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第21話『メテオ討伐戦』

『人は、空を飛ぶ鳥を見ると旅に出たくなるそうだ』

 どこか誰か、有名な作家の言葉だ。私は昔から……この作家の言葉を胸に刻んで生きてきた。だからだろうか? ずっと独りだったこと。いや、そのキャラクターがそうだから、ってわけじゃない。もしかすると、私はそんな人間として生きていたい、そう願うようになっていたのかも。独りだと思い込んでたんだ。

 私の頭がおかしいのは、みんながそれを『おかしい』と、そう思ってくれるから。みんながいなけりゃ、私の思いなんてスっと消えてくだけ。

 幸か不幸か、今、私はあの名言通り、旅に出ている。普通の旅とはまた違う、どこか見知らぬ世界へと飛ばされてしまった私は……独り、なんかじゃなかった。短い期間だったけど、たくさんの人達に助けられて迷惑をかけにかけまくった。結局、独りにはなれてないけど、独りじゃなくたって良い……。そう思えるようになった。ボッチのくせに随分といきがった考えかもしれないけど……これで良い。空を飛ぶ鳥のように――

「今っ! 私は大空を舞っているのだぁああああああっ!!!」

 やかましさランキングは校内一位であった私のやかましい絶叫は暴風音で綺麗にかき消されたけど、目の前にはそれと同レベルに綺麗な絶景が広がっていた。ただいま私は、雲外蒼天にいる。

注:『雲外蒼天』の本来の意味は全く違う意味であり、今回は『雲より遥か高い虚空』という意味として無理やり作者が使用しております。そのため、この一文で読者が勘違いし、間違えて使用してしまった場合、当作者が責任を負いかねません。

(作者:というのは嘘で、実際はこの表現を使用した狐火木ノ葉に責任があり――)

 あぁ、そうやってまた人のせいにするんだぁー。

 とにかく、上空にいる。魔昇船という浮かぶ船に乗って。『とにかく』という表現で無理やり話を切り替える、どこかの無責任作家のことは無視し、今は『とにかく』集中するに限る。

 なんせ、この先に待ち受けるは――

「メテオ……」

 それは赤い火の鳥のような外見をしているとのこと。一撃で街を壊滅させられるほど凶悪なブレスを放つ、生きた水爆のような生き物らしい。今回の編成は主に水属性使いまとめではあるけど、攻守で分かれている。メテオのブレスを防御する盾陣営と、メテオ討伐に応る攻撃陣営。だけれど、総勢たったの六名。

 街が豆ほど小さく見えるぐらいに高い虚空を船は進む。一向にメテオの姿は見当たらず。というか、空に浮かぶ赤い鳥なんて嫌でも目に入りそうなものだけどね。ガヤガヤとオールデイ祭騒ぎのバカ学生が蔓延るクラス内で唯一ボッチ席で読書に勤しむヒッキーぐらい、視覚に入りそうなものだと思うんだけど。ベースは私。

 というか、単純に水属性最強のウィンディーネを編成に入れないというのはどういうことで?

「ウィンディーネには荷が重いからだ」

 背後からの殺気! 私は咄嗟に前方へと飛びのく。背中を殴ろうとした変態の拳は空を――

「誰が変態だ。そして攻撃などしてはいない」

 死神が現れた。

「ししょー、驚かせないでくださいよぉー」

「急に弟子面をするな、変態」

「その言葉そのまま――」

「断る」

 そっ、即答で拒否られたぁあ!

「荷が重いって?」

「あいつのジョブを忘れたか?」

「あ」

 ウィンディーネの職種は『ヒーラー』、つまり回復向け。今回のメテオ討伐は攻撃と防御の編成。回復する暇すらないほど忙しい。船を撃破されればおしまいという高難易度のクエストに、回復役など必要はない、そういうことだった。それならば――

「なぜ私を編成にぃいっ?!」

「それは俺の独断の指示だ」

 やはり死神であったか、貴様っ!

