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第22話『パラレルチェイン』

 魔昇船は魔力を消費し、空を飛ぶ船であり、当然供給される魔力が尽きれば船は飛ぶことをやめる。そして魔力の供給源は乗船している人間から。それゆえに、膨大な魔力を持つ者でなければまず扱うことができず、魔力が尽きることは人間の死を意味する。

 火の鳥メテオのブレスを何度も喰らい、船底は壊滅。通常なら墜落しているはずの魔昇船が、現在上空を浮遊していた。船首に佇むメテオの姿と、その前に四人の人間。いや、二人と言ったほうが良いかもしれないね。胸部にポッカリと穴の空いた二人の死体、そして右肩を抉られた男の子。何もできずに立ち尽くす主人公の姿。

 魔昇船はこの主人公の技によって青い絵の具のベールに覆われ、火属性の攻撃を受け付けないようにできていた。だけど、いともたやすく……それは打ち抜かれた。

 ……私は、見た。ルフの右肩がブレスでえぐられるその瞬間のこと。そのブレスは、ルフが対峙しているメテオから、ではなく……船を貫いて斜め下から。つまり、メテオのブレスは船下から襲いかかっていた。

「つまり……それって……」

 高音域の耳をつんざく鳴き声。船首に止まるメテオは悠々と佇むだけで、口を開けたように見えない。その声は真下からだった。笑うしかない。上級者のリーナと相棒がメテオに殺され、ルフは右肩を負傷した。その原因が目の前にいるモンスターではなく、真下にいる【もう一体】のメテオだったとは。

「メテオは一体じゃない……」

 この絶望的な状況下、動けるのが私だけという現実逃避したい現状に明け暮れる。異世界に来てまだほとんど日の経っていない中、初心者の私が高難易度のクエストに駆りでること事態がまずおかしいんじゃなくて?! ししょぉおおおおおおおっ?! なぜ逃げたぁああああ!!!

「……きつねび、この、は……」

「ルフ?!」

 抉られた右肩を押さえながら振り向くルフ。苦痛に歪む顔で、ルフが放った言葉、それは、

「逃げろ」

「は?」

 ルフの視線が私へ向いたのと同時。対峙していたメテオのブレスがルフを襲い、腹部を貫き、紙一重で私の頬を掠める。

「……ぁ」

 ブレスの灼熱が腹部を焼き付けたために流血はしていないが、その一撃はルフを仕留めた。口から吐血、何か言葉を発しようとして、声が出ないまま倒れた。

「……」

 言葉が出ない。


 その頃、師匠はというと……船底にいた。爆発によって木っ端微塵にされた船底。保管していた道具や食料などが全て地上へと落下してしまっていた。

 師匠が険しい表情で睨む先、船下にメテオの姿。

「……完全に不覚。まさか、メテオの右翼自体にまで急速回復が機能してたとはな」

 リーナが切り落としたメテオの右翼。後に急速回復で分裂。二体目のメテオが出現したらしい。

 二体目のメテオと対峙していた師匠。魔昇船を現在浮上させているのは師匠であり、魔法を使わずとも常に魔力を消費しているため、全力でメテオと対立すると魔力が尽きてしまう。当然、魔力が尽きたら船は墜落。師匠はメテオのブレスを弾くことしかできなかった。


 着信音。ポケットのスマートフォンからだろう。反射でそれに応答してしまう私。

「あ、もしもし……あ」

『……狐火、木ノ葉、だよね?』

「誰?」

『師匠の弟子、です』

「レイナァッ?!」

 それは師匠の――うおわぁっ?!

 思考する余地もなく、メテオのブレスが私を襲った。






 突如、通信が切れた。聞き覚えのある、いや、本人だから当然じゃん。仮に別人という形にしておくとして……私と似た誰かの声が途絶えた……。


 その事象に気づくのは容易なことじゃなかった。どんな物事でも瞬間的に記憶し吸い込んでしまう私のスポンジにも勝る吸収力をもってしても、この事実に気づくのに時間をかけてしまった。

 この世界から知り合い全てが消える。そんな暗黒魔法が存在するものなのだろうか、疑ってたよー。まさか、この私が敵の奇襲に気づけないなんてね。年を取ったものだよ、この私も。

 逆に幻覚魔法とも思ったけど、それも違う。だから一般人に何も違和感なく聞いたんだ。

「ちょっと聞いていいかい、大地の精にも思える麗しき黒髪の持ち主よ。……ここは……『クルィーロ』なのかい?」

 そう聞いただけなのに変態を見るかのような瞳で睨まれて逃げられて、全く誰が変態なのだよ、どこの誰が? 恐らく別の街に家ごと飛ばされたのだろう……。

 通信魔法はなぜか繋がらず。誰ともコンタクトは取れない。街人に聞いても誰も口を聞いてくれないので、じゃあ仕方ない。とりあえず家に帰って眠ろう……そういうことにした。まぁ、夢なら夢で目覚めてくれるならそれも良しとしよっかー! さあ、明日はダンジョン走破の続きをせねば! 燃えてきたぁあああ!!


