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第12話『脱出ゲームに移行しよう』

 前話で海底神殿に飲まれた私。惜しみなく海底神殿を赤い絵の具で荒らしに荒らし