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第13話『厄災纏』

「雲行きが冴えねぇな、フィノー。あのストーカー女に心当たりでも?」

「……見えなかったんだ、ステータス。死人にすらあるはずのステータスが、なかった」

「はあ? なんだそれ?」

 ナチャーロ集会所へと続く人けのない静閑とした大通りをフィノとルフの二人はゆっくりと歩いていた。気絶状態の私、狐火木ノ葉はフィノちゃんの展開したステータスに乗せられ、物資のごとく運ばれている。

「この世界にあるものならば、どんなものでもステータスがあるものなんだ……たとえ、幽霊であっても。あの女の子は、実態があるのにステータスがなかった。それは彼女が何者でもなく、無だと言う証拠。だけど、それだと説明つかない」

 フィノの能力『ステートブレイク』は視覚で捉えられるもの、及び視覚で捉えられるものへの関連情報についてのステータスを無理やり引き出して盗視することができる。ストーカー女の姿を視覚に入れていたのに、どうしてだか、ステータスを引き出すことができなかったらしい。

 結局、その疑問への答えなど掴む術なく、この件は心残りのまま、ただ今は集会所を目指すしかなかった。


 ナチャーロ集会所。白い石材を積み重ねて作られたコンテナのような建物で、外部から物理攻撃や砲撃を与えても貫通することができない高耐久力を持つ。

 私、狐火木ノ葉の家があるガルモーニャの集会所とは対照的に、集会所の酒場は閑散としていた。ナチャーロの人口密度にしては少なく、クエストに出る勇者はほぼいないらしい。暇そうにあくびを吐く受付嬢が一人、眠気との戦いへと出向いている。

 酒場にはポツリと一人、待ちぼうけしている女がいた。軽装をしたゆるふわな白髪の女性。クエストに出るつもりなのだろうか、武器は所持してるように見えない。手ぶらでただ誰かを待っているようだ。

「やあー、お待たせー」

 そこにフィノちゃんとルフの二人が合流する。しかし、そこに私、狐火木ノ葉の姿はなし。

「あの女の子はどうしました?」

「悪いねー、ちょっと厄介事に巻き込まれてねー、あっはは」

「そうですか、残念。でもお二人がいるなら良いですかねー」

 ニコリと笑みを浮かべ、女は席を立ち、暇そうにあくびを吐く受付嬢にクエストを受注した。

 ナチャーロから東へ10キロ先にひっそり佇む荒廃した旧都市。民家や舗装道路が荒れに荒れ、草木雑草生え放題。原型すらない箇所もあったりと、古代遺跡の残骸を思わせる風景をしている。旧都市の周囲は背の高い木々に覆われているため、目前まで近づかなければその存在には気づけない。

 数百年前、ちょうど魔族大戦の頃。この旧都市は悪魔族に占領され、それからこの旧都市には魔族動物が蔓延るようになってしまったらしい。今回のクエストはその魔族動物の根絶。

「ふーん。でもー、魔族動物程度ならどーって事ないでしょー? 受注表にこのクエスト、高難易度設定にされてるのはなんでー?」

 フィノは女の持つ受注表に目を通しながらそう尋ね、女は緊迫感のない声で答える。

「このクエストを受注し、旧都市に足を踏み入れた者で生きて帰れた人がいないから」

「あっははは! じゃあ、それも今日で終わりだねー!」

「そうね」

「……なんでこいつらこんなにポジティブなんだよ」


 フィノとルフの二人はーー

「待て、その前に自己紹介してねぇーよな、お前」

「……私ですか? 私は、ラーヴァ。拙い放浪人ですよ、ふふ」

 ラーヴァは無邪気な笑みを見せた。確かに、軽装で武器一つ持たない場違いな装いは無謀とも言える。だが、その無謀さがむしろ、圧倒的強者の威厳を見せつけているようにも思えなくもない。能ある鷹は爪を隠すと言う言葉があるように、一見、無防備そうに見えて、実はかなりの実力者かもしれない。ルフは本能的に彼女への警告を鳴らしていた。奥深くに眠っている醜悪たる狂気に。こんな謎だらけの女を信じていいのだろうかと考えていた。

 しかし、呑気なチートヤローが乗り気であったため、仕方なくついて行くことにしたルフ。ラーヴァをチームに、三人はナチャーロから東に10キロほどに位置する旧都市へ。


高難易度クエスト『コンキロスの魔物討伐』


 ナチャーロ集会所酒場の奥にある、普段はギルド嬢やギルドマスターが休息の際に使う部屋のソファーに、狐火木ノ葉は寝かされていた。どういう身分なのか、ラーヴァの懇願で特別に寝かしてもらえている。リセットと言う名の男の襲撃を受けて力尽きている狐火。ぐっすりと夢の世界へ落ちている。ちなみに、夢を見てる時はぐっすり眠れていないというガチレスは受け付けていない。

「……会いたかったよ、異世界人」

 狐火木ノ葉の寝るソファーに寄り添うように座っている見知らぬ男は、眠る狐火にそう囁いた。綺麗な水色の髪を持つ中性的な顔つきの男の子。不敵な笑みで狐火を見下ろしている。

