第12話『ささくれ』
朝のフリューゲル北部。青髪の少女、ウィンディーネは疲弊した身体を無理に起こして、負傷者の並ぶ路上を右往左往していた。
それを見兼ねた便利屋の男性店員が声をかける。
「おはよう、お嬢ちゃん」
フリューゲル南部にて、ウィンディーネが買い物に出向いていた便利屋。その店員として働いていた男だ。
「先日は助かったよ」
「怪我は大丈夫ですか?」
ウィンディーネにそう問われた男性は呆れて首を傾げる。
「はは、まんま言葉を返させてもらうよ。君の友人が心配していたぞ?」
ウィンディーネを北部まで連れてきてくれた少年の話、一日意識を失っていた事、少年はダンジョン探索に出掛けている事を、男性店員は説明した。名前こそ出なかったが、それがルフである事をウィンディーネは悟り、一安心する。しかし、
「……君の知り合いだろう人物が、重症で意識が戻っていない。君の友人の友人だが、確認しに行かないか?」
男性店員の言葉に、一気に顔が曇るウィンディーネ。男性店員が言う人物が、ルフの友人とするならば、十中八九、ウィンディーネの知っている人物である。なにせ、ルフもウィンディーネも、フリューゲル出身ではなく、海を越えた先の街、ガルモーニャからやってきた。友人と言える存在は、フリューゲルまでの道中を共にしたフィノと狐火木ノ葉、唯一フリューゲル在住のルフの姉であるノヴァ。この三人に絞られる。
「……行きます」
「分かった、案内しよう。その、覚悟はしてくれ」
男性店員は少し狼狽えつつも、ウィンディーネにそう告げる。そして、男性について行き、負傷者たちを横切って着いたスペース。そこに、寝かされている重症患者の姿が目に入った途端に、ウィンディーネの頭は真っ白になった。
「…………フィノ?」
ウィンディーネと同じくらいの背丈、赤い髪と作業着、その上から発光する包帯で全身が巻かれている。血が包帯に染み込んで黒く変色していた。重症を負ったのは、フィノだった。
ウィンディーネは足を進めようとして、体幹が崩れて転けてしまう。未だに下がらない熱と疲弊した身体は言う事を聞かない。男性店員がウィンディーネの身体を持ち上げると、フィノの所まで担いでくれた。
「頭から胸部まで一直線に切れていた。すぐさま裂傷を縫い合わせて一命は取り留めているが、意識はまだ戻ってはいない」
男性店員はそう説明をした。ウィンディーネは手のひらをフィノに当てて、治癒魔法を放とうとしたが、その様を見た男性店員はウィンディーネに待ったをかける。
「君の実力は医療班を通して聞いた。底なしの治癒魔法、強度精度共に優れたヒーラーだ。しかし君は、魔素欠乏症になる寸前まで酷使し過ぎた」
魔素欠乏症。身体の魔力が空になるまで酷使する事で起きる。完全に使い切ると死に至るが、使い切らずとも過剰に魔力を出力した際に、魔力の放出を司る箇所、出力点に負担がかかる。出力点に負荷を掛けすぎると、一時的ではあるが魔力を練られない状態に陥る。魔力供給をしようとも、出力点をしばらく休ませなければ、魔法は不発や暴発などに繋がってしまい、まともに使用ができない。
今のウィンディーネは、負傷者の治癒を優先して、ただでさえ高コストの治癒魔法を連続で使用。出力点は悲鳴を上げていた。
「でも、フィノが……」
「今は辛抱してくれ。できる処置は全てしてある。君がここで治癒魔法を無理に使用して死んでしまっては、彼女が目を覚ました時に悲しむぞ?」
ウィンディーネは男性店員の言葉に黙り込む。フィノは処置が施されている。もう自分にできることは無い。男性店員の言う通り、見守る事だけが今できることだろう。
「君も負傷者だ。しばらく休憩した方がいい。動けるようになってから、銭湯へ行ったら良い。風の噂だが、すぐそこの旅館が、負傷者たちに無料で風呂を開放しているらしい。風呂は命って言うしな、お嬢ちゃん」
「……子供じゃないです」
