそのまま、上空へと飛び上がった。狼獣人も、私たちにサムズアップをして瞬きをしないうちに斜面を滑って消えていった。二人、ポツリと取り残される。

「師匠、どうしましょうか?」


《……》


「……? 何て?」

「師匠、どうしましょうか?」

「あ、あぁー……とりあえずあてもないし──」


《……》


「…………」

 何か変な感覚が走る。例えようもないが、無理に例えるとしたら……磁石に引き付けられる砂鉄のように、目線や身体が一方へと向いてしまう。直感的に、なぜかその方角が気になって仕方がない。怖い話や映画などを見た後のシャワータイムで、異様に背後から気配がするように。例えられました、おあとがよろしいようで。

「よし、行こう!」

「はい、師匠!」

 夜間捜索が始まる。その一歩が地に着くとズルりと盛大に滑って、私は急斜面を滑落。幸いにも、すぐ側の竹に引っかかって助かった。

「ししょーーーーッ?!!!」

「いったあ……」

 出だし早々に全身ズタズタになって萎える。土を振り払い、竹を手に立ち上がると、私はその違和感に気がついた。僅かな浮遊感、足下の地面が微かに動いている事に。

「っうわぁああああああ!!!」

 ガンダッシュでエシの元へ。たまたま引っかかった竹が、まさかセネゴレアの鋏角だったとは思わなかった。とするなら、先程まで口の上に乗っていた事になる。テディルタの指示によって止まってくれていたが、そうでなければ今頃胃の中だ。

「……ふぅー、こっわ!」

「師匠、慎重に行きましょう!」

 再起する。足元に注意を向けながら、私たちは斜面を下り始めた。

 どうも、星野夜です。全くもって創作意欲が戻らず、ここ一ヶ月は何もできていないクリエイターです。クリエイターと言う言葉は、最近だとYouTuberを彷彿とさせるからか、個人的にはあまり好かないんですが、でもYouTuberをやっていた頃もあったんですわ。暇だし、YouTuberに戻ってみようかと思いましたが、創作意欲が死んでるので唯一手が付けられている小説執筆をしていく所存。


 さあ、自分語りなんてそこそこに、今回は第13話をお送り致しました。スティルとレポリが行方不明となり捜索へと出る、そう言った回でした。さりげなくルフちゃんとウィンちゃんの再開もありました。自分で執筆しといてこんな事いうのもアレですが、ルフ×ウィンディーネ尊すぎるだろ!

 いいか、狐火木ノ葉! 絶対に間に挟まろうとするんじゃあないぞ! 良く言う百合の間に挟まる男と同義だかんな! もし、ルフとウィンディーネの間に挟まると言うのであれば、この星野夜がお先に──




 どうも、星野夜です。あれ? なぜかデジャブを感じるんですが、まあ良いでしょう。今日も今日とて暇人の小説作家です。最近はなぜか趣味に手がつきません。誰かに呪われているのかもしれません。


 さあ、本日は第13話……まあ、いいか。皆、本編読んでから後書き読んでるだろうし。

 とにかく僕が言いたい事は一つ。ルフ×ウィンディーネは尊い、という事だけだぜ。


 じゃあ、執筆活動に戻るとしようかな。とは言いつつも、モンストに興じるのもまた一興とか言い訳して引っ張りハンティングしようかな。

 ハンティングといえば、モンハンですね。ここしばらくはモンハンもしていません。最新作はまだですか? 出たらもう全力で一狩り一人で駆り出る所ですが! 個人的人生経験的ナンバーワンゲームイズモンスターハンターなのですから!


 脱線も脱線しきったトコロバ、そんだばそろそろ終わりにしようか。

 呪いなんじゃないっすか、創作が手につかないのも。

 じゃあ僕は呪力操作をマスターしに行こうと思います。それでは皆様、次話の後書きにてまた会いましょう。

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