第15話『共闘リリーフ』
僕には……両親がいない。僕がまだ小さい頃『クルィーロ』と言う国の『ガルモーニャ』と呼ばれる街のとあるパーティーに殺された。瀕死状態の母は最期の力を振り絞って僕を逃がしてくれた。僕らの暮らしていた火山とは反する遠く彼方の雪降る大陸に。
僕自身にも体力は残ってなかった。この仄暗い空の下、冷たい雪を頬に感じながら、僕は雪の上に倒れていた。気がついたらそこにいたって言ったほうが正しい。雪はやまずに降り積もっていき、僕の身体を徐々に白く染めていく。このまま冷えた雪のように、体温を失って、生命の炎が消えていくんだろう。そう思ってた。その子が僕の前に現れるまでは。
「どーしたの?」
「……あ、あぁ……?」
霞む瞳で見上げる先に、一人の少女が座って覗き込んでいた。金色の髪の毛と白いマフラーをしているのが何となく分かった。それを確認して、僕の意識は闇の中へと葬られた。
次、目を覚ました時には、僕は暖炉の前にいた。煌々と燃える暖かな炎がとても懐かしい。どうやら僕はあの女の子に救われたみたいだ。ソファーの上、とりあえず起き上がる。石ブロックで作られた小さな家。木製の机や椅子、その他家具もしっかりと揃っている。人一人が住むには文句なしの家だった。台所らしきとこに先ほど見た少女が料理をしてる姿を見つける。
「……あ、あの……」
「おはよう。雪道に一人倒れてたから驚いちゃったよ。大丈夫? 何があったの?」
「……ぼ、僕……僕は……」
寝起きでボーッとしていたが、すぐに記憶が頭を巡った。頬に涙が伝う。止まらないその涙に、表情はボロボロだっただろう。そんな僕の姿を見て、女の子は僕へと近づき、ギュッと抱きしめた。白いマフラーが顔に当たって涙が染みる。
「……?!」
「よしよし……辛いんだよね……。こんな私しかいなくてごめんなさい。だけど、私で良かったら……泣いても、良いよ……。我慢しなくて……良いよ」
その瞬間に心の中がざわめく音を覚えた。冷たかった心が暖められていく、そんな感覚に、僕は涙をこらえることを諦める。柔らかで暖かなマフラーの感覚をずっと忘れない。その見知らぬ女の子に抱きつき、泣き疲れて眠るまでそのまま……。
上空……雲一つないその虚空に浮き上がる一体の影。その姿は赤き火の鳥フェニックスのように、長い嘴と翼を持つ。その鳥の眺める遥か下の地上。大陸の街が栄えるある一国。その鳥が一度叫び声を上げたその瞬間、一筋の光が真っ直ぐと落下していき、地面を貫いて地下ダンジョンを穿った。地下四階層の草原で……致命的な大爆発を起こした。
「うわぁあああああああああっ?!」
全身寝汗だらけで飛び起き、勢い余ってベッドから転落。そのまま顔面から地面に不時着を決めた僕。早朝から顔面強打による大ダメージの負傷をしてしまった。
「あはははっ! どうしたの、悪夢?」
つい笑ってしまった女の子が地面に倒れる男の子を起こす。
「……いや、何か思い出せないけど、悪い夢を見た気がする」
雪道に倒れている僕を救ってくれた女の子。あれから僕はこの女の子にお世話になっていた。この女の子にも僕と同じように両親がいなかった。けれど、とても元気にニッコリとしているのが不思議に思える。そんな笑顔に僕は救われていた。
今日も天気は雪。いつも通り、雪道を通って薪集めに出る。薪がないと凍死してしまうからね。
この日、僕はこの女の子と別れることになる。それはとっても簡単な話だった。薪集めで単独行動を取ってた僕たち。順調に薪を集めていたそんな時、僕は女の子の悲鳴を聞いた。咄嗟に薪を投げ捨て駆けつけたその先に、真っ赤に染まった女の子の姿があった。背中に大きな爪痕が残っているのを見て、野生のモンスターに襲われたのがすぐに分かった。僕はすぐに女の子の治療に入るため駆け寄る。女の子は少しだけ意識があったらしく、何とか起き上がろうとしていた。
「動いちゃダメだよ! 出血が増しちゃうから……」
なんて僕は鳴き声のような声をかける。
「えへ、へ……あり、がと」
女の子は僕へと近寄ると、そのまま僕の上に覆いかぶさるように倒れた。身長が女の子の方が大きく、防寒服で僕の体が隠れるような形に。その瞬間、女の子の背中に魔法がヒットし、背中に致命傷を作った。女の子はどこからか飛翔してくる攻撃から、己の身で守ろうとしている。多量出血で女の子は助からないだろう……。動こうにも動けず、そのまま僕は何もできない。
その女の子は血だらけの腕に力を入れ、腰につけてたナイフを手にとった。
「な、何を、するつもり、なの?」
「……えぃ……」
そのナイフは攻撃には使わず、自分のつけていたマフラーを切り裂いた。長さが一メートルほどになったマフラーを僕の首に巻きつける女の子。白マフラーは血液で真っ赤に染まっていた。
「……あ、たた、かい?」
「そ、それどころじゃ――」
「えへへ、これで、寒く、な……い、ね……」
それが彼女の最期だった。僕はこうしてまた……独りになった。
