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第14話『侵食心眼』

 ナチャーロ集会所にて、高難易度クエスト『コンキロスの魔物討伐』を受注し、旧都市へと向かうフィノとルフ、そして謎だらけの女ラーヴァの三人。霊力を利用した自動式運送機のフォルターと同様の原理で動く小型の乗り物に乗って、東へ10キロ。荒廃し、人一人見る影もなくなった旧都市。今では魔物たちが蔓延り、巣窟と化している。

 運送機から降り、旧都市に出向いて早々、見慣れない機械に興味が湧いたのか、何匹か魔物が襲いかかってきていた。

「うぉ、さっそくお出ましか?!」

 ルフは、ホルスターに収まっている拳銃を引き抜き、魔弾を装填。いつでも発砲できるよう、トリガーに人差し指をかける。

 ひとえに魔物と言っても、種類は様々。四足歩行の狼のようなものも入れば、人型に近い種もいる。今、彼らに襲いかかろうとしているのは四足歩行型。鋭い牙と列車のような巨体を模した、イノシシのような魔物。体高が三メートルもある化け猪。遠方から猛突進で距離を詰めてきていた。他の小動物型魔物を吹き飛ばしつつ、迫ってきている。

「近づかせるかよ! 喰らえ、魔弾ロードナイト・ラプチャー!」

 ルフは、照準を遠距離の巨大イノシシへと向けてトリガーを引く。銃口から発射されたのは赤色のレーザー。一直線に眉間へと着弾し瞬間、周囲10メートルを巻き込む大規模爆発が魔物を襲った。爆風で周囲の小型魔物は吹き飛び、着弾したイノシシはーー

「無傷だねー、あはは」

 呑気に笑顔を見せるフィノちゃん。ルフの魔弾が眉間にヒットしておいて、イノシシ型魔物はビクともせず、こちらへと突っ込んでくる。むしろ怒らせてしまっただろうか。先程より加速しているようにも見える。

「あはは、ルフくんが負けちゃったからー、ここはおまかせあれー」

「負けてねぇ!」

 笑顔で一歩前に出るフィノ。何をするのかとラーヴァは楽しげに背後で待機していたが、フィノちゃんはそこから動くことは無く、ただただイノシシ型魔物との距離が詰められて行った。まだかまだかとそわそわして仕方ないルフは、拳銃に先程撃ったのとは別種の魔弾を装填していた。

「まだか、フィノ?! 魔物が突っ込んでくるぜ!」

「あはは、落ち着きなよー」

 その距離、二メートルを切って激突まで瞬き程度のその距離まで詰められてしまった、その瞬間、フィノとイノシシ型魔物との二点間に巨大な一枚のステータスが出現し、イノシシ型魔物はそのステータスに激突し、鈍い音を響かせて停止した。つい反射で身構えてしまったルフだったが、その光景につい微笑する。

「っふぅ……冷や汗かいたぜ……」

 激突したイノシシ型魔物は衝突の衝撃に気絶していた。本来なら分厚い皮が衝撃を抑えるようになっているが、今回はフィノのステータスが相手。フィノのステータスは出現箇所に固定されていて、自身の意思でのみ動くことが許される。だから、いかなる衝撃が加わろうとも決して振動しない。振動しないと言うことは、衝撃が伝わらないということ。イノシシ型魔物はステータスに衝突し、自身の衝撃をそのまま自身へ返還してしまった。普段受ける反動が全て自分の頭へとかかってしまったので、脳震盪で気絶しているらしい。

「それがあなたの能力、おもしろい力ね」

「あはは、どーもー」

 しかし、イノシシ型魔物一匹倒した所で、魔物の勢力はほとんど削られてはなかった。そして、

「うぉあぁああああーー」

 ルフの真下の地面が崩落し、ルフは穴の中へと落ちていってしまった。声の反響の仕方を聞くと、だいぶ深くへと落ちてしまったらしいが、フィノちゃんは、

「ルフくんならー、問題ないでしょー」

 冷たかった。あと、説明してなかったが、今のセリフ中に、フィノちゃんはモブ魔物を何匹か倒していたので、そこらへんに何匹か転がっているが、それは説明しなくてもいいやつだった。

「じゃあ、説明しなくてもいいんだよー?」

 この展開でメタが取り巻いていた。

「恐らく、ワーム系か土竜系の魔物ですね、やれやれ」

 ラーヴァは落胆の言葉を吐きつつ微笑しながら、どこから拾ってきたのか、魔物の牙を突如、自分の右掌に突き刺した! 深めに突き刺さった牙で出来た刺傷から、鮮血が吹き出す。

