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第17話『その後……』

 長い夢を見た気がする、とても長い夢。懐かしい香りと涼しげな風を感じながら、そこにある温もりにホッと一息を吐く。それとは真逆の鋭く冷たいその表情の少女が、なぜか優しく思えた。

『起きなよ、あなたはまだ、ここに来るべきじゃない』

 なんのこと? ここってどこ? それと、どこかで会ったことある?

 綺麗な黒髪をしたお淑やかで静かそうな少女。無表情なのにどこか優しさを感じる。

『……きっといつか、あなたに会いにいくから。その日まで、ここに来ないで』

 その少女はほんの一瞬だけニコリと笑顔を見せると、そのまま薄れていった。

 待って、まだ話したいことが――


「……あ、あれ?」

 気がつくとどこかの部屋のソファーの上に寝そべっていた。確か、ここはウィンディーネの家のソファーの上……。というか……何で? 地下の草原に――っ?!

「ウィンディーネ?!」

 意識がはっきりとし、ウィンディーネの安否が心配で飛び起きる。椅子の上、眠り老けていたウィンディーネが目を覚ます。眠たそうにあくびして――

「お、おはよう、ございます……」

 だなんて呟く。

「ウィンディーネ!!!」

 咄嗟にソファーから飛び出して椅子ごとウィンディーネに抱きついて倒れる。バタンっと物音が響き、背中を強打するウィンディーネ。

「……いたたた……どうしたんですか、狐火さん?」

「い……生きてる……生きてるぅうっ!!!」

「えへへ……困らせてごめんなさい」

「はっ! ……焔液流動は?!」

「狐火さんのおかげで……いえ、狐火さんたちのおかげで止まりました」

「オゾンホールは?!」

「え?」


 地下四階層草原に狐火木ノ葉とルフ、そしてノヴァの三人が辿り着くまでの話。

 ギルド集会所。大規模な停電中だったが、ノヴァの作り出した膨大な電気が集会所の電力を賄っていた。しかし、その集会所を利用しているのは狐火たちの三人だけ。

「それだぁぁあああああ!!!」

 と、突如発狂して集会所を飛び出した狐火木ノ葉。酸欠状態にも関わらず、全力疾走で向かう先はレインズブロウ海底神殿の水上、正しくは氷上。凍りついた海の底、ウィンディーネと共に脱出した形跡、そう叩き割って作り出した穴があった。レインズブロウ海底神殿へと続くその穴を狐火木ノ葉は滑り降りる。彼女は欠乏する酸素の解決策を考えていた。以前来た時に見つけたアイテム『空圧草』だ。レインズブロウ海底神殿は春夏の時期、人が立ち入ることが可能になるが、それは『空圧草』と呼ばれる植物によるもの。この植物は膨大な量の酸素を排出し、レインズブロウ海底神殿に海水のない空間を作る。この草を利用して地上に酸素を循環させようという作戦だった。現在、異常気象? によって凍りついた海では『空圧草』の酸素は地上へ排出されない。そこで地上にわざわざ『空圧草』を持ってきて循環させようという策だった。そして、その策は見事成功を収める。

 しかし、問題点はもう一つ。惑星の酸素を食らい続けるオゾンホールだった。これを解決しなければ『空圧草』がいくら酸素を排出しようとも、いつかは酸素がなくなってしまう。その問題について集会所で頭を悩ませる三人。そんな三人の前に突然、師匠が現れ、こんなことを尋ねた。

「……ウィンディーネとフィノはまだ戻らないのか?」

「はい? ……何のこと?」

 そこで初めて、ウィンディーネとフィノの二人が焔液流動を止めようと、地下四階層草原に向かっていることを知る。そして、二人からの通信が途絶えていることも。

「じゃあ、助けにいくしかないじゃん! 何で師匠は行かないの?!」

「いや、俺は今ここに帰ってきたばっかだ。狐火……危険なのは当然だが、ついて――」

「行くっ!!! それに、師匠が大抵のモンスターは倒してくれるしね」

「はぁ……お前はなぁ……」

 そして師匠についていき、地下四階層草原へと足を踏み入れることとなるが、オゾンホールは全く手をつけていなかった。

 ダンジョンは、地下一階層から三階層まで、モンスターが湧いていたが、なぜかほとんどが負傷していたり、瀕死状態だったりと戦力がダウンしていた。既に誰かがここを掃討している証拠だ。なので初心者の狐火でも容易に四階層草原まで辿り着くことができた。