主人公こと狐火木ノ葉と、男の娘ことルフ。
「男、な! お、と、こっ!」
あれから私とルフの合わせ技『魔弾、火焼旋風・金環』を氷海に向かって何発か適当に乱射し、氷海を荒らしに荒らしておいたが、初弾以外は爆破も亀裂も誘発できず。その謎を残したまま、とりあえず一旦家に戻ることにした。そう、ルフちゃんの――
「っぶふぁっ?! なぜ殴ったし?!」
「俺の家までついてくつもりだろ?」
「なぜ心読めるんだ、お主らぁあああ?!」
やはり二人の力ではあの広大な海の氷は割り切れませんでした。なので一旦作戦会議でーす。
「ということで、ギルドの集会所にやってきましたー」
「……閑散としてるな」
焔液流動警報による影響でギルド内には誰もいない。いるとしたら、あの口うるさくて尋問屋さんのギルド嬢だけかな?
「やぁ、お嬢ちゃん。今年は散々だねぇ。焔液流動警報と言い、この大寒波と言い……暑いのやら寒いのやら」
「何が言いたいのですか、狐火さん」
暇つぶしにギルド嬢に話しかけて、冷たい視線を食らう私。というか、名前を覚えられる始末。
「君の瞳が今、私を捉えている。もう逃がさないよ。逃げられないよ、私の誘惑から」
「……」
無言で目線をそらされる。というか無表情だけど絶対に飽きられている私。そういえば、この前の薬草採取の報告の時もこんなやり取りを――そう言えば……焔液流動警報でクエストには出撃できない状況下、何でウィンディーネは許可証なんて取れたんだろうね。
「ごめんくださぁああああああいっ!」
響き渡る声、鼓膜が破ける破壊力。その声の主は集会所入口に。金髪ツインテのその子。完全にツンデレキャラ来たよ。もう確定でツンデレキャラ来たよ。
「すりすり」
「……っうわぁああああ?!」
何となく可愛かったので頬をスリスリしただけなのに驚かれた。あ、普通? 入口からギルドカウンターまでおよそ10メートルを瞬間移動したから的な? それはね、小説ならではのショートカットだお。
「な、何なのよ、アンタ……?」
「私は救世主狐火木ノ葉! この世界に舞い降りた唯一無二の勇者であり――」
「「うわぁあああああああああ?!」」
「ふぇあっ?! な、何?!」
金髪の女の子が驚愕した表情で見つめる先、私の背後に立っていたルフの姿。ルフもこの女の子と同じように目を見開いて硬直する。そんなお互いの首には似たような赤マフラー。さ、察した、うん……。私はここらへんでドロンしておきますね、ドロン。
「……」
「……」
いつの間にか間から消えた私。ルフと金髪の女の子は互いに見つめ合ったまま動かない。お互いに何か信じられないという顔をしている。
「……ルフ?」
「……そ、そうだよ、この……バカ女……。フラグかけたくせに生き返ってんじゃねぇよ……ノヴァ……」
なんて言葉を吐きながら、ルフはどことなく嬉しそうな表情を見せていた。何だ、このデレ……か、かわいいんですけどぉおおおお?! 結婚したい。
「……ふふっ、口調が荒くなっても、相変わらず泣き虫は変わらないわね、ルフ」
ノヴァと呼ばれた女の子はルフの頭をポンポンと叩いて、ルフは恥ずかしそうに身を引いていた。何この急な青春?! ファンタジーから青春ものへの転換ですか?! 良いでしょう! ならばこの私が三角関係としてこの場に降臨しても――
「いや、俺はどちらかで言うとお前のことは苦手なんだよな、狐火」
「ぎゃぁあああああああ、純粋に断られたぁああああああ?!」
それからルフとノヴァの二人は私たち以外誰もいない集会所で話に話し合っていた。その間、私は気まずい空気の中、一人椅子に座って眠ってました。さ、さすがにヒキニート勢の私にはちょっと甘すぎてね、うん、甘くてね、うん……察しておくれ、読者様。学生時代に男子からは引かれて、女子から逃げられる始末の私は『人を弾き、近づかせなくする程度の能力』を持っていて、渋滞、満員電車、長蛇の列、全ての人間がひしめき合うそのステージに自然と近づけない身であった。まぁ、良いんです。私のようなボッチにはそれがお、お似合い……お似合い、だ、か……ら……スヤァ……。
睡眠に落ちる。
「――ぅうあ、くらぇええぇ……『十二色の暴風弓』……ぁあ?」
壮大な寝言を吐きながら腕を振るった私は机から体を離してしまい、そのまま体勢を崩して椅子から落下。背中を強打して目を覚ました。
「……よぉ、どんな夢見てんだよ、お前」
ぼやける視界の中、ルフが私を覗き込んでるのが見えた。ルフに起こしてもらい、寝起きの脳内でノヴァからの説明を聞く。おおよそ吹っ飛んだけどね、記憶から。
まぁ、簡単に言うと……世界を救いにきたということらしい。え、厨二病? 突然なる厨二のオーラ……というか、異世界の厨二病って普通ですよね。だからこそ、素晴らしき世界なのだから! ふはははは! 良いでしょう、要するにこの主人公の私に助けを求めに来たわけだ! よかろう、ならば戦争だ!
