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第18話『猛火強襲』

 ある日のある朝。ベッド脇に置いていたスマホから聞き慣れたあの着信音が流れ、朝という弱点を突かれた私は聴覚に大ダメージを受けて目を覚ました。まだ冴えない頭でスマホを手に取り、電話に出る。

「ふわぁ、もしゅもしゅー」

『……相変わらず朝は弱いな、木ノ葉』

 聞き慣れてるはずの声が懐かしく聞こえる。その声は同じクラスメイトの日向大地ひむかいだいちの声。

「あぁー、大地ぃー? どした?」

『最近お前おかしいぞ? どうしちまったんだよ? っていうか、スマホあるじゃねぇか』

「何言って――」

 やっと意識がハッキリし、驚いて飛び起きる。目覚めたのは自分の家の自分のベッドの上……異世界での。そして、ずっとずっと普通に扱ってたスマホ、異世界に飛んでなお、スマホが常時起動していることにずっと違和感を感じていなかった私。そして今日、友達からの電話が、異世界で繋がった。大地の言葉を聞くからに、異世界に飛ばされた私と入れ替えに、師匠の弟子レイナが地球に飛ばされた、と推測できる。異世界に飛ばされた私が異世界人から変に思われるように、地球に飛ばされたレイナも完全に変人扱いのはずだ。

「……大地、私の様子はどう?」

『はぁ? 何だ、その質問は? 他人事みたいだな、おい。……俺らのスマホを見て、興味津々に見つめてたし、いつも妄想癖で不気味がられるかっこ女子全般のお前が、最近はやけに静かだし、女子を見るなり顔を逸らしてたな。つーか結構男子に好かれてたぞ? まぁ、それの方が良いのかもな』

 レイナは確か、女子を見ると興奮しちゃうんだったねー。じゃあ、自ら抑制してくれてる、って感じかー。

「あっはは……そっかー。しばらく私はそんな感じだからよろしく」

『何か他人事みたいに言うよな、お前。っていうか、木ノ葉……今、俺の知ってる木ノ葉だよな? どーいうことだ、多重人格にでもなったのかよ?』

 ブチッ。

 突然なる通信オフ。話すことは話したのでね。っていうか――

「異世界でスマホ使えるじゃん!!!」

 電波環境がどうなってるのやら? でもこれは……チャンスじゃーん! この状況下、つまりは異世界と地球を繋いだ唯一のアイテム。

「人類の技術の結晶『情報凝縮通信機器スマートフォン』!!!」

 これがあれば、私とレイナを繋ぐことができる!


 焔液流動を阻止してあれから一週間が経過していた。特に何もなく、異世界で平和な日常を過ごしていた私、主人公狐火木ノ葉。停電は完全復旧し、酸素も循環し始め、氷海は少しずつではあるが溶け出している。暇な時はウィンちゃんとダンジョンを攻略したりして。そうそう、私が使えるようになった水属性の絵の具『幻想色彩フィクションカラー深海アクア』は感情任せにしか発動できなかったので、フィノちゃんが鍛えてくれるらしい。確かに毎回悲しみに暮れないと使用できないじゃあ、負担多すぎ。

「ってことで私が直々に鍛えてあげるよー、木ノ葉ちゃーん」

 やる気満々で腕をブンブン回すフィノ。以前戦った時はもちろん、余裕の『よ』の字も出ないくらいに私が圧勝――

(作者:完敗でしたね)

 Shut up!! Get outta here!!!

 だから今回はレベルアップしたところを見せてあげるんだからね!

「そうこなくっちゃ面白くないよ!」

「心を読むなぁ!!!」

 今回は以前の室内ではなく、例のダンジョン四階層草原。今は岩漿が冷えて固まった火山岩の大地と化している。この広範囲のステージであればいくら暴走しても問題ないってわけ。

「さぁ、成長した姿を見せてあげるよぉおおお!!!」

「あはは、楽しみだねー。もちろん、手加減しt――」

 直後、フィノの立つ真下が大爆発を起こし、炎の柱が出現した! ガスバーナーのように激しく燃え盛る炎が爆煙を巻き上げる。

「不意打ちアターック!  悪いね、フィノちゃん。幻想炎柱フィクションバーナー! 読者にも見せてない新技♪ 火傷はウィンちゃんに治してもらっ――」

「あっはははっ! やっぱり面白いよ、君はさ!」

 その声は燃え盛る炎の柱の中から。瞬間、フィノのステータスが炎の柱を弾け飛ばした! フィノちゃん特有のステータスによる攻撃だ。煙が消え、そこには無傷で笑顔のフィノちゃんが立っていた。明る様に気楽そうな姿。

「あらかじめ、罠を張っておいたんだね? 絵の具の地雷ってことかー。ちょっと判断遅れたら死んじゃうとこだったよー」

 なんて物騒なワードを楽しげに話す。新技なのにぃいいいいー! 絶対ステータスカーストしてるじゃん!

「ふふふふっ……ここは既に私の絵の具がばらまかれた地雷のステージ。フィノちゃんはまんまとハメられたという――」

「てーい!」

「っ?!」

 ガッ!