「っていうか、なんで地下なのに空があるの?!」

「知るかよ、それが常識なんだしよぉ」

 と呆れ顔のルフ。至って普通だと言いたげな表情をしていた。

 この異世界ではこれが普通になっている。原理は未だに謎らしいが、地下四階層から時空が歪んでるらしいとのこと。

 流出ポイントは遠目でも一発で分かるほど、噴煙が舞い上がっていた。そこに五人の倒れる姿を見つける主人公狐火木ノ葉。瞬間、彼女の身体は勝手に動き出していた。脳内が急速回転し奇策を閃いた。

「さぁ行くよ、ルフ!!! ノヴァ、大雨よろしくぅっ!!!」

「うおっ?! ちょ、待てって!!!」

「了解! って指図するんじゃないわよ!」

 危険を知っていて師匠は傍観者を気取ることにした。狐火木ノ葉の可能性にかけることにしたのだ。

 全速力で駆け出す狐火木ノ葉。背中に背負っていた長筆を引き抜き、後方で溜める姿勢を取りながら駆ける。

「今回は一味違うんだから! いっくよぉおおおおお!!!」

 筆毛が普段は変色するだけだが、今回は炎そのものに変化する。ガスバーナーのような燃え盛る炎が狐火木ノ葉を後押しし、急激に加速させる! 当の本人は集中モードで全く気づいてはいなかったが、この時、狐火木ノ葉は時速七十キロで走っていた。ほんの数秒で五人の元へ。そこには、倒れる四人と自殺しようと首に刃物を突きつける瞬間のフィノの姿。

「うぉあああああああああああああああああっっ!!!!! フレェイムゥォアアアアアッ!!!!!」

 ガスバーナーのように激しく燃え盛る筆毛が金色に輝きだし、通常時の数十倍の膨大な量の絵の具を撒き散らした。


「――と、狐火さんのおかげで救われました」

「で、でも……ウィンちゃん……背中の大火傷は?」

「あ、背中ですか?」

 まるで何事もなかったような顔をするウィンディーネに、逆に不安になってしまう私。そんな私の目の前で背中を向けたウィンディーネが突如、パーカーを脱ぎ始める。え?! ちょっ、そっ、そっち系はこここここここの、しょ、小説では――あ……あれ?

 ウィンディーネはパーカーの下にはなぜか服を来てなくて裸。腰までパーカーを脱ぐと、その背中は……傷一つなく真っ白で綺麗な肌だけだった。ちょっ、エロ過ぎだお、ウィンちゃ――

「ぶふぁっ!!!」

 我慢できず鼻血吹き出しノックダウン、勝者ウィンディーネ。良い夢見ろよ、私。あ、確かに大火傷の傷がなかったね。でも何で?

「説明しましょう! その前に、鼻血拭いて起きてください」

 パーカーを着直したウィンディーネが私にティッシュを渡し、それで鼻血を拭き取る。二次元でなければ、この鼻血の出血量は致死率である、ドヤァー。

「私が溶岩で背中を溶かされたはずなのに傷が治ってる理由、でしたっけ? 私の身体は水で構成されてるんですよ」

「え……えっ、いや、でも実体じゃん」

「元は肉体でしたよ。色々訳あって……魔力で身体の構成を水に入れ替えたんです。普通に触れる分には肉体ですが、本質は水です。だから水魔法を使い過ぎると身体が枯れてくし、焼かれれば蒸発します。けど、逆に言えば水があれば傷は戻ります。……あの時、狐火さんの水魔法がなかったら助かりませんでした、ありがとなのです」

 それを聞いて、鼻高になるお調子者の私。そうだよ、良く良く考えたら、初ダンジョンの時に現れた緑翼竜を一撃討伐したの私だし、今回の焔液流動に終止符を打ったのは私じゃーん! ふふふっあっははははっ!!! そうさ、主人公はこうでなくっちゃ! これこそがこの世界で唯一、私のみが所有する特殊能力、波動『主人公補正』さ!

