第16話『合流』
幽霊の街と呼ばれる『ナチャーロ』はその呼び名の通り、幽霊の目撃談や都市伝説が語り継がれている故。一晩泊まれば心霊体験に没頭できる名スポットとして名高く『クルィーロ』国内では有名な街である。広くない街に人々が犇めき合って押しくら饅頭とはこの事かとは言い過ぎだろうけど、人口密度の非常に高くて毎日がお祭り騒ぎの雑踏だかりだ。
その街の集会所にて、フィノはラーヴァと言う放浪人と共に高難易度クエスト『コンキロスの魔物討伐』を受注し、旧都市へ行く事に。廃墟と化し、魔獣魔物以下略が蔓延る旧都市の魔物掃討に当たり、フィノは今回の旅の目的である、ウィンディーネの姿を確認するが、彼女は正気を失い、狂気一色に染まってしまっていた。その彼女に一撃を加えられて、フィノは力尽きる。
「コード・ルイン。お前を殺せて良かった」
フィノの視界は暗転していき、そのまま地面に倒れ込む。その刹那に、閉じ込めていた記憶が鮮明に蘇り、意識を取り戻すフィノ。
すっかりフィノを倒したと気を抜いていた紫髪のウィンディーネ、通称リドゥラ。油断した一瞬の隙で、自分が地に顔をつけていることに気が付く。そして、フィノが自分の首を強く締めて伏せさせている事にも。呼吸が止まり、頭が回らないリドゥラ。
「……あはははははっ!!! 落ち着こうか、ウィンディーネ? ほら、もっと君は可愛いんだからさ?」
バチバチと音を立て、フィノの手から電気が走り、リドゥラの体を通電して全身を麻痺させていく。身体の痙攣と呼吸困難によってリドゥラは失神してしまうが、フィノはお構い無しだった。
「さぁ、家に帰ろうか、ウィンディーネ」
首を絞めながら、意識を完全に失ったリドゥラを引き起こすとーー
「テティス、真一点先へ」
そう唱えると右拳でリドゥラの顔面を容赦なく殴りつけた! 顔と拳のその僅かな隙間に、小さなステータスの板が幾重にも重なり反発し合い、ステータスが弾かれ、リドゥラに衝撃を加える。その威力は殴った直後に周囲に暴風が巻き起こり、岩盤を叩き割って貫き、たまたま地下にある空間へとリドゥラの体を吹き飛ばした。破砕音と共に砂塵が発生して周囲の魔物を巻き込んでいた。
「あまりにも度が過ぎてますよ? さすがの力ですね、侵食心眼」
砂煙に視界を奪われて顔をしかめつつ、ラーヴァは少し楽しげに呟いた。
「どこか分かりませんが巨大な空間で私、狐火木ノ葉VSゼロの名シーンが展開されています。某アニメーション制作会社から『変態的作画としてうちでは賄いきれない』と言われている名シーンです! この狐火が!」
「「頼むからしっかりと前回のあらすじとか喋ってくれないか? ただでさえ、時間列ぐっちゃぐちゃなんだからさ?」」
ルフはそう問いかける。
ナチャーロ街中にて、幻覚を操作するリセットと言う男と私は戦闘に陥り、倒されて気を失い、ナチャーロ集会所の奥にある休憩室で寝かされていた。そこに、ゼロと言うウィンディーネと全く同じような見た目をした男の子に連れ去られて、敵のアジトと思われるどこか暗い空間に投げ出されていた。その際、なぜか私の住む街のギルド嬢が助けに入るも負けてしまって一緒に連れ去られていた。その中にルフが突如天井を突き破って落下して来て、私の加勢をする事に。ゼロに対して魔弾をぶち込むルフ。火、水属性が通用しないゼロに対して、ウィンディーネ同様で雷が効くと察したルフは、特殊な魔弾の力でルフの姉である静電気人間ことノヴァの魂を自らの身体に同化させて雷属性の攻撃を放つ所である。
「「赤色雷砲弾!!」」