「そうだ、散歩に行こう」
突然、エシはそんな事を言って立ち上がった。獣人村の村長宅。私、狐火木ノ葉とエシはリビングでゆったりしていた最中だった。
「何、そのどこぞのCM的なそれは?」
「CM?」
「あ、こっちの話だから」
エシはバッグからスケッチブックを取り出す。
「師匠、獣人村なんて滅多に来れる場所じゃないですよ?! インスピレーションが湧いてくるってもんです!」
エシはスケッチブックを手に、うずうずとしていた。彼はダンジョン探索を通して、絵に新たな風を吹き込もうとしている。獣人村、人間が到達する事の無い秘境は、確かに刺激的だろう。こんな室内でダラダラヒキニートしてはいられないらしい。当の私は、引きこもり万歳だったので、家に残って村長とイチャイチャしようかなって考えていたが、暇は暇たらしめる。とどのつまりは引率係にでもなってあげようと思った。
「師匠も一緒に来ますか?」
「行こう、暇だし」
本当なら暇なんかじゃない。いち早くフリューゲルに戻って、ウィンディーネとフィノを確認しに行きたい。が、それはまだ無理な話。元は人間として獣人たちに殺される身。そこを、狼獣人の教師や教え子、医者と村長の意向を経て、命を繋いでいる。ここですぐに村を飛び出すには、人間の私たちへの信用が足りていない。村を出てすぐ、人間を引き連れて殲滅に戻ってこないなんて保証がない。つまりは現状、獣人村に幽閉という形となっている。村を出なければ、獣人の情報が外に漏れる事がなくなるからだ。今はタイミングを図り兼ねている。
総評、暇である。やはり暇人だった。今出来ない事に考えを巡らすなら、できる事をできるだけ。思考を切り替え、ここは一つ、秘境である獣人村の経験値を貯めてみる。滅多に来れないなら尚、良い経験ではないか。
「ししょー、良い事言いますねー! 自分、泣きそうですよ」
「人の心勝手に読まないで貰えますかぁ?!」
そして、エシとひっつき虫は獣人村を散歩しに行く事にした。以下は私、狐火木ノ葉が経験した話である。
獣人村。ダンジョン地下五階層の峻峭な山林、頂上の大きな一枚岩の中に存在する村。かつてフリューゲルで行われた獣人殲滅から逃げ切った、生き残りの獣人族たちが住む。小規模な集落、木造建築が点々とする村。私、狐火木ノ葉と弟子のエシは、前人未到の獣人村を探索する事となった。
太陽がさんさんと煌めく中、二人の人間は散歩する。私はインドア派で散歩など滅多にはしない。散歩という行為が新鮮そのもの。獣人たちは今日も、何一つ変わらない日常を過ごす。こうして村を回っていると、獣人にも人型や獣型、その混在する獣物も多種多様。獣人族と一重に言っても、その派生はかなりの枝分かれをしている。
隣を歩くエシは、相変わらずぶっきらぼうな顔で獣人を観察していた。すれ違おうものなら肩をぶつけてきて慰謝料請求とかしてきそうである。
村を回っていると、たまに住民が私たちに手を振ってくれたりした。反対に毛嫌いするように避けている獣人もいるが、そこは人それぞれと言った感じだ。
「どう? インスピレーション的には?」
「そうですね、獣人村って感じがします」
「それは獣人村だから獣人村って感じなのは当たり前に感じ取れる事だよね」
頭がポカポカし過ぎている。お花畑超えてエデン。ぼーっとしているから、こう、頭の中がぼーっとしているんだと思います。
そんな一行に水が差される。パシャリと冷たい飛沫が飛び、ハッとすると横を歩くエシが全身びしょ濡れになっていた。
「村のみんなが認めても、俺はお前らを信じねぇ!!」
背後の怒号に振り向くと、そこには獣人の子が空のバケツを手に立っていた。長い耳が立ち、白くて艶やかな毛並み。兎獣人だ。
「……クソガキが。師匠がせっかく溜めた水を無駄遣いしやがって」
エシはふつふつと頭に血が上り始めている。下手したら手を挙げそうなので、こちとらスタンバイしておく。