「ルフ……アンタ、こんな自暴自棄な女と一緒に何してたの? 危なそうだから近づいちゃダメだからね」
「あぁ、分かってる」
と二人揃ってジーッと私を睨む。この姉弟め。
「……で? ノヴァとルフはどういう関係なのさ? 姉弟なの?」
「私とルフは家族」
「はぁ?! 何言ってんだよ、バカ!」
「バカとは何よ、バカとは?! お姉ちゃんに向かってバカって何?!」
「なぜ姉目線なんだよ?! お前の方が妹だろ!」
「妹に泣きつく兄がいるもんですか!」
「うっせぇな! あれは色々あってだな――」
あぁ、もう! 何か始まったよ、姉弟喧嘩! 話進まないからいい加減やめろ、お前らぁああああ! 収拾つけずに作者が困ってるじゃん! キャラ設定濃すぎて収まってないから! 少しは自重しないと私のコメントみたいにダラダラと長くなって読むのがめんどくさくなるから! って何で私は自蔑してるんじゃああああああああ!!!
ってことであれから色々あって世界は救われました。
「ってことにしない? もーめんどいー」
気力ダメージで大きく損傷してしまいました。私は再起できません。ルフとノヴァの二人でどうにか当小説を進めてください。私は動きません。動きたくないです。動くことに疲れました。部屋の中にこもって一ヶ月くらい出ません。ので、毎日朝昼晩、飯をドアの前に置いておいてください。スイーツも忘れずにお願いします。あと、新作の映画があったらそれもお願いします。部屋の鍵を勝手に開けないでください。探さないでください。
「それ単純に、引きこもってゲームしたいだけじゃん」
さて、何やらノヴァは私たちと同じ目的でやってきたそうで。何と隣の大陸から氷海を渡ってきたそうで。
「本当に大変だったよー。何かわけの分からない火災旋風が吹き乱れてて死ぬかと思った」
「「あ」」
「え?」
「「あ、いや、何でもない!」」
ルフとシンクロで咄嗟に口に出す。そう、私とルフの『火焼旋風・金環』で氷海を荒らしてたことを知らせるわけにはいかないからね!
「……あまりの寒さに停電しちゃったから、暖房使うに使えないよ。あー、寒い寒い」
「あ」
「「え?」」
「何でも、ない! うん、何でもない!」
どこか上の空という感じでノヴァは目線をそらす。
一方、何か急に新キャラたちの私情な過去編によって尺を使われ、完全に空気と化して忘れ去られてしまったウィンディーネの方は――
《アリアさんの探索によると、焔液流動ポイントはダンジョン地下四階層。焔液流動で火山ガスや二酸化炭素が排出されてガス溜まりができてるらしいよ。早く対処しないと生物絶滅しちゃうから、あとで手伝ってくれない? 場所はダンジョン地下四階層草原。よろしくー》
「分かったよ、フィノちゃん」
狐火木ノ葉、ルフ、ノヴァの三人が動き出そうとしているその頃、ウィンディーネはフィノ、それとetc.などと共に、ダンジョン地下四階層の荒草原に来ていた。ギルドの許可を経て、焔液流動の解消を目的に動いていた。流出ポイント、そこでは核から吹き出した岩漿が草原を焼き尽くし、地獄絵図と化していた。草原を溶かしていた。既にモンスターたちはダンジョン三階層へと退避しているらしく、三階層はモンスターだらけだったが、ほとんどが師匠により掃討されて、ダンジョン三階層も地獄絵図と化していた。
ギルドから課せられたクエスト、それは流出ポイントから吹き出る膨大な量の岩漿を膨大な量の水で冷やし、固形化させて止めてしまうというあまりに無謀な作戦であった。
「さーて、ウィンディーネ! 張り切ってこーっ!」
なぜか乗り気のフィノちゃんに呆れるウィンディーネ。
「……うぅー、やる気出ないぃー」
「あら? 何やらおこちゃまが混ざってるじゃないですかー」
ウィンディーネとフィノの姿を見て、堂々とした偉そうな女が二人を見下し、そう呟いていた。それを聞いたウィンディーネがムッと頬を膨らます。フィノがそんなウィンディーネの肩をポンポンと叩いて、とりあえずなだめておく。