ルフとノヴァが重なり濁った声。銃口から放たれる白い光は、真っ暗だった空間全てを包み込み視界を奪う。バチバチと電気の走る音と何かを破壊する騒音が響く。視界を閉じている彼らは皆、ゼロにその攻撃が受け流されてしまっている事は気づいていない。が、ゼロも予測しない方向からの攻撃を受け流せず、飛んできた物体に吹き飛ばされた。
「っ?!」
「っがあああ!!!」
ルフの技による白光の陽性残像で視界が開けないその中、人らしからぬ雄叫びが耳に入った。ゼロの声とはまた違う声。身体をビクつかせる私。その雄叫びはなぜだか聞き覚えのあるような気がしていた。
「「よっしゃあ! 効いてるぜ!」」
周囲の視認ができるぐらいに視界が回復すると、そこには喜ぶルフの姿と、その奥に倒れ込むゼロの姿。なぜだか視界が揺らいでゼロが二人いるように見える。
「「狐火? あのね、私の目には敵が二人に見えるんだけど、気のせいかな?」」
ルフの中に混ざっているノヴァがそう問いかけるが、私にもどう見ても二人いるようにしか見えないので、あれはきっと幽体離脱的なノリのネタとかそういうもんなんだと言い聞かせたいところだけども、きっとそのネタは通じない事を知ってるので、あれは何なんだというところです、はい。
疑問だけが横行してる中、倒れている一人のゼロが立ち上がり、曇った表情をして倒れているもう一人のゼロを見つめていた。その顔には打撃を受けた傷が付いていて、魔弾の電撃攻撃を受けた形跡がなかった。
「ーーあはは! なーんか楽しい事になってるね! ちょっと混ぜてよ」
馴染み深い棒読み感のある緊張感なしの声が上から落下してきて地に着地する。なぜか珍しく右肩に銃痕のような傷がついていた。
「あれー? ウィンディーネが二人? ご家族の方ですかー?」
「……分が悪い。仕方ない、ここは気が乗らないが引き下がるとしよう」
フィノが加わり、狐火、ギルド嬢、ルフの計四人。さすがにゼロも都合が悪いらしく、狐火の事は諦めたようだった。
「「簡単に逃がしてやるかよ、喰らえ! 雷線針空弾!」」
即座に銃口をゼロへと向け、放った砲撃は空。何も射出されてはないが、一直線の電気の線のようなものが空を走り、ゼロへと向かっていく。と言うよりは発射した時、既にゼロに着弾してるように見えた。あまりものスピードに目が追いつかなかったのだろう。同時に、ゼロへの起動がズレたのも確認できた。
「「外れた?! 避けるもなく……まさか軌道だけズラされたのか?! そんな事が……」」
困惑するルフ。その隙に、ゼロは身体を液状化させて地に吸い込まれるように消えてしまった。
ひとまず、私は攫われずに済んだようだ。
「いやー、大変な目に遭ってたみたいだねー、みんな」
呑気に笑顔で倒れているゼロ?に歩み寄るフィノ。ズタボロのボロ雑巾のような身体を持ち上げ、無理やり引き起こす。頬に一発ビンタを何気ない顔して叩き込んだ。
「ほら、起きなよ、ウィンディーネ」
「……ん……な、なに?」
か細く消えそうな、でも透明度の高い綺麗な声が戦場に響く。泣いてしまいそうなほど、それは私が何よりも望んでいたものだった。ここまでの道中、どれほど歩いてきたのか分からないけど、私にはとてつもなく長い道のりでもあったし、楽しくやって来ていたのとは裏腹に、辛いと言えば辛いものがあった。死んでしまうかと何度も思った。でも、この声がまた聞けるのなら、それら全てを差し置いて良いと思う。さぁーー
「ウィンちゃん! 戻ろう、一緒に!!」
今世紀最大の加速を見せつけ、ウィンディーネの元へと駆け寄る私。そしてそのままウィンちゃんの胸元にダイブを決め込み、勢いのままウィンディーネを押し倒す。