「狐火、お前を編成したのは、分かるな」

 ご、ごめんなさい、全く分かりません。

 結局、答えを告げずに師匠はどこかへ消えてしまった。


「メテオ発見! 前方一キロ先!」

 魔昇船の操縦桿を握る男、リーナの相棒がそう叫び、船内全員が気を引き締める。おっと訂正。私以外の全員が気を引き締める。私は――

「え? 何?」

 完全にボーッと空を眺めていた。直後、船の竜骨部が爆発を起こす。船にとって重要な部分である竜骨部。船底を船首から船尾までを通る一本のパーツのようなものであり、壊れてしまえば廃船となってしまう、非情に重要なその部分が爆発により木っ端微塵に消し飛び、船は急降下を始める。メテオのブレスだった。

「いや、早すぎるからぁあああああああ!!!」

 と、私の叫びと共に街へ向けて急降下していく船。とてつもない重力を感じながら、天井部に張り付いてる私とルフ。

「メテオのブレスが早すぎて気づけなかったんだぁっ!!!」

「っていうか、これ死ぬじゃん、うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

 バチンっ!!!

「ぐふおぁっ!」「ぎゃぅっ!」

 瞬間、私とルフは船内の床に叩きつけられ、腹部を強打した。墜落するはずの魔昇船が再び浮上し始めていた!

「何事なのさー?」

「さ、さぁ? ま、まぁ、助かったんだよ、ははは……」

 恐る恐る私とルフが甲板へと出て行くと、甲板に警戒状態の三人と、以前としてボーッとしたスタンスを変えないボッチの女の子の姿。そしてメテオだろう、赤い火の鳥。

「ていうか、メテオちっさっ!!!」

 その体長はどう見ても人より小さい、インコほどのサイズ。いや、結構かわいいんですけど?! 飼って愛でたいんですけど?! 言葉とか覚えさせたいんですけどぉっ?!

「あんなのからブレスなんて出ん――」

 ルフがその一文を放つより先に、視界が赤に染まる。メテオのブレスが飛翔し、それをリーナの相棒が魔法によるバリアで弾いたのだった。それは花火が近距離で爆発したかのように、赤く綺麗に染まる。

「へ、へへへ、マジで?」

 メテオは船首に降り立ち、キーキーと高音域の美しきさえずりを見せる。余裕だと言いたげな態度をとり、攻撃の意思を見せない。防御陣営のリーナの相棒はいつでも魔法のバリアを作れるように武器を手にはしない。腰にナイフが付いてるからナイフ使いだろう。メテオとの近接戦は不利である。一方のリーナは。

「良い度胸じゃない、この私の前で堂々と休憩とは。身の程知らずの鳥頭め。地獄に堕ちて後悔しなさい。私の前で余裕を見せたことを」

 俄然やる気であった。確実にフラグを踏んでいることは黙っておこう。

 リーナは余裕そうに休憩中のメテオに向けて右手を構える。

「雨音の呻き」

 その言葉と同時に、宙に生成された水属性の剣を握る。と思ったら、その剣は握った直後に消滅してしまった。なにそれ? 魔力続かず断念的な? とことん使えない魔法……あ。

 メテオを水属性の斬撃が襲う。油断しきっていたメテオの右翼を切り落とした! 目にも止まらぬ斬撃……。握ったその瞬間に一撃の斬撃を飛ばしていたのだろう。上級者だけある、その一撃にメテオが激怒し、咆哮する。耳をつんざく高音の咆哮は、それと同時に火属性のブレスを伴って吐き出され、相棒が即座に魔法で弾く。遠目で観察して分かった。相棒は魔法のバリアを生成して弾いたのでなく、それは魔法で強化されたナイフを飛翔させ、メテオの細いブレスをピンポイントで弾いていたということ。さすがの二人である。ふっ、この主人公が出遅れるとは。ならば、余裕のある今、受けてもらう!

