第7話『静けさを取り戻した街と眠る』
「全身全霊大噴火! 大炎柱!」
人間種地球人の全身全霊の魔力を、構えている長筆の筆毛に溜めていく。筆毛の色は赤色から光を放ち金色に変化し、火力が最大限に引き出される。
目の前に迫ってくるは敵味方の区別がつかずに狂い乱れるウィンディーネ。急にヤンデレ感が溢れ出してきたけど、それもそれでなかなかに味のあるウィンちゃん。ヤンデレになっていてもこの可愛さとかもう卑怯なんですけど! 今夜は私とパーリィナイッしませんか?!
「ひとまず私の熱で胸を焦がせ!」
構えていた筆を前方、ウィンディーネの方へと向け、金色のバーナーを放出する。水面スレスレの高度を維持しつつ、バーナーの炎はウィンディーネへと襲いかかろうとしていた。もちろん、ウィンディーネもただではやられない。炎のバーナーと反してウィンディーネが繰り出したのは水属性の激流。高速回転する渦が真っ直ぐとバーナーの炎に触れ、直後、炎と水は何か壁に遮られたように、垂直に弾けて消滅した。
その二点間に人間が一人立っていて、バリアのようなものを二枚左右に張っていた。私とウィンディーネの攻撃を同時にいなしたらしい。
「元気そうで何よりだよー……リドゥラ」
そこに立っていたのはフィノちゃんだった。ステータスはチシナーの狙撃手の時のように大破することはなく、攻撃を完全防御していた。
「……久しぶり。相手が悪いなー」
フィノが現れたことで状態が一転し、急に冷静さを取り戻したウィンディーネ。
「フィノちゃん! ウィンディーネ、何かおかしいんだけど?」
「……狐火ちゃん、良く聞きなよー。あれはー……ウィンディーネ、じゃない」
ウィンディーネじゃない?! 見た目、身長、服装、体つき、顔のパーツ配置、スリーサイズ、肌の質感、ロリ度数、可愛さ度数、エロさ度数、何よりウィンディーネ度数が一致するあの女の子がウィンディーネじゃないって?! かれこれ十八年、色んな幼女美女を観察・監視してきた私がこの期に及んでウィンディーネを! あの千年に一度のロリ幼女を! この私が見間違えるだとぉおおお?! そんなことがあれば私はもう死ぬしかない。
「確かにほっておいたら完全に死んでたねー、狐火ちゃん♪」
「それも本望」
使命感溢れる卑猥な笑顔で、いや使命感溢れる卑猥な笑顔ってどういうことだ?! とにかくそんな顔付きをしていたら、あの狂気じみたウィンちゃんにすらドン引きされて魔法を放たれそうになる始末。
そんな私を放置して、フィノちゃんはウィンディーネらしき人物へと歩み寄っていた。向こうは無防備に歩くフィノちゃんに警戒心剥き出しで身構えている。
「リドゥラ、これからどこへ向かうつもりー?」
「お前には関係ない。話すつもりもない」
「酷いなー、昔は良く戯れた仲じゃないかー」
怪しすぎるフィノ。距離が少しずつ狭まる度に、ウィンディーネらしき人物も後ずさりしていた。街の北門がすぐそこに迫り、街の外へと出ていきそうな雰囲気だった。ウィンディーネらしき人物、ウィンディーネと同義と考え、その人物が後退するほどにフィノちゃんは恐ろしく強いらしい。怪我や瀕死になったとこを何度も目撃しているけど、それでもフィノちゃんは死なないんだろうなー。それが恐怖を煽る素材になってもおかしくない、死なない強者が迫り来るなんて恐怖以外の何でもないだろう。
「……昔から……ずっとお前は変わらないまま。いつもそうだ、お前は私を見下してた」
「身長低いからねー、君は♪」
いや、変わらない気がするのは私だけですか?
「ちょうどいい。この際、ここでお前を殺してのし上がってやる!」
「あっははは! 久々に戯れよっか! リドゥラ!」
フィノちゃんが奮起している。いつもの楽観的で人をゴミのように見つめる眼差し、かっこ私だけかっこ閉じ、のフィノちゃんが生き生きとしている! フィノちゃん程になると強敵が少なくなるから、この戦いは久々に刺激のあるものなんだろう。つまり私はそれだけ強敵の相手を打ち負かそうとしていたわけです。考えるだけで全身冷え性だね。
結果から言うとフィノに指一本触れることの出来なかったリドゥラという名のウィンディーネ似の人物が北門から街外へと逃走してしまい、戦いに幕を落とした。フィノちゃんはまだ遊び足りなさそうにしていたが、とても凄まじい戦闘だったんだけど。
「さて、狐火ちゃん。ルフくん回収してリドゥラを追うよー」
フィノがチシナーの狙撃手によって割られてしまったステータスの台を再び展開し、私たちはそのステータスに乗って南下し、ルフの元へ。位置情報はフィノちゃんの『ワールドステート』によってストーキング済み。
「やめてよー、狐火ちゃんみたいなストーカーじゃないんだからー」
「やめてよー、ストーカーだなんて、照れるじゃないかー」
変態たちは男の娘を求めて行く。
「変態は狐火ちゃんのみなので、訂正をー。ゴミクズ変態ストーカーを乗せてフィノは泣く泣く南へと行く」
泣いてるんですか?! 一体誰がこんな可愛げのある女の子を泣かせたんだ?! 許せまじ!