「標的はこの女で間違いないか、ヘルシャフト?」

『間違いありません。よろしくお願い致します、ゼロ』

「分かった」

 男は通信魔法で誰かと会話を済ませると、狐火の頭を撫で始めた。それはまるでペットとの触れ合いのような優しい愛撫。傍から見れば完全に不審者のそれではあるが。

「良質なモルモットをあの下衆に引き渡すのは心苦しいものがある。君なら僕と下衆男のどちらに実験されたい?」

「それはどちらもお断り」

「っ?!」

 男の質問へと応答する女声。突如、部屋の中を暴風が吹き乱れ、男は風に為す術なく飛ばされ、壁に激突した。ソファーに寝かされていた狐火木ノ葉は横になっていたおかげで風に対しての抵抗が少なく、飛ばされることはなかったが、激しい物音に自身が飛び起きることに。

「なっななっななにぃい?!」

 疲労が残っているようで、ふらつきつつソファーから立ち上がり、見ず知らずの部屋の中を見回し、空き巣泥棒でも入られたような荒れ模様を確認。そして、倒れているウィンディーネの姿を見つけた。

「ウィンディーネ?!」

「狐火木ノ葉、行ってはいけない」

 背後からの警告に驚いて振り向くと、そこにはガルモーニャの集会所で良く見る、無愛想なギルド嬢の姿があった。突然過ぎる展開に寝起きの狐火の脳内はパンク寸前に。

「あれ?! 何でここにいるの?! もしかして、私の全身全霊のアピールがついに届いてーー」

 ギルド嬢が私へと魔法を放つ瞬間だった。

「ちょ、待って! 冗談だから!」

 小さくため息を吐き、ギルド嬢は放とうとしてた魔法を納める。

「ヘルシャフト、どうやら僕たちはついているらしい」

 ギルド嬢の魔法で押し倒されていた男、ゼロは緊迫感すらない無表情で二人を眺めていた。その顔にギルド嬢は容赦のない風の魔法を放った。突風がまっすぐとゼロへと襲いかかり、着弾。背後にあった扉を巻き添いに、集会所のホールへとぶっ飛ばしてしまった。不意打ちの無慈悲な一撃だった。しかし、

「どうした? 威力だけが一人前の命中率の悪い技なのか? 力を貸そうか? 君を有効活用してあげよう。どうだ、実験材料にはなってくれないか?」

 ビクともしないゼロの姿が。ギルド嬢の放った風魔法が外れたらしい。慌てる様子もなく、追撃を仕掛けるものの、全弾が綺麗にゼロから逸れていく。まるで、ゼロの周辺だけ空間が湾曲してるような感じだった。飛行機の機体は風からの空気抵抗を減らすため、流線形をしているが、まさにその様に風が左右へと分裂して外れてしまった。

「君の命中精度は確かだろうが、僕には通用しない。抵抗はやめたほうがいい。僕は手加減ができないからさ。厄災纏」

 禍々しい闇色のオーラがゼロを包む。直後、ギルド嬢の頭上にある天井部が崩落し、彼女を押し潰した! 破砕音と共に砂煙を立ち上げ、視界も潰された。何をしたのか理解できないけど、分が悪い事だけは分かる。ひとまず武器を。

 そう思い、長筆を掴もうとした手は空を掴む。先程まで寝かされていたのだ。常に身につけている訳でもなく、癖で手が動いてしまっていた。長筆の行方不明。そうやって一人でどこか行くから、すぐ迷子になるんだよ、長筆ちゃん。ぬぅおおお! ゴリ押し戦法じゃあ! 不覚ながら最終手段を!

操作暴発コントロールアウト炎柱バーナー!」

 それは、私が現時点で使用できる、遠隔型魔法攻撃。良く銭湯などのシャワーは水圧が高いものが多いが、あの類は手を滑らせると水圧でノズルが暴走する。それと原理は同じ。バーナーの圧力に任せて長筆が暴れ回り、ランダムに周辺を破壊していく。長筆は砂煙を切り裂いて、運悪く私の腹へと一直線に飛翔してきて強烈な一撃を与えた。衝撃に肺が一時的に停止し、呼吸ができなくなった。この瞬間、この技は二度と使わないと決意したが後悔後先たたずとはまさにこのこと。自爆により苦しみ藻掻く私に、ゼロは憐れみの目で見下している。今は呼吸することしか考えれない。その私の意識をゼロは一撃加えて途絶えさせた。

「こちらは片付いた。回収して、そちらへ向かう」

『仕事が早くて助かります』

 お前、1ヶ月以上も何してたんだよ。サイトに1ヶ月更新してません記載されてんぞ。またお得意の疾走か? ネタ尽きたんか? おん?

 何てことをお思いの方々、大丈夫です。

(何を根拠に話してるんだ、こいつ?)


 どうも、お久しぶりです。夏の熱に浮かれ気味の星野夜です。ついでに熱にうかされております。

 久々の投稿でしたね、本当に読者いなくなるかと思って心配でしたが、なんと、幾人かの読者が残って読んでくれているらしいようで、嬉しい限りです。


 さて、物語も恐らく中盤に差し掛かったところでしょうか、第13話!

 またしても寝込みを襲われる狐火。彼女はなぜこうも寝込みばかりを狙われるのでしょうか? まあ、偶然なんですがねwww

 というか、操作暴発・炎柱は技なのか? 今宵まさかの自爆。諸刃の剣どころの騒ぎじゃない。結果、それが原因でやられましたね、主人公。


 ってことでぇ! 彼女に活躍の場を与えるべく頑張りますよ。

 狐火木ノ葉、心配よな? 星野夜、動きます。

(そうやってネット界で炎上して自爆しろよ)

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