「いや……あの、緑翼竜に関してはフィノちゃんの爆弾のおかげじゃ――」

「そういうことは言わないの」

 とウィンディーネの頭をついでになでなでして愛を育む私。SAN値回復。

 確か、緑翼竜を攻撃する寸前に、ダンジョンの天井部にできてた穴からフィノちゃんの爆弾が落ちてきたんだっけ? そもそも何でそんなとこに穴があって――

「――っ?! フィノちゃんは?!」

 フィノも溶岩に両足を溶かされている、そのことを思い出し、再びシリアスモードに戻る私。今回はウィンディーネも顔色を悪くする。すぐに察せた。

「……フィノちゃんは……救急搬送されて、集中治療室で魔法治療を受けてるはずです」

「死なないよね?! ねぇ! 死な――」

「死にません! ……ほら、両足だけだし、死ぬはずないじゃないですか」

 ウィンディーネの叫びで冷静さを取り戻した。現実でも両足だけだったら死なないはずだし、それに魔法治療なんだからなおさら死なないはずだ。そのはず……。そうなると、今やるべきことをやらないと。

「……オゾンホールを消さないと」


 焦りが募るが、冷静さを何とか保ってウィンディーネと一緒にまずは、ルフとノヴァの二人に会うことに。あの二人なしではオゾンホールは……というか、消し方が全員分からないんだった。

 とりあえずギルド集会所へ。そこに二人はいた。のんきに椅子に座って他のパーティーたちと、たわいもない会話をしていた。ギルドの集会所は以前の活気を取り戻し、複数のパーティーたちが宴を催していた。まるでもう全ての問題が解決してしまったようなエンディングムードを漂わせる。

「それはないんじゃないかな?! 二人共ぉっ?!」

 私の声に気づいて陽気な二人が駆け寄ってくる。

「よぉ、狐火! 元気にしてっか?」

「はぁあっ?! オゾンホールの件はどうし――」

 その口をノヴァが手で押さえる。あ、ちょっと萌える……。

「オゾンホールも解決済みよ、感謝しなさい。いや、正確には狐火のおかげなんだけどね」

 それを聞いて数秒思考が停止した。

「……オゾンホールの原因、それは海底火山からの流出してたガス。氷海で起こった爆発が原因で亀裂が走り、ガスが漏れ出したんだと思う。でも焔液流動を止めたから、それと連結してガスの流出も止まったのよ。ありがと……狐火」

 ノヴァが耳元でそう囁いてくれた。何このデレ?! あ、あっはぁあはぁ~ん、幸せなのじゃぁあ~www


 と、まぁ、こうして私の異世界生活に第一章の幕を下ろした。……って気がします。いや、そうに違いない! 問題も全て解決してこうして賑やかにハッピーエンドを迎え、私はウィンディーネとムフフ……。

「な、何か嫌な予感がするんですが……」

「うふふ、ウィンちゃん。家に帰ろっかー」

「あ、は、はい……何か不気味ですよ、狐火さん」

 あはは、何でもないおー。

 そしてウィンディーネの家に帰ってあんなことやこんなことをですね、うふふふ……。


 やりたい放題の数日間だったけど……いや、っていうかまだ異世界来てから四日しか経ってないんですけど!

「いえ、五日です」

「え?」

「五日目、ですよ」

「……え?!」

「狐火さん、あれから突然眠っちゃって……次の日、つまりさっき起きたんです」

「眠って一日経過してた?!」

 じゃあ、異世界来て五日目。第一章完結!ここまで私の暴走妄想世界に付き合ってくれた読者の皆様方、ありがとうございました! 当作者のサボり癖が小説執筆速度を下げ、五日だけの記録がここまで伸びてしまいました。作者に変わってお礼します、すいませんでした。さて、私もそろそろ、っていうか五日しかいなかったけど、この異世界とはお別れの時です。いやー、もっと魔法とか使いたかったし、むしろまだ全然満ち足りてないんですけど。それにもっと私の魔法は進化を遂げるはずだったんだけどなー。

「じゃあ、地球に戻るのはお預けだな」

「むっ?! 何奴!」

 どこか明後日を指差す私の背後に突如出現する死神。というか師匠。

「誰が死神だ、暴走女」

「誰が暴走女だ、その通りだ!」

 やれやれと頭を悩ます師匠とドヤ顔かます私。と、傍観者のウィンディーネ。街中は陽気そのもので誰もが『問題が解決したから平和が戻ってきました』と思い込んでいるご様子。その中で師匠だけがはぶられている。