 フィノの声が真後ろから。咄嗟に長筆で後ろをガードした甲斐あって、フィノのステータス物理攻撃をガードできた。ワープでもしたのかと疑うレベルで瞬間移動したフィノ。

「そこは地雷、だよ」

 再び、今度は私の背後から炎の柱が出現する! が、二度目はやっぱり避けられてしまう。いや、まだまだっ!

 私はガードのために背後に回していたその筆を炎属性に、燃え盛るバーナーに変化させ、その勢いで前方へと飛び上がる。空中で反転、回避中のフィノちゃんに向けて筆を構えた。

炎柱長筆バーナーステッキ!!!」

 構えた長筆の毛がバーナーの炎に変化し、フィノちゃんのいる場所をえぐるように燃やし尽くす! いわゆる火炎放射器のように。ただ破壊力が強いため、私も反動で吹っ飛び、後転しまくって不時着する。ただ、これで距離は取った!

 すぐさま筆を構え、追撃に入る。火属性の赤絵の具を長筆に充填。そのまま力を溜め、一気にフルスイングで放出する!

幻想色彩フィクションカラー禁忌フルフレイム!!!」

 溜めに溜めた力が解放され、圧倒的火力を持った絵の具が金色の輝きを放ちながら、通常とは比べ物にならないくらいに多量の絵の具がフィノちゃんを襲う。それは金色の津波のように前方を飲み込んだ。


「負けたぁ~っ! 何であんなに強いんだよぉ~っ!」

 ダンジョン地下四階層の元草原、今は荒地となったその岩場で、私はバタバタ両足をバタつかせて悔しさに悶えていた。って言うか、負けまでの過程が早すぎるんですがっ?!

「まぁー二回目にしては良くできた方だよ?」

 と、出現させた浮遊するステータスの上に座って、笑顔でそう言ったフィノちゃん。

「二回目にしてはって言うのが謎なんですが?!」

「あはは! でも自分にもっと自信を持ちなよ。攻略本レベルの成長速度だったよ?」

「それ攻略本なかったら、やってもできないYDKみたいなんですけど?!」

 っていうか、この下りは以前の模擬戦でもやってたよね?! 結局、茶番をやりきっただけなんですけど?!


 二度目の模擬戦、フィノちゃんは結局、私に本気なんて出してなかった。私の放った幻想色彩・禁忌はフィノちゃんのステータスによっていともたやすく回避されてしまった。

「ほらほらぁ、今の一撃でやっつけたと思って油断してると足元すくわれちゃうよ? ウォーカーエフェクト」

 突如、私の足元に巨大なステータスが出現し、上昇。急激な下り坂を作り出して、私の足を文字通りすくう。そのまま私は抵抗できずに転がっていき、フィノちゃんの元へ。

「はい、おしまい! ダウンプレッサー」

 転がっている私に上からステータスを押し付け、そのまま潰されて私は動けなくなった。その前に余裕の笑顔のフィノちゃん。

「狐火くんの標本の完成だねー」

「むぎゅー……」

 結局、フィノちゃんには勝てる気がしなかった。多分、あれはラスボスか、黒幕とかに出現すべきキャラクターだよ、あれ。

 この日から、私はフィノちゃん攻略のために、全生命力をかけて思考回路をフル回転させ始めた。こう見えても私は有名ゲームサイト『Game○ith』よりも早くゲームを攻略していた。あぁ言うカーストキャラは大抵、持久力にかけるんだよー。負担が大きいからね。

 ただ、一番手っ取り早い攻略方法は、フィノちゃんを良く知る人物から情報収集すべきでぇーす。

 っと、その前に、この状況から抜け出さないとね。こうしてる今も、フィノちゃんは暇潰しにティータイムしてるし。

「そこで問題だ! この身動きできない状況、どうやって抜け出すか? 3択―一つ選びなさい!!!」

「無理無理、狐火ちゃんにはきっと無理だよー」

 なんて悠々と紅茶をすするフィノ。ムキィイイイイイイッ! 見てないさいっ!


 答え①キュートな木ノ葉は突如反撃のアイデアがひらめく。

 答え②仲間がきて助け――る奴はいないので、モンスターがフィノちゃんに襲撃。

 答え③抜け出せない。狐火は雑魚である。


 ちょっと突っ込みたい気分なんですが。……やっぱり○を付けたいのは答え②だけど、期待はできない。焔液流動によってモンスターはこの階層から逃げ出してしまった。仮に残ってたとしても、フィノちゃんに襲撃したところで意味はないし、すぐにやっつけられるだけだよ。

「やはり答えは①しかないみたいだね! すぅー……さぁ!」

「ん? どしたの、狐火ちゃん?」

「総解放! 幻想炎柱フィクションバーナー!!!」

 模擬戦前に仕込んでおいたトラップを全解放し、フィノちゃんを全方向から炎柱で襲う。しかし、フィノちゃんはその盲点を突く。そう、私が【一点のみ】を狙ってしまったからこそ生まれ出してしまった安全地帯。いち早く反応できたフィノは自身の立つその地点から二メートルほどズレる、避けるのはそれだけで十分だった。せっかくの全方位は一点のみの攻撃判定。軽々と避けられる。


 答え③……。

「あっははっ! 狙いだけはスナイパーのように正確だね!」

「お褒めの言葉ありがとさん。私の最後の攻撃はもう終わったよ」

 私は落胆し、らしくなく素直に敗北を認めることにした。圧力をかけるステータスを押し返そうとしていた力を抜き、逃れることをやめた。フィノちゃんもそれを見て、勝敗が決まったと技を解除しようと動く――その瞬間、地面から爆発が起こり、無防備なフィノを吹っ飛ばした!