 そして早朝、インターホンの音で目を覚まし、ニッコリ笑顔で玄関へと向かい、扉を開くとそこには……見ず知らずの人間。

「おい」

「……あ、は、はいっ?」

 しまったコミュ症が疼いていやがる!

 見るからに物騒なオーラを纏う男子が睨みを効かせながら言う。

「……お前――」

「は、はい!」

「一体何をしやがった?! おい、俺の目がおかしいのか、おい?!」

「はい?」

「お前がこんなに早く起床するわけねぇだろ?! なぁ、病気か、なぁ?! 大変だ、病院に送ってやらねぇと」

「はぁ?」

「どーしたよ、狐火? 今日は本気でノリ悪ぃぞ? 風邪か?」

 聞き間違えじゃなければ私をキツネビ、そう呼んだあの男。そして、ちっとも話が理解できない。そして一番の質問は――

「誰ですか?」


 こうして私は彼らに無理やり着替えさせられ、無理やりどこかへと送還された。同じ格好の齢が同じくらいの人間の集まりに放り出される。ガヤガヤとうるさいその部屋。均等間隔で机と椅子が配置された部屋。物騒なオーラを持つ男子に無理やり、窓側の一番後ろの席に座らされた。そしてまずいことに、この部屋には女子が存在していた。くっ、欲望という名の黒く渦巻く魔力に押し流されて手が勝手に女子たちへと動いてしまっ――

 そして私は普段なら魔法をぶっぱなされる流れなのにビンタの物理攻撃を食らう。

「ぐふあっ?!」

 魔法無効化スキルが付いてるから遠慮なく油断していた私に繰り出される物理攻撃に吹っ飛び三回転半ひねりを決め込んで机の配列を歪ます。そこでようやく事態の重さに気づく。そう、展開できるはずのステータス表示が不能になっていたのだった! この人生、一度もこんなことはなかったはず……。その衝撃でかしこまった私。未知なるステージにどう生存するかに苦悩。とりあえず現状は周囲に合わせることにした。フィーちゃんがいたら一瞬で相手と同様に馴染めるんだけどなー。


 こうして私はこの世界に足を踏み入れる。

 そこは……《地球》というらしい。






 次回、メテオ討伐! を宣言しておいて、このありさま。全く、これだから最近の厨病激発ガールには手を焼きますよ。

「ふふん♪ こういうのは宣言しておいて裏切るスタイルじゃなきゃ、読者を楽しませれないでしょう? まぁ、結局は私が勝つんですけどぉー、ドゥフフフ」

 とにかくその気色悪いアニオタ限定で良く表現入れられる特殊な笑い方をやめなさい! とまぁ、そんなことを言いながら完全にピンチ状態になっている主人公ではありますがね。

「そんな私の演技に惚れ惚れ、と言ったところだね。私はドヤ顔でそう言った」

 どこかで聞いたことのある語尾でしゃべるな! 著作権的に世間的に社会的に消されるからね!

「まぁ、最初から最強設定の主人公も悪くはないが、こういうものは基本弱者を演じて、最終的に最強に昇り詰めるのが王道ってものでしょー?」

 読者裏切る発言しておきながら、王道に走るのもどうかとは思んだが?

「なーに言ってんのさ? 本当は何章も先までストーリー構成は完成してて読者をギャフンどころか黙らせるレベルの作品を考え付いてるくせにさー、どんくさいなー、もー」

 いやいや、『なーに言ってんのさ?』の変換を『なーに一点の差?』と入れ替えてしまうレベルの知能を持つこの作者にそこまでの神対応はできませんね。一言でジャンルをスポーツ系に入れ替える程度の能力しか持たないわけで、結果としてその一点の差を埋めることができずに試合に負けるやつですから、はい。

「負け犬の遠吠えとはこのことか」

 誰が負け犬じゃあ! どちらかで言うと勝ち戦だコノヤロー! この俺様のメタネタ発言に酔いしれろぉおおおおおっ!

「いや、完全に負けてるよ。世間的に社会的に、あと面白みに欠ける小説にメタ発言で対応する塩対応どころかゴミ対応に関して著作権的にも負けてるよ。強いて言えば人間性的にも読者に負けたとこだよ、今。あと言いたいことは、後書きは後書きに書け! 小説中に後書きをぶちこむな、ヒキニート!」

 ふふふっ、作戦通りぃっ!


 次回! いや、その前に次回予告を含める小説は普通存在しない。けど、言わせてもらう。次回予告のネタがない!!!

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