「その言い方やめろ」

「で? もしかしてまだ問題が――」

「ああ、厄介な件だ。ウィンディーネ、お前の要求していたことだ」

「……メテオ、ですか」


 焔液流動警報が発令したあの日、師匠は一人、ダンジョン地下四階層草原を訪れていた。流出ポイントを見つけたのも師匠だった。時期的にも不自然な焔液流動に疑問を浮かべた師匠は、焔液流動の要因を見つけるべく、ダンジョンを周回していた。

「そこで地下一階から四階までを貫く『穴』を見つけた」

「それって――」

 私が初めて倒した緑翼竜。初心者の私でも倒せたのは、二階層天井に空いてた『穴』から落ちてきたフィノの爆弾。それが綺麗に緑翼竜に当たってくれたから。その時に空いていた『穴』が、

「メテオの貫いた『穴』と見て取れる」

「メテオ……アリアさ――あ」

「え?」

「……ウィンディーネ、お前……」

 大きくため息を吐いて頭を抱える師匠の姿と、青ざめて黙り込んだウィンディーネ。そして、『アリア』って名前。もしやこれは――

「師匠! もしかしてアリアって名前なんですか?! あっはははっ! アリア、なんだ! 女の子じゃん、あっははははっ!」

「やれやれ……これだから、こいつにだけは知られたくなかったよ」

「ごめんなさぁい、アリアさん!!!」

 名前がバレた途端、きっぱりと師匠の名前を呼んで頭を下げるウィンディーネを、アリアこと師匠はその頭を上げさせる。急に疲れたような表情で再びため息を吐くと、師匠は腹を抱えて嘲笑中の私の頭に軽くチョップを決め込む。

「ギャフン!」

「そーだよ、俺はアリアだ。何がおかしい?」

「だってそれ、女性名じゃん! ブホォッ――ギャフン!」

 再び頭部にチョップが落ちる。ひっ、ひどい! まだ両親にも殴られてないのに! っていうか男が女に手をあげるなんてサイテー。ブーブー。

「仕方ない。正体を――」

「いっ、良いんですか?! だってあれほど――」

「気にするな、ウィンディーネ。こいつはまぁ、こんな奴だが――」

 こんな奴って表現?! そこどうにかなりませんか?!

「――それでも一応は、俺の弟子だ」

 一応は?!

「ふぅー……さて……やるか。波動『リバース・アクト』」

 師匠が突如、波動を放った。一瞬で部屋の中を閃光が埋め尽くし、視界を真っ白に染め上げる。あまりの光量で目に激痛を伴い、しばらく私とウィンディーネは目を開けることができなくなった。

「ぐあぁあああああああ、目が、目がァああァアアアアアッ! あぁ、目がぁあああ、あぁあああぁ」

 両目を手で覆い隠し、激痛に呻く私。いや、半分ふざけました。まさか、このセリフが使える機会が来るとはね。

 次、目を開けた時に衝撃の光景が目の当たりとなる。いや、分かってるけど、展開的にどうなるか。

「さて、どう見えます?」

 その声は低めの綺麗な女性の声。師匠のいたその場所に、師匠と同じ格好をした女性が立っていた。細い目に綺麗に整った顔立ちが年齢より若くて綺麗に見える。こんなクールな教師いたら良いなって思う感じの、つまりはアニメに頻繁に出てきそうなモブ設定の女性だった。

「もっと良い言い方にならないかしら?」

「……いや、予測つくけど、師匠でしょ? ……で、どっち系なの?」

 全く驚く要素がないので驚かないでいるだけなんだけど、ウィンディーネがそんな私に驚いていた。ウィンディーネは師匠のこの姿を見たことはあるらしいけどね。

「どっち系というのは?」

「だからぁー、新人類なの? 両性類なの? そう言う類の気持ち悪いとこ?」

「随分と失礼な質問ですが答えてあげます。名前から察してくれてるとは思いますが、私は女です。普段は男の姿で生活してますが」

 何かそれはそれでもったいないよね。こんな綺麗な美人さんが、あんな厨二病こじらせて黒魔法とか使いそうな胡散臭い人物になりすます意味だよね。

「……狐火さん、あの、心の声が漏れてますよ」

 ウィンディーネに指摘されるが、直すつもりはないのだっ!