「っ――」

「うわぁあああああ?! なになになになになにぃっ?!!!」

 ステータスに押し潰されてた私は幸いなことに爆発から身を守ることができた。だが、確実にフィノちゃんにはクリーンヒットしていた。せっかくして塞いだ焔液が、先ほどの大爆発により、再び開いてしまった! 爆発発生点には深い火口ができあがり、そこから再び焔液が流動し始める。

「ま、まずいよぉおっ?! 焔液流動再び?! ゴホッゴホッ」

 爆煙が周囲を包み込む。煙で呼吸が苦しい。吸いすぎれば死んでしまう。まず逃げなければならなかったが、ステータスの拘束が解除されず、身動きが取れない。このままではフィノちゃんの二の舞になってしまう。いや、ありかもしれないけど、私にはウィンディーネもいるし……あ、でも、え、どどどどどどうしよう……これじゃあ、二股になるしぃいいい。

「勝手に人を殺さないでよね、狐火ちゃん」

「フィノちゃ、ゴホッ」

 爆煙で視界不良。しかし、どこかにフィノちゃんがいる。フィノは私の拘束を解いてくれた。しかし、姿が見当たらない。ひとまず爆煙から逃れる。

 焔液流動、確かに止めたはずだった。それが再び動き出している。みんなで苦労して止めたのに、それなのに――

「それなのに……」

「じゃ、また止めよっか、今回は全生命力をかけて」

 いつの間にか背後に立つフィノに驚いて腰を抜かすだらしない主人公。

「あ、ビビった――あ……そ、その顔……」

「ん?」

 フィノちゃんの顔左半分から左肩にかけて、皮膚が火傷で爛れてしまっている。それでも痛そうな表情を見せないフィノ。

「あはは、ちょっと遅れちゃってー。痛覚遮断で何とかねー。以前は油断しちゃって死にかけたけど、今回は最初からフル出力で――」

 その言葉が爆音でかき消される。大規模な爆発の発生。ただ、私とフィノちゃんはその原因をしっかりと捉えていた。離れていたからこそ、発見することができた。上空から一直線に飛翔してきた光線を。

「ブレス……狐火ちゃんの師匠が言ってたメテオの――」

「あ、アリアさんねー」

 そんな話をしていた矢先、そのメテオとやらのブレスが再び降り注ぎ、この一帯を壊滅させ始める。今日、この日、ブレスが降った日……それはまるで――

「まるで、夢の景色のように」

「「美しい眺めだった」」

(作者:それは絶対にパクったらまずい!!! っていうか、ブレスが流星群と同じ景色ってどういう目してるんだよ、お前ら)

 良いじゃん、綺麗は綺麗だし、どちらにしても災害は災害なんだしさ。

「さぁ、狐火ちゃん! これがテストだよ!」

 って笑顔で言われても、片方火傷で爛れてて怖いから! アングル顔ドアップは怖いから! っていうか、そこはモザイク処理必要だから!

 フィノちゃん、やる気満々。いや、半分負傷してるけど。

「波動『ステートコントロール』」

 フィノちゃんの波動。目の前にステータスが表示される。フィノちゃんは自分の属性値の所を手で触れると――

「えいっ」

 その文字が改変された! 無属性から水属性に変化する。つまり、フィノちゃんの『ステートコントロール』は文字通り、ステータス改変の波動。

「それはチート過ぎるんじゃ?!」

「それは大人の事情だよ」

「いやいや、大人じゃないじゃん!」



 同時刻、上空。ポツリと浮かぶ一体のモンスター。全身真っ赤な炎に包み込まれた、まるで隕石のような生物。その鳥の眺める真下、人々の行き交う都市『ガルモーニャ』がある。その鳥に気づいてる人間は存在せず、そしてこの鳥が脅威となるメテオ、だということも、誰も知らなかった。


 ――一部を除いて。

 今回もまた、我ながらにメタネタ発言が多かった回だったなー。そして語彙力のなさを痛感するんですよー。僕もフィノみたいに『痛覚遮断』ができたら、こんな語彙力のなさも気にしないのにね。←それはまずい。

 何だかんだ、再び危機が迫る状況を作り出しました。いや、恐らく今後はずっとこんなんじゃない?←人ごとみたいに言うな。

 だってほら、大抵の漫画とかってループタイプじゃん? 小説もそんなもんじゃないの?←楽観視過ぎるから物語が崩壊するのでは?

 でもね、楽しんでくれれば結構。それが一番ですから!←いや、パクりネタは確実に謝罪レベルに値するよ。


 完結まで秒読み! にしてほしい僕でした。

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