「そうだね、おこちゃまかもしれない。けどねー、お姉さん。お姉さんの言う『おこちゃま』がダンジョン四階層に存在してるのもおかしい話だよねー。この年頃のおこちゃまでもダンジョン四階層ぐらい攻略できちゃうなら、お姉さんの『齢』になったら、きっともっとすごい人になるんだろーね。将来が楽しみだよ、ウィンちゃん」
フィノのわざとらしい演技がその女の癇に障っていた。女は大人気なく、ウィンディーネとフィノに殴りかかり――
「Dステート」
「――っ?! な、何よ、これ? ステータス?」
女の拳は宙に出現した半透明の何かによって防がれる。それはフィノの波動によるステータスの防御であった。
「……そーやってすぐ力で解決しよーとするとこがさ、本当に『おこちゃま』みたいだね。確かに『おこちゃま』が混ざってるみたいだよ」
「このクソガキ……」
血管が切れるんじゃないかぐらいに沸騰した女が以前と変わって汚い口調で呟く。
「今回の遠征は焔液流動の停止。コロシアムで殺し合いをするわけじゃないよ? 私たちはみんな、仲間。仲間割れはいけないことだよ、ね? 以後、気をつけてよね、リーナさん?」
「はぁ?! 何で……名前を……」
驚愕する女を無視し、フィノはウィンディーネを連れてその女から離れることに。
この遠征の参加者は総勢たったの五人。ウィンディーネとフィノ、リーナと言う名の先ほどの女、と、その女の相棒である男、あとは独りきりのボッチな女の子。遠征の内容から察するに、この五人の共通点、それは全員が水属性もしくは水属性魔法使用者ということ。例え、この五人が敵対していたとしても、今は争う暇はない。このまま焔液流動を放置していれば、いずれ全員死ぬことになるだろう。
「ここにいるのがアマだけならな」
リーナの隣にいる相棒の男がそう言う。
「俺たちはそこらにいる初心パーティーなんかじゃないだろ。五人もいて、焔液を止めれないわけがない」
その男は易々とそんなことを口にするが、それは一見、皆に聞かせるような口調をしているけれど、フィノからは自分自身に聞かせてるように聞こえていた。焔液流動を自分たちの力で止められるだろうかという不安が見え見えだった……波動『ステート・ブレイク』による見透かし能力で。
「まぁ、でもね、こっちにはウィンちゃんがいるから何とかなるさー。ね、ウィンちゃん?」
「へ? わ、私、で、でっですか?!」
無理だよと言いたげにブンブンと首を横に何度も振るうウィンディーネ。ただ、彼女は完全なる純粋な水属性。水属性を使わせれば右に出るものはいないと言えるレベルに高度な水魔法を操る。そんなウィンディーネの職業は――
「わっ私は、その『ヒーラー』だから、攻撃系は、無理だって」
そう、彼女は『ヒーラー』だった。その職業は主に回復。攻撃には不向きでありながら、ウィンディーネの水属性攻撃魔法は明らかにズバ抜けていた。それをフィノは知っている。恐らくここにいる五人の中で一番の使い手だと確信していた。だからこそ、今回の遠征は必ず成功する。そう思っていたフィノ。このパーティーが壊滅するとは知らずに。
なんか、書いてて思うことは……キャラクターが濃すぎて説明文章がキャラの口調に飲み込まれております。そして昔からそうだけど、時系列がめちゃくちゃな小説作家です。書いてて思います。何だろう、文章の順番違くない?
はい、どーも、k本的にコミュ症ボッチで非リアな小説作家、星野夜です。
現世界では『黄色の悪魔』が侵攻中です。僕も波動『癒しの雨』と波動『雲散噴霧』の両使いで抗っております。この時期になると奴らは活発になると統計的に出てる。
毎年恒例だよ、全く。僕は『黄色の悪魔』を倒さねばならぬ。奴らは嗅覚や視覚を刺激し、人類の行動を大きく阻害する。だから僕はこの季節が大嫌いだよ。
今日は『黄色の悪魔』の『非情たる疼き』を食らってしまった。アイテム『白きベール』を使い切ってしまったよ。これだから……奴らは……。
みんなも花粉症対策しようね♪