「以前の……つまりは君がこの異世界に転移してくる前の弟子であるレイナは――」

「レイナって言うんだ、その子」

「そう、レイナよ。……彼女は同性を見ると――」

「興奮しちゃうんだね! やっぱり外見が同じだけあって似てるなー、あっはは!」

 アリアが口にするより先に答える私。直感がレイナを同類と見たね。

「……その通りです」

 ほらきたぁっ!!!

「あとは分かるでしょう? 彼女は私の姿で興奮してしまい、修行にもならない。それなので、波動の力で性別を入れ替えた、という訳です」

 無表情で淡々と答えるアリア。確かにこんな綺麗な女性を前にしたら修行なんてできっこないよね、レイナ。分かる分かる、君の気持ちがとっても分かるよ。クール美人はアール指定だよね。

「今、卑猥なことを考えていますね、顔に出てます」

 あははは、かっこ汗。にしても師匠の豹変ぶりがものすごい。さりげなくスマホで盗撮したけど気づかれなかったよ。永久保存しておこう。


「話がズレました。……さて、ウィンディーネ」

「は、はいぃ!」

 なぜか緊張モードのウィンディーネ。確かに師匠かっこ男の時より威圧感が強くなったのは確かだけど。そんな師匠かっこ女はメテオについてを語る。

「メテオは自身の身体を武器に、落下エネルギーを利用して地上に多大な影響を与えるモンスター。名前の由来はその行動にあります。屈強な身体と貫通性の高い嘴を持つ、その姿は赤くて炎を纏った、フェニックスのような姿をしているという……。今回の焔液流動の原因はメテオの追突攻撃、だと思ってました」

「あぁ、そいつは全くの見当違いだぜ」

 なぜか勝手に人の家に上がってきたルフの姿。さっきまで集会所で宴騒ぎに浮かれていたはずのルフの姿。問題なんかそっちのけで私たちを取り残して楽しんでたルフの――

「もう良いだろうがっ! 悪かった悪かったよ、はいはい!!!」

 私の心の声を悟ったルフがめんどくさそうに叫び散らす。思うんだけど、この異世界人たちってやっぱり心の声を読む能力があるんじゃ?

 ルフは勝手に上がってくると、私の座っているソファーの隣に深々と座り込んで、なぜか肩を組んだ、急に? いや、可愛い男の娘だから許すよ、ルフちゃん。あれ、綺麗な手をしてるねぇ、ルフちゃん。私はねぇー、君のよーな綺麗な手を見るとつい舐めたく――

「うわぁあああっ、キモキモキモキモ、近寄んな」

 勝手に肩を組んどいて、勝手に離れるルフ。今、心にナイフ刺さったよ、うん。


「話を戻します。……さて、ルフ」

「あぁ、分かってる」

 全く緊張すらせずラフなルフは――ラフなルフってちょっとおもしろい。

「話戻せ、話をよぉ!」

 緊張すらしてないルフが師匠かっこ女の話を引き継ぐ――

「前に、私の呼び名を師匠かっこ女からアリアに修正してもらっても良いですか」

 緊張すらしてないルフがアリアの話を引き継ぐ、これでいいかい?

(作者:それ以前に、お前ら全員、メタ発言するなよ)

 Shut up!! Get outta here!!!

 僕的には師匠は師匠のまんま、ダサくておっさん臭くて加齢臭だらけで口が臭くてとにかく胡散臭いおっさんであってほしかったなー。


アリア男「臭いが多すぎだろ。そして口は臭くない」


 こんなおっさんが美女になるとこがどーしても認められない。おっさんはおっさんのままおっさんとして生きるべきだ。


アリア女「いや、元々は女性なんですが」


 ここに来て急にキャラの濃さを見せつけ始めたよね、この人。最終回近くてモブ感あったからここで爪痕残さないと読者に「あれ? こんな人いたっけ?」って思われてしまい、それが嫌だから突貫設定を無理やり埋め込んできた、って感じだよね。


アリア男「ムカつくからご退場願おうか」


 あれ? ちょっと、何で僕に向けて魔法を唱えようとしてるの?! ちょ、悪かった! 悪かったから、その、魔法はやめようね、魔法は――


アリア男「波動『暴走血潮バースト・ファンブル』」


 ギャァアアアアアアアアア――――――――――

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