街の中央大路地、銃痕や破壊痕が残っている箇所を見つけた。恐らくルフと、あのチシナーの狙撃手が戦闘を繰り広げた痕跡だと思われる。そして、血痕も確認した。つまりどちらか一方が怪我、もしくは射殺されている。ルフに限ってやられるとは思わないけど、それでも、フィノちゃんの絶対防御であるステータスを破砕した女は確実にただ者じゃない。
上空から捜索してすぐに見つけることができた。ルフは民家裏にある機械の上にいる。敵であるはずの女を横に眠りに就いているようだった。その姿はどこか和みのあるほんわかした様子、いや完全に傷だらけの戦闘後の物騒な姿だよ、うんうん! なんせ、あのルフちゃんがチシナーの女とカップルだなんて許すまじ!
「バカ言ってないで救出するよー」
今更だけど普通に心読まれるのって定番みたいになってるよね。
ルフの怪我は重度のもので、負傷箇所が三つ、左肩と右腹、そして右足。多量の出血で衰弱していた。このまま放置していたら確実に死んでいただろう。フィノの治癒魔法によって今は安らかに眠っている。一方、敵であるはずの女をフィノちゃんは治癒させていた。胸部の負傷が大きく、時間をかけていたが無事に終わったらしい。
「……フィノちゃん? その敵はどうするの?」
「んー、もう関与しないしー、ここに寝かせておけば良いんじゃないー? っと、その前にぃー、波動『ステートブレイク』 ステータス覗き見!」
先程まで生死を彷徨っていた病人に対し、覗き見ると言う……卑劣極まりないね、フィノちゃん!
「元は敵だし、良いんじゃないー?」
被疑者はそう答える。
ところで何を覗き見るつもりなのだろうか?
「さっき、ステータスを一枚割られたからさ。絶対割れないステータスを割る能力を解き明かしてやるーってね♪」
あらヤダ怖い。
「……ふぅーん、なるほどー。無反動の風ねー。数値をゼロにする能力かー。防御力を無にして無理やり割ったってことー、危ない能力だねー」
「フィノちゃんほど危ない能力はないんじゃない?」
女の力が解明して興味がなくなったフィノちゃんは私と眠るルフを連れて街をあとにした。再び、チシナーの街は静けさを取り戻し、何事も無かったかのように佇む。
ルフが彼女を助け、フィノが治癒してあげた理由は私には明かされることのない、迷宮入りとなってしまっていることを私は忘れていた。今の私の決意はただ一つ、私の過ちと後悔の念を晴らすために、友人と交渉。そして食べ損ねたチャーシュー増し増しキザネギゴリゴリニンニク地獄油ラーメン極盛りをおごってもらうんだから!
その決意の炎は揺らがない。
(作者:そんな炎、とっとと揺らいで消えちまえ)
Shut up!! Get outta here!!!
どうも、こんにちは!
平日休日関係なしにフル稼働、星野夜ですぅぅぅ!
最近はイラストと兼用で忙しい毎日をお過ごしです! ちなみに暇人です(支離滅裂な発言)。冬は寝室こもって創作に限りますね! いえ、あくまで僕的理想の話。
今宵は第7話をお送り致しましたが、次話へのページが白紙であるこの残酷な事実を僕は受け止めきれていません。僕の中にある小説のゴミ神が閃くことを停止してしまったらしく、イラストに興じながら発想を巡らす毎日です。
近々、僕のゴミクオリティで作り上げたイラストがTwitterに上がることでしょう。一人暮らしで浮かれてたら異世界転移したので厨病激発しちゃったりする話、のキャラクターを僕の想像で、できるだけ再現しました! つまり、より物語にのめり込むことができる、誰得方式! なお、Twitterについては【#一人暮らしで浮かれてた】と検索することで見ることができます! 惜しみなく宣伝したところでまた来週? CUnext time!!!