「うるせぇ! そんなの知るか!」
「水をぶっかけんのに、何リットル使った?」
エシは兎獣人にそう訊ねる。
「それがなんだって言うんだよ?! お前らの作った水なんか飲んでやるもんか!」
意地っ張りか、人間への憎しみか、バケツをエシに投げ飛ばして、兎獣人は言い放った。エシは投げつけられたバケツをキャッチする。
「優しい奴だよ、お前は」
「はあ?」
それは意外な言葉だった。私も、敵意を向ける目の前の獣人もまた、狐につままれる。てっきり、暴言を吐いて喧嘩上等のスタンスで来ると思っていた。エシは私が思う以上に大人かもしれない。いや、どの口が言うんだと、一人突っ込む虚しい私。
エシは続ける。
「憎むべき『人間』に、貴重な水を使ってくれたんだ。それが例え、師匠が作った水でも、獣人村を支えてくれる水に変わりない。それを俺なんか『人間』に使ってくれるんだ、お優しい馬鹿丸出しのノータリンがよぉー!」
エシは満面の笑みで煽った。私が間違いだった。彼はやはりクソヤンキーである。これなら先程の「優しい奴」発言も単なる皮肉だったと知る。
煽りを受けた兎獣人は、その身体能力を活かしてバネのように跳躍すると、エシへと飛びかかった。エシは手に持ったバケツを使って、兎獣人の拳をガードする。
「ウサ公、何が気に食わねぇ?」
「お前ら人間が生きている事だ!!」
「じゃあ、殺すか?」
エシはバケツを投げ捨てると、地面に寝転がって無防備を晒した。
「何してるんだよ?!」
狼狽える兎獣人。この喧騒は人目を集め始めていて、周りに獣人たちが集まりだした。
「人間が獣人にした仕打ちは人伝に知ってる。獣人が人間を憎むのも当然。生まれる以前の話だ。俺は獣人を嫌う権利はねぇ。それと同じで、お前は俺を嫌うだけの理由がねぇーだろ?」
「は、はあ?! 何言ってんだよ、お前は?」
エシは、隔離された獣人村に暮らす獣人の子が、人間に恨みを持つ理由がないと言う。獣人村が二十年程前にできた村と、狼獣人が言っていた事を思い出した。私たち以外の人間にその存在がバレていないのなら、昨日までは獣人村に人の手が伸びていない事になり、獣人の子は人間に出会う事もなかったはずだ。つまり、獣人の子は人間に対して恨みを持つ要因がないと、エシはそう言っている。
「獣人村で生まれ、今の今まで人間に出会う事のなかったお前が、人間に何を持って手を下す? 誇りか? 常識か? 敵討ちか?」
エシは獣人の子に、人を殺す意図を探ろうとしている。ただのクソヤンキーではなかったか。このエシ、できる。
兎獣人は言う。
「人間だからだろ!」
「人間だから、だけか? まるで人間みてぇな考え方してんな、笑えるぜ! 獣人のみを駆除対象にした人間のように、お前は人間のみを殺して生きろよ、兄弟!」
煽りだけは止められない性らしい。兎獣人はそこまで言い切られ、戸惑ってその場の勢いに任せそうな所──
「そこまでにしてくれませんか?」
獣人の女性が割って入り、兎獣人の手を止めた。保護者だろうか? 女性は気まずそうに、目線を逸らしながら口を開く。
「みんな、怖いんです。平穏が壊されてしまうかもしれないと。あなた方は私たちにとって敵にはならない事は分かりました。それでも人間と獣人、それだけで分かり合えなかった過去の経歴は、簡単に消せるものじゃありません。ですから、あなた方や村の子供たち、新しい世代の、『憎しみ』をまだ持つことの無い子供たちが、この種族間を繋げてくれると、私は信じています」
その女性は寝転がるエシに手を差し伸べる。意外な行動に一瞬固まるも、エシはその手を取って身を起こした。
「許してください、彼に悪気はありません。ただ、私たちを守ろうとしてくれているだけなのです」
そう言うと、その女性は深々と頭を下げた。私は慌てて女性の頭を上げさせて、愛想笑いの一つしてしまう。重い空気に耐えられなかったが故のコミュ症ならではのそういうアレなんですよ。読者の君が首を突っ込まないでいただきたい。