 私は長筆を後ろへと構え、唱える。その呪文は水属性の斬撃。

幻想波打フィクションソード深海アクア!!!」

 仲間に当たらないように細心の注意を払い、長筆を斜めに振り下ろす。弧を描く青色の絵の具が斬撃に変化してメテオを襲う。それはいともたやすくメテオの首筋に大きな切り傷を作る。……とてもたやすく。

「ルフ、あれって本当にメテオ? あまりにも弱すぎじゃ……」

 ルフは黙ったまま。代わりに背後に現れた死神こと師匠が話す。

「メテオの本当の恐ろしさはな、身体の炎を消化するまでは回復し続けることにある。例え翼を切り落としたとしても……」

 右翼のないメテオのその翼は目を離した隙に完全回復していた。

「メテオの身体は魔法の炎。つまり、奴は……火の鳥、だ」

 とりあえず、リーナと、その相棒が攻防についてくれている今だからこそ、こんなにも落ち着いてはいるけど、いずれ私たちも戦うことになる。

「その時は狐火、お前は見学だ」

「えー」

「死ぬぞ?」

「了解でーすっ!!! 何が何でも見学して観察して、見なくていい細部に至るまで舐め回すように視覚に収め、記憶の歯車に結びつけて離しません!」

 やれやれと頭を悩ます師匠と、完全に引き攣り顔のルフ。

 そしてメテオのブレスが再び船を爆破させた。そして、の流れ?! まるで起こるだろう想定の文章に驚愕を隠せない私なんだけどぉ?!

 メテオの一撃は再び同じ箇所から。船首にメテオはいて、二人が攻防を繰り広げている。つまり、船底への攻撃は不可能。それに、仮にブレスを放っても相棒が弾き飛ばしているはず。それなのに、船底に再び強烈な一撃をお見舞いされてしまった。

「……なっ、ありえない……」

 誰もが察知できなかった一撃。リーナと相棒も、不可能の一撃に驚き、隙を見せてしまう。次の瞬間、メテオのブレスによって、二人は胸部に綺麗な穴を空けられ、脳が痛覚を判断するよりも先に死を送られた。……確実なる死。

「くそっ、やられたぁっ! くそぉおおお!!!」

 ルフが怒り任せの確実に死亡フラグ行動に出る。

「魔弾インジェクション・アクアオーラ!」

 右太ももにつけたホルスターから拳銃を引き抜き、放つその一撃は、水属性のレーザー。発射とほぼ同時にメテオに着弾し、身体を貫通する。ルフは攻撃の手をやめずに次弾を放つが、そのレーザーはメテオのブレスと衝突し合って爆裂した。そんな激戦に目を奪われていた私。いつの間にか師匠がどこかに消えてることに気づいた。あいつ、逃げやがったァアアアアっ!

「ならば私が防御を!」

 ルフが船にブレスが当たらないように気を引いてくれている今、私は防御の秘策を妄想しなければならなかった。あのゴミ人間がどこかに消えたおかげでねぇ! 女の子を一人にさせるとかサイテー。というか、あの死神に憑かれても困るんですが。そもそも初心者の私に防御任せるとかサイテーなんですけどー。

 さて、考えよう。いや、もう思いついた。私の思考回路を舐めないでもらいたいね! こう見えても中学時代は――いや、今は防御必須!

「私は筆を構える。そして考える。メテオの火属性に抗うには水! ならば、防御は水のベールだと!」

 説明を説明しなくていいんだよっ! とりあえず名づけて、幻想壁フィクションウォール深海アクア

 全身全霊、水属性のインクを溜めに溜めまくる。そのインクを船全域を包み込むように張り巡らす。水属性の幕で包み込む策に出た。そしてそれは妄想力の強い私の力によってなされ、見事成功を収めた、はずだったのに――メテオの火属性のブレスがルフの右肩を抉り、ついでに船を再び爆破させた。

 いきなりピンチ。

 メテオ……ほぼ無傷。

 リーナ、相棒……死亡。

 ルフ……負傷。

 師匠……行方不明。

 そしてあの脳内妄想女子、狐火である。

「ならば誰がやる、そう私がやるしかない! 次回、メテオ討伐!」

(作者:それ以前も言ったじゃん)

「おだまりぃ!!!」

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