「あはは、元気がいいねー。何かいい事でもあったのかい?」
「その発言は著作権が怖いので修正してもらってもいいでしょうか、フィノ殿!」
「……い、痛いですよ、狐火さん」
少し泣きそうな可愛らしい顔を見下しつつ、私はドヤ顔でこう言った。
「痛いのは生きている証だ! 誇れ!」
「言いがかりですよ……」
さて、何やかんやで攫われつつも本目的をなぜか達成したのだが、どうやらこの空間は『ナチャーロ』の旧都市『コンキロス』にある地下アジトらしく、地上では魔物がのさばっているらしい。この地下アジトから脱出に当たって、地上の魔物に出くわし総攻撃を仕掛けられる可能性を考慮し、無事に『ナチャーロ』へと帰還するため、帰還前にフィノちゃんが受けた高難易度クエスト『コンキロスの魔物討伐』をクリアする事で安心安全にご自宅への帰宅を促す作戦に入る事になった。
現状で動ける者は、
私こと、狐火木ノ葉
銃士のショタドラゴン、ルフ
どうやら地上で現在戦闘中の放浪人、ラーヴァ
なぜかいるギルド嬢
この四人に限られる。フィノはズタボロで再起不能になったウィンディーネを敵襲から守護する役割となったため、攻撃班には含められないが、絶対に攻撃を防ぐフィノちゃんのステータスバリアがあれば、ウィンディーネ含め、二人は少なくとも安全圏が確保されている。これなら安心して全力を出しても巻き添えにならない。
「まあー、ここまでの道中で二回程はステータスを壊されてるんだけどねー。いやー、人生初めての経験だからさー、驚いちゃうよー」
「へぇー! ついでにこの私と一緒に人生初めての経験とやらをしまーーっぐふぁ?!」
ルフの腹パンの制裁を受けた。
「さて、茶番も終えたことだし、そろそろおっ始めよーぜ!」
俄然やる気のルフ。ノヴァとの同化が解除されて、曇りなきショタボイスをお楽しみ頂ける。
「じゃあー、そろそろ行こっかー!」
フィノがそう告げると、足元から大きめのステータスを出現させる。そのステータスに皆、乗り込んで地上まで上昇していく。瓦礫だらけのホコリっぽくなった世界を抜け、光の射す地上へ。上がりきったその瞬間、視界に入ったのは様々な種族が混ざった魔物の姿。ちょうど大通りに出たので見晴らしは良いが、数え切れないほど蔓延っている魔物たちの目は私たち一点に注がれた。
「うぉおあ?! 増えてやがんぞ、クソ!」
「あはは、いいなー。ぜひ参加したいとこだけど、任せたよー、みんなー」
魔物の雄叫び。標的を見つけた魔物たちは一斉に動き出し、私たち目掛けて突っ込んできた。私は長筆を、ルフは拳銃を、ギルド嬢は魔法陣を構え、周囲をそれぞれが背を向けて配置につく。
「幻想色彩ーー」
どうも!こんにちわ!!
最近投稿速度が遅くなりつつある星野夜です!
言い訳ですが、最近まで小説執筆のスイッチが入らず、音楽ばかり作っていたせいで、ストーリーを忘れかけていましたが、スイッチ入ったので書き続けれる限りを尽くします。
あ、スイッチと言えば、そろそろモンハンの新作が出るらしく、しばらくハンターをやめていた身としてはこの期を逃すことなかれと、スイッチを買う算段を立ててる一方ですが、これは小説執筆がまた遅くなってしまいそうな気もしますね。
この小説が販売されるならば〆切で汗汗の焦りまくりの執筆活動になってくれるのになぁ、なんて懇願したいとこですが、どうやらまだ語彙力と世界観が追いついていないらしいです。
閑話休題!!
次話投稿はなる早で頑張る予定です!期待しないでお待ちください!
以上、スイッチ入らないけどSwitchは欲しい星野夜でした!!!