「何してるのー、それー?」

「いてててて……ふふ、いきますよ」

 ドMなのだろうか、笑顔で痛がるラーヴァ。傷ついた右拳を握り、溢れ出る血液を散らすように右拳を振り払った。振り払われた血液は地面に血痕として残るはずだったが、そこにはなぜか一滴も血痕が残っていない。直後、遠くから迫ってきていた魔物たちの体が爆裂した。

「わー、すごい」

 小並感だった。

「あなたの心眼ほどじゃないですよ」

「まあねー」

「ところで、これは何のためですか?」

 宙に、ラーヴァを取り囲むように散りばめられた、フィノのステータスがあった。それは、防御と言うよりは、

「君にいつでも死を送れるように、ねー」

 鋭いステータスの刃。レインステート、雨のように降り注ぐ貫通属性のステータスによる攻撃。仲間であるはずのラーヴァへと一斉に向けられていた。こうしている間にも魔物たちは迫ってきているが、フィノちゃんは構わないと言った感じだった。

「さーて、ラーヴァー」

「何ですか?」

「君も知ってるらしいーね、」

「いえ、知りませんよ」

「君には名前以外のステータスが存在しないってー、おかしいよねー?」

 話のベクトルをずらしてきたフィノ。以前にも、ステータスの存在しない人間を見てきて、フィノはラーヴァに何か確信を得ているらしい。

「おかしい話……それはそうかもしれませんね」

 ビシッ!

「っ?!」

 ラーヴァを狙うステータスたちが、その瞬間、一斉に弾けて粉々になってしまった。普通では割れるはずもなかった無敵のステータスが、しかも同時に全て跡形もなく破壊された。その衝撃はフィノに警告の鐘音を覚えさせるほどだった。

「やっぱー、ナチャーロはおもしろいねー、ほんとーに……」

「むかしむかし、ある所に、一人の子どもがいました」

 ラーヴァが何か語り出した。その間、突っ込んできた魔物はフィノちゃんが蚊を振り払う容量で一匹ずつテキトーに殺していた。

「彼女には特別な力があり、最初の頃は皆から持て囃されて愛でられていました。しかし、成長と共にその力は人知の域を越え、人々は彼女を恐れ戦き、避けるようになった」

「それはーご愁傷さまー」

 その言葉と同時にまた一匹、命の火が消え落ちた。

「人は不安を抱えると、どうしてもその不安を取り除きたくなるものね。成長した彼女は全ての物を見透かす心の瞳を宿した。危険を感じた国の長は彼女を野放しにできないと、彼女を禁忌の逸材として指名手配をかけた」

「へー……そうなんだ」

 白々しく相槌をして、また再び魔物を地に返すフィノ。ラーヴァはアットホームな調子で話を続ける。

「もう数百年も昔の話。彼女は殺されることなく行方不明になり、それから誰一人として彼女を見かけることはなくなった。とっくに寿命で死んでることでしょう。彼女はその圧倒的な力を持ち、恐れられて人々からはこう呼ばれていたーー」

「侵食心眼、でしょ?」

 ラーヴァが話し終えた時には突撃してきた魔物たちは一匹残らず、無残な姿で足元に転がっていた。フィノが指を動かすように、ステータスで全て潰してしまったらしい。その力はまさしく、

「侵食心眼……元気で何よりです」

「あはは、殺しちゃってもいいかなー?」

 ほんわかとしたラーヴァと仄暗い殺意を向けるフィノ。漫画演出だと二点間にバチバチと雷が走るところだが、その行き先は一箇所に引き寄せられた。二人が見つめる先、魔物が突撃してきた方向から一人の人間がこちらへと歩み寄ってきている。

「ボスキャラお出ましかなー、あはは」

「殺しても良いですよ。あなたに限って負ける事はないでしょうしね」

「次は君を殺したいなー。だから、お互い、死ぬのはなしだよ?」

 殺気が消え、混じり気のない無邪気な笑顔でラーヴァへと約束を交わすフィノ。ラーヴァも笑顔で返すと、二人は前へと踏み出した。お互い、殺気が一ミリもなく、まるで街を散歩しているかのようにのうのうと歩んでいる。まるで攻撃の意思は感じず、武器すら持ち合わせないので本当に戦う気があるのかどうか。一方で、前方から浴びせられるのは闇のように深く限りない殺意の放射。距離はまだ数百メートル空いているが、常人すら寄せ付けないほどに鮮明な殺気を投げている。恐らく魔族だが、同種である他の魔物すら影を潜めて出てこない。それほどに禍々しいものがあった。