「あははっ! こちらこそ、うちのエシが失礼しましたー! ほんっと、喧嘩っぱやい子でしてねー!」
「師匠ーー?!」
両者、納得してはなさそうだったが、反発する二人を引き離す為に、私はエシの手を掴んで明後日に走り出した。
その場に取り残された獣人女性と兎獣人の子。女性は兎獣人の背丈に合わせて座り込み、じっと目を見つめて話す。
「あの二人を許してあげて。獣人と同じで、人間にも色々な人がいるわ。私たちを理解して、あんな事をしたと──」
「うるせぇ! 知るかよ!」
兎獣人は女性の説得を遮って一蹴すると、その身を振り払って駆け出した。
「……何なんだよ、みんな」
不貞腐れた兎獣人は、気分転換に友人宅を訪れる事にした。友人宅の扉をノックし、しばらくすると友人が扉をゆっくり開け、出てきた。そしてすぐ、その異変に気づく。
「スティル?! どうしたんだ、その体!!」
友人、犬獣人のスティルは、負傷につき、胴体を発光する包帯を巻いていた。
「なんか、遠くまで行き過ぎて、すっごい強い奴? 見てはないけど、なんかズバァーッて斬られたんだよ! もう、めちゃくちゃ痛い……」
スティルは心做しか嬉々として話す。
「ちぇっ、お前と外に行こうって思ったのにー、それじゃあ、無理かー」
「レポリ! 無理なんて誰も言ってないよ?!」
「へへ、そうこなくっちゃ!!」
スティルは兎獣人のレポリと共に、再び村の外へと冒険に行く事にした。二人は所謂、問題児だった。良く、二人して村を勝手に飛び出し、外の世界を冒険する。獣人村のような閉鎖環境では感じられない、広大なエリア。見た事ない景色や動植物。男の子の好奇心をくすぐられて止まないだろう。何より遊ぶ場所のない獣人村は、子供たちにとっては退屈この上ない。
犬獣人と兎獣人の二人は俊敏性に長け、その素早さと身のこなしで人目を避け、難なく村の外へ。岩の中から山林へ飛び出す。しかし、そこで必ず、門番に見つかってしまう。いつも通りの事である。
「怪我人を連れて冒険とは、これ如何に」
頭上から落下し、二人の前に着地する獣人。獣人村門番、竜獣人のテディルタだ。普段から一枚岩の上で監視を続けているテディルタ。どうやっても、必ず脱出がバレてしまい、今日も今日とて止められているのだった。そして、スティルとレポリの懇願が始まる。
「テディー、いつもみたいに見逃してよー!」
「いいじゃんか、ちょっとくらい! また魚取ってくるからさー!」
しかしテディルタは、子供に甘かった。
「夕暮れまでには戻ってくる。約束するか?」
「「はい!!」」
「返事だけは良いんだからもう」
テディルタは二人の頭を軽く撫でるとニコリと微笑み、持ち場の山頂へと飛んで行った。これもまた、いつも通りだった。こうして、二人の冒険は幕を開ける。
「全く……何も知らないくせに威勢だけは良い奴め」
びしょ濡れになったエシを連れて、再び獣人村を散策する私。集落を越え、獣人村最奥部の壁にぶつかる。何も置かれていない、ただ目の前にそびえる壁があるだけの空間。獣人村が更に発展していった際には、この空間に新たな建築物が作られるのだろう。
「改めて見ると、迫力がすごいね。これが俗に言う巨大物恐怖症かー」
獣人村を取り囲むように存在する岩壁は、例える所の十階建てのマンション程の高さ。夕暮れ時は日が傾く事で、巨壁の影が村を覆う。通常より早い段階で日没が訪れる。
エシは壁に腰をかけて座り込んだ。私も隣に腰をかける。集落より少し離れ、何も無い空間。人けは当然なし、少し離れた所から村人たちの声や生活音が届く程度。
「師匠、この際だから少し聞いてもいいですか?」
エシは濡れた着衣を所々で絞りながらそう聞く。二人きりになったタイミングの真剣な話と言えばカミングアウト的なアレか、デリケート的なアレか、もしや私に惚れてしまったか!
「師匠、違いますよ。自分なんかよりもっと良い人がいますから」
あれ? 私一言も言ってないんですが、勝手に心読まれてから勝手にやんわりお断られてますが! なにこれ、すっごいグサって来るんですが!!
そんな失恋少女は無視されて、エシは私へと疑問を投げる。
「師匠は救える命を救いたいって、そう言ってましたが……その救った命が別の命を奪うとしても、救いたいと思いますか?」
苦手な話だった。そもそもギャグ属性の私が真面目な話など頭が痛くなって頭痛になってしまう。
「私はなるべく人を死なせたくない。だから、救える命を救う。その後に、その人が誰かの命を奪うようになるかなんて、神様じゃないから分かんないよ。救いたいと思うのは、その人の命が惜しいって思えるからじゃないかな。結局、自分が救えるものって自分にとって都合がいい人たちなんだよ」
そう語るも、小恥ずかしくなる。何を格好つけているんだとツッコミを入れたい。共感性羞恥って言うんだっけ? そんな事言えば、そもそもこの小説の根本から叩き直す必要があると思う。
「失ってからでは遅いじゃないですか」
エシの声に怒りが含まれたように感じる。
「だから、失わないように強くなるよ。何があっても、道を踏み外さないように。後悔しないようにね」
捻くれ者の捻れた信念。紆余曲折こそあれ、終点までは走り切る。この命が終わる時までには、物語にピリオドを打つ。どんなに癖毛だろうと、一本の筋は通したい。それこそが主人公だと、主人公なりの結論である。尚、癖毛は生まれつきの宿命だ。
「師匠って不器用ですね」
「器用貧乏と言ってもらおうか!」
「何はともあれ、自分は師匠の力になりたいです。師匠が取り零した物を掬う、それこそ弟子の自分の役目! ですが、もし自分が師匠の辿る道を外れたその時は、師匠が自分を救ってください」
どこか遠くを眺めながらそう言うエシ。大変恐縮なのですが、無性に笑けてきました。
「あははは! 大丈夫だよ、エシ! 師匠に任せなさい!」
ちょっと師弟関係上、格好つけてしまった。エシのお願いを断りはしないが、全うできるかは自信はなかった。むしろ、自分の方が道を逸れる恐れあり。我、我に在らず。本能の赴くがままに。そしたら獣人村についてしまったのだから。
「じゃあ、そろそろ行こっか!」
そうして立ち上がろうとして、エシに止められる。
「ちょっと絵に残しておきたい景色だったものでつい。師匠、そこに立ってもらっても良いですか?」
なんてエシに言われて立たされる。エシは、水が染みてほぼ使い物にならないスケッチブックを取り出し、中央部分の水が浸透しきっていない所を一枚ちぎると、スケッチを始めた。私と背後に広がる獣人村の集落、それを取り囲む岩壁。デッサンされると分かったので、とりあえず何か適当にポージングでもしておく。昼下がりの獣人村にて。
「本当にここで良いのか?」
一人の男が暗闇の中、何者かと遠感魔法を通して会話をしていた。
『間違いは無い。魂の滞留はその周辺にある』
「周辺ってまた、あやふやな」
『最低でも一体、いや、実験用に複数体用意して欲しい。生死は問わない』
「物好きだねぇ、ゼロ。そんなに欲しているのなら、自分で来たら良いのに」
『適材適所だ。期待している』
遠感魔法はそこで途切れた。男は面倒くさそうにため息を吐き、肩や首の骨をボキボキと鳴らす。
「嘘も方便って? 馬鹿がよ」
どうも、星野夜です。皆様には関係ありませんが、今先程、めちゃくちゃ長い後書きを書いて満々満足一本満足していたんですが、保存する瞬間にブラウザが落ちました。長文全てが無に帰しました。もうやる気も何もかもが消え失せました。くっそ自己満長文後書きで、後書き史上ランク十位以内に入る良い出来だった為に、消えた瞬間のストレスが半端ない。貴方には関係ないでしょうがねぇ!!!! さあ、もう私に後書かせないでください。いや、お前が勝手に後書いてんやろとか言わんといてぇえや!!!
もう書く事も失われたのでここで終わっておきます。以上、後書きに命を燃やす小説家、星野夜でした。




