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第5話『青紫の狂気』

 静寂の街チシナーを捜索中のフィノ、ルフ、メリッサの三人は、突如発生した洪水を辿って大路地を突っ切っていく。チシナーの位置する場所は海面から離れた山中。洪水なんて魔法以外の他でもない。フィノは恐らくこの膨大な量の水を生成できる人物をウィンディーネだと想定していた。この先にウィンディーネが待っていると。

「ーーっ?!」

 フィノの頬に一筋の血が滴り落ちた。咄嗟に顔を逸らしたためにかすり傷で済んでいる。それは音もなく、どこからか飛翔してきた銃弾。あまりにも突然に、気配なく狙撃された。ルフとメリッサは銃弾など一切気づいてすらない。

「どこかに狙撃手が隠れてるね」

 フィノが狙撃手についてを話そうとした、その瞬間、突如水の流れが停止した。ただ止まったのではなく、激流の流れの形のまま、まるで凍りついたように停止している。危険を察知したフィノは乗っているステータスを停止し、上へと上昇させた。大路地と民家が眼下に広がる。先程までいた場所に、一人の女がこちらへとランチャーを構えて立っているのを確認した。

「敵見ぃーけ!」

「なんかこっちにヤバそーなの向けてるけどぉ?!」

 女はランチャーのトリガーを引いた。構えてたランチャーから砲弾が発射され、三人の乗っているステータスへと向かってくる。バックブラストの影響で、女の背後で水しぶきが散った。

「無反動砲ねー。このステータスは物理攻撃なんかで破砕できるほどヤワじゃないよー」

 自信満々のフィノだったが、次の瞬間、彼らは爆破によって吹き飛ばされることとなった。幸い、爆破ダメージはステータスによってなくなったが、三人は別々の方向へと落ちていった。


「っ?! ……ってえええええ?! フィノちゃあああああんっ?!」

 爆破によって吹き飛ばされたメリッサ。

 もうお分かりだろうけど、メリッサは狐火木ノ葉である。フィノの能力によってメリッサと言う女の子の外見に入れ替えていた。しかし、その能力はフィノから離れたため解除し、狐火木ノ葉の姿が顕となった。

「炎柱長筆!」

 長筆からバーナーを放ち、落下する前に飛翔した。しかし、バーナーはあくまで転落死を防ぐためで、未だに着地方法を考えてない。唯一思いついた方法は、大路地を満たす水の上への水上着陸の一つだけだったが、それは航空機などの機体がしっかりとした材質でできているからこそ可能であって、人体で直接着陸を試みれば破裂して無惨な死を遂げるだけだろう。かといって、ずっと飛翔できるほどの体力なんて持ち合わせてるわけもなし。今の狐火に着地する手段はなかった。

「このままじゃ、犬死だね。いや、狐だけどね!」

 この状況下でふざけたことが言える私はだいぶ頭のおかしい奴だね。そう言えば中学の時は頭がおかしくて学校の三階から飛び降りたこともあったね。もし飛べたらチャーシュー増し増しキザネギゴリゴリニンニク地獄油ラーメン極盛りおごりと言う褒美付きで! そんなこと言われたら跳ぶしかないじゃんか! そして今に至ると……ついに狐火、跳びました、と言うか完全に飛んでます!

「つーか、結局奢られてないんだけどぉおおおお?!」

 そう、私は許せなかった。飛んだのに結局奢られてない。部活が忙しくて完全に忘れてしまった。私としたことが『校内一の食欲モンスター』の私が、チャーシュー増し増しキザネギゴリゴリニンニク地獄油りゃーめぇん、噛んじゃったぁ、チャーシュー増し増しキザネギゴリゴリニンニク地獄油ラーメン極盛りおごりを忘れるだとぉおおおおお?! くそ、あのヤロー! 絶対、戻ったら自腹切らせて私腹を満たさせてもらうからなぁ! だから、こんなとこでーー

「死んでられるかぁあああああっ!!!!!」

 単純明快、欲求不満。ただそれだけの理由で、私の奥底に秘めたる力は解放された。

 時折、自分の本能に恐怖を覚える時がある。自分でも理解できない爆発的な精神力のバケモノ。三階から飛び降りた私が九死に一生を得たのは、飛び降りた瞬間に鉄柵を掴み、落下したように見せて二階へ着地し、そのまま一階へ。あの時の身体能力には自分でも驚愕するものがあった。人は死に直面する時、いや待って! じゃあ、食欲に身を任せて学校の三階から飛び降り自殺を図った私も該当だよね?! まあ、その死に直面する時、何かしらの力に目覚めるわけだよ。それこそが今! チャーシュー増し増しキザネギゴリゴリニンニク地獄油ラーメン極盛りおごりを忘れてしまった私と、それをおごらなかった友達への怒りと未練が私に火をつけた。と言うか筆に火をつけた。