「さーて、今回の相手はどんな子かなー? スプレッドエフェクト起動」

 スプレッドエフェクト、一言で表すならレンズ。片眼前に幾重か小型の丸いステータスを展開、光の反射率を歪めて景色を拡大して映す、日頃から精密な武器を叩き上げてきたフィノ独自の技だ。しかし、レンズの一言で終わらせると、そう凄みを感じない。

「分かってないなー、作者さんは」

 などと罵られてしまう始末。

 スプレッドエフェクトに映ったのは青い髪をなびかせている、見覚えのある人物だった。ボロボロの絹を着込んで、貧相な見た目をしている彼女を、フィノはもう何度も見てきている。

「あはは! まさかリドゥラのお出ましぃー? この前の続きをしよっかー! 楽しくなりそーだね」

 リドゥラ、見た目はほとんどウィンディーネと誤差のない、簡単に言うと色違的な奴。紫色のウィンディーネ。ガチャガチャでたまに出るレアカラー的なアレだ。

 この禍々しい負のオーラを纏わせているのは紛れもなくリドゥラである。

「やぁ、リドゥラ。懲りずにまた挑むつもりかい?」

 フィノはリドゥラへと囁きかける。つまりは、フィノが瞬時にリドゥラの耳元へと移動したのだが、リドゥラには反応できない速度だったのだろう。その声にリドゥラは驚いて飛び退いた。その間、わずか一秒未満。その瞬き程度の隙、フィノのステータスがリドゥラの腹部にクリーンヒットし、鈍い音と共にリドゥラは吹き飛ばされて瓦礫の壁に激突した。まるで容赦ないフィノ。満面の笑顔の裏に黒い殺意のようなものが溢れていた。

「あはは、楽しいね、リドゥーー」

 直後、砂煙を貫いて一筋のレーザーがフィノに襲いかかり、フィノの右肩を貫いた! ステータスの壁を張る速度が間に合わなかったのだろう。レーザーの威力で吹き飛ばされ、同じくして瓦礫の山に転がり落ちたフィノ。右肩に銃痕のような傷ができ、鮮血が流れていた。フィノは依然として笑顔を崩さず、まるで痛覚がないかのようだったが、そこがまた恐怖を煽るようでもあった。

「あっはは! やったなー、リドゥラ」

「殺してやるから黙って死んでろ」

「口悪いなー、あはは……え」

 満面の笑みが固まったまま、フィノは違和感を感じて動きを止めた。というか、動きを止めようとしていたが、止まらない状態になっていることに気がついた。体に襲いかかる脱力感と疲労に、足がふらついているらしい。おまけに視界もぼやけ始めていた。

「あっはは、やったね、リドゥラ……」

「コード・ルイン。お前を殺せて良かった」

 リドゥラの顔がボヤけて真っ暗になり、気を失ってそのまま、フィノは地面に倒れてしまった。

「さようなら」

 投稿頻度が一ヶ月置きになりつつある、ヒキニートこと星野夜ですぅうううううう!

 ボカロPとして活動してたので許してくだちい。


 さて、なんかシリアス展開が続いていますが(と思っている作者)、投稿頻度も遅いし、そろそろこいつネタ切れだなとか思わないでくださるかな?

 あつがなつくてシンドいんすよ、はぁい。


 さてさてさーて、今回はコンキロスの魔物討伐でしたが、最近書いてて思うんですけど、一話に使ってる文字数の適量ってどれくらいなんですかね?

 個人的には4.5000~10000辺りを目安にしてますが、それは適量なんですかね?



 ん、何? 次回はいつ投稿するんだ、って?

 まさか、まだこの小説を読んでる強者がいるんですか?! そんなあなたに、次回投稿日は未定!



「さてさてさーて、狐火ちゃん。彼をどうしようか?」

「火炙りはどう?!」


 やめてくださる?!


「そう言えば星野夜は、炎上したいとか言ってたね。それなら二人で火種をーー」


 いや、リアルの話じゃ、


「炎上って書かれたTシャツ着てたね、この前。私がファッションセンスを見直してあげようか? 手取り足取り、ふふふふ。その前にそのセンス無いお洋服を焼却処理だね」


 センス無いとかお前だけには言われたくねぇわ、狐火!


「今回、私が出てないだろうがあ! 幻想色彩・夕景、喰らえぇええ!!」


 グギャァァアアアアアアーーーー

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