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『kronos2025(2)』

 太陽が傾き始めていた昼頃、ラーヴル集会所内へ、ボロ雑巾のような少女を抱えて町人が何人か駆け込んできた。彼らは少女を木の長椅子に寝かせると、集会所長に事情説明をしてしばらく少女を匿ってもらうことにした。ラーヴル集会所は平和ボケした良い大人たちが日夜、宴を催していて、今日も騒がしい限り。少女を抱えてきた町人が、食卓に食事が並んでいるのをいくらか取り分けて、寝かせている少女のとこに食事を置いた。

「やれやれ、随分と派手にやられたな……。一体何があったんだ、あいつらと?」

 ボロボロな少女を見て、男は気まずそうに頭をかく。その様子を見て、幾人かが心配をかけて寄ってきた。

「どうしたんだよ、そいつ?」

「……アクアの奴がやったらしい。年頃だからな、まあ……」

「がはははあっ!!! あの馬鹿ガキか! 元気いいなあ、全く、ははははっ!!!」

「……っん……ん」

 男の放笑声が寝ていた女の子を起こしてしまった。不機嫌そうな顔で目覚めた女の子は起き上がって早々、目の前に座っている彼女を担ぎあげてきた男へと魔法を放った。それを軽々と男は弾き、起きた女の子に食卓の食事を勧めた。何事も無かったような振る舞いに女の子は頭の処理が追いつかず、真っ白になっていた。攻撃がいとも容易く弾かれた事と、周囲がそれを何事もなく流している事に。

「元気いいなあ、おい! ほらよ、飯でも食えよ! 酷い目にあったな、お前。傷はないか?」

 男は食卓の上の料理を勧め、女の子は不信感を抱いたまま、しぶしぶ食事に手をつけ、口に含んだ。その瞬間、口の中で幻想的な世界が広がった。彼女は感動と衝撃で思考回路が固まる。口角が操られたように上がり、瞳が潤って視界が歪んだ。

「ははは! 泣くほど美味いか?!」

 彼女はその瞬間から、見ず知らずの人間が屯っている事なんか忘れ、ただただ動物のように目の前に置かれた餌にがっついた。咀嚼し飲み込む度に、頭の中がお花畑になったような、天国のような心地良さを覚える彼女。全て平らげると、照れ臭そうに俯いた。

「どうだ? ラーヴルの飯は美味いだろ?」

 彼女はコクリと頷く。


 夕闇に光り輝くラーヴルの町を森林から眺める私と、いつものように賑やかでうるさい彼女。今は静まり返って扱いやすい。町の外まで追いやられてしまったが、あの女の子を私たちが捕まえなきゃ、みんな殺されてしまう。

「だから、今からこっそりと誰にもバレずにラーヴルに乗り込まないとーー」

「計画は破綻しちゃうってことだねー、あっはは」

 私の言葉を遮るように他人の声がして、私たちは心臓が止まりそうになった。声のする方へと振り返ると、闇の中から一人の女性がゆったりと歩み寄ってきているのに気づいた。暗いから顔は確認できないけど、腰から下げている太刀が私に警告を示す。

「止まって! 近づいてこないで!」

 私の声に女性はその歩みを止める。

「あははー! 君たちはー、これからあの町に行くんだよねー? 良かったら僕もついてっていいかなー?」

「先に行けば良いのでは?」

「つれないなー、あはは! 今回はどんな町が待ってるのかなー?」

 女性は軽快に私たちを残してラーヴルへと歩んでいってしまった。場違いな空気にその瞬間だけ別世界にでも飛んでしまっていたような感覚に襲われる。一体何者なのだろうかと考えが過ぎるが、その前に私たちもラーヴルに足を踏み入れなければいけない。


 ラーヴルの集会所では深夜になっても賑やかな宴が催されていた。町人たちが青紫の髪の女の子を客人のように持て成していた。ラーヴル唯一深夜帯でも騒々しい。

 そんなラーヴル集会所裏路地にて私たちは窓から集会所内をこっそりと視認していた。馬鹿騒ぎする町人たちの影にひっそりと、青い髪の女の子を確認し、例の作戦を実行に移す。

「ったく、もぅ。何でこんなことを私が……」

「この作戦、アクアちゃん、大丈夫なんだよね?」

「大丈夫じゃないよ」

「え?! じゃ、じゃあーー」

「誰にも気づかれずに、あの子を捕まえるのはこれしかない」

 私はポケットから水の入ったボトルを取り出し、窓を開いてから集会所へと投げ入れ、魔法を唱える。

「……ヴァポレース」

 水入りボトルが集会所の中心に投げ入れられ、突如爆発。白煙を撒き散らす、それは私の放った蒸発魔法が水を瞬間的に蒸気へと変えたもの。突然の爆発に町人たちはパニック状態に。

「今がチャンス!」

「い、いくよ? シュードファーナス」

 彼女の魔法のセンスは全くと言っていいほど欠片すら存在はしない。才能なしではあるが、昼頃の魔法暴発などなど破壊力がズバ抜けている。が、一切の制御ができないらしい。彼女には魔法暴発を全力で行ってもらい、爆発の衝撃で瞬発力を補う。吹っ飛ばされて混乱に乗じ、集会所にいる青髪に一撃食らわせて眠りに就いてもらう、少し荒行事だけど、これが思いついてしまった。暴発を逆に利用してやろうという魂胆だ。

 予め、私の靴にはシュードファーナスにより作り上げた鉄板を貼り付け、彼女の爆発により吹っ飛んだ鉄塊がはまり込むように器状に加工している。今からやろうとしていることはまさしく人間キャノンボールということだ。

 彼女はシュードファーナスで熱を加え、鉄塊を爆発させる。膨大な熱量を起こさせるだけの魔力を兼ね備えていなければできない、ある意味で芸当。爆発した鉄塊は人ひとりを簡単に吹き飛ばすことを可能とする運動エネルギーを持ち合わせ、私の靴裏に衝撃を与えた。

 その間、瞬き程の合間に私の体はロケットのごとき勢いで開け放たれた窓から集会所内へ。擬似的スモークグレネードの包囲網に突っ込み、煙を切り裂いて標的の元へと吹っ飛ぶ私。強烈な重力を感じる間もなく、標的の青い髪の彼女を視界に捉えた。後頭部に一撃を与えようと、私は拳を構える。その刹那、


「……………………」

 どうも、令和になっても未だにヒキニートが抜けない星野夜です。

 読者たちは『番外編なんて書かずにはよ、15話だせ』と物申しているのだろうけども、だが断る!

 さて、花粉症の時期がようやく落ち着きつつある最中、コロナとかいう魔王が降臨してしまったわけで、私は変わらず部屋籠もり。バイトぐらいだろうか、外出するのは。いっそのことバイトも魔王コロナの力で出れなくなって勇者は一人、ホームで支給されるお金でのんびり、魔王コロナの手の及ばない彼方で暮らしましたとさ、おしまいおしまい、的な事になれば良いな、なんて炎上しそうな思想をして、この後書きを終演させようか。


 さて、2回目の『さて』による切り替えをしたが、今回は以前の番外編の続きを投稿致しました。

 え? 文字数少ない? ははは、カンのいいガキは嫌いだよ。


 ということで! 次回、完結(の予定)。

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