 やはり的策は水上着陸。スピードを遅くしつつ超低空飛行での着水なら、船から落下した時と同様の衝撃で済むはずだと考えた。

 大路地になぞって少しずつ高度を下げて、炎柱長筆の出力も同時に弱くしていく。風圧で墜落しないよう細心の注意を払いながら。当社の作り上げた炎柱長筆は高出力かつ簡単操作で異世界初心者のそこの貴方にも、ぜひお使い頂ける長筆となっております。どこぞの暴走少女でも安心安全に扱える品でございます。

「ぶわぁっつぅ?! あちちちち……つい燃えすぎて被爆するとこだった……ね? これが良いんですよ、これが!」

 このバーナーがあればお肉も簡単調理。中まで火がしっかりと通り、狩人たちもモンスターに気にせずこんがり肉Gを大量生産!

 炎柱長筆をお使いの狩人に話を聞きました。

『上手に焦がせる肉焼き機だな。炭が足りない時に使えるアイテムだよ』

 そんなたわいもない話を一人言笑して、惨めになってきたのでいつの間にか起動してしまった妄想スイッチを切る。

 手を伸ばせば水面に届く距離まで下げきった頃、街の端っこに到達してしまって、飛び降りるタイミングを見失ってしまった私。その目には一人の人間が映った。街の最北端にある大門の前に立つ、青紫色をしたボサボサの長髪の女の子。それはどう見てもーー

「ウィンディーネ?!」

 私の気配に気づいたウィンちゃんが振り向き、私に微笑みかけた。それはいつも見る、可愛くて触れがたい尊さを持つ神々しい笑みではなく、おぞましさと狂喜に満ちた笑顔。誰が見ても凍り付くような殺意の目。ウィンちゃんを見つけたと言うのに、私は恐怖と危険を察知して上へと急上昇し、ウィンちゃんから距離を取ってしまった。

 あれはウィンちゃんなのだろうかと考えている中、真下から突如水の塊が襲いかかり、私の身体を包み込んでいった。それはウィンちゃんの水魔法だと感じ取ったその瞬間、突如目の前にウィンディーネが現れ、状況把握できない私の顔にウィンディーネの拳がヒットして吹き飛ばされた。

 あれ? 痛いよ? っていうかここはーー

「大路地ぃいぼぼごぶぁ?!」

 大路地の水中から顔を上げ、目の前に立つウィンちゃんを見る。起こったことを理解し事故解釈すると、恐らくウィンディーネの魔法で掴まれ、そのまま大路地まで引き落とされたのかな? おかげで着水成功? だけど、なんだかんだで絶体絶命っ?! あのウィンディーネと私が一騎打ち?!

「ウィンちゃん……何でルフにあんなことをしたの? 話せないなりの理由でもあるの?!」

「敵を殺す、ぜーんぶ殺して綺麗にしてあげるぅー♪ それでぜーんぶ解決じゃーん♪」

「ルフが敵?! そんなはずない! 今のウィンちゃんは狂ってる! 見境なく攻撃なんか……らしくない!」

「私のぉー、らしさぁー? そんなもんを、お前がぁ! しぃーってるのかぁー?!」

 ウィンディーネが狂喜の表情で襲いかかってきた! ではこちらは、行け! 狐火木ノ葉、レベル18!

「全身全霊大噴火! 大炎柱フルバーナー!」

 どうも、元旦過ぎても暇人作家、星野夜でーす!


 激突、狐火VSウィンディーネ!

 ……なんかデジャブ感じるな、このVSって文字には。

 らしくないウィンディーネが登場する回でした!


ウィン「らしくないー?」

星野夜「あ、まずい!」

ウィン「私のぉー、らしさぁー? そんなもんを、お前がぁ! しぃーってるのかぁー?!」

星野夜「ふん! 一章では狐火木ノ葉と戦い、余裕勝ちした僕の力を知っての一騎打ちか、ウィンディーネよ?」

木ノ葉「いやいや、勝ってないじゃん、そもそも」

 ウィンディーネが迫り来る! 身構える星野夜!

星野夜「この小説を描く僕は、そうつまり! 君たちの神であり、君たちは僕の脳内製造機サモンズターミナルによって生み出された幻想フィクションに過ぎない!」

ウィン「じゃあー、お前殺して神になるよぉおお! レインブラスト・フレムベル!」

星野夜「死滅せしデッドエンド物語の一頁パージ!」




『ひとぐら!』は全てはフィクションです。

一連の下りは当作品のストーリーとは一切関係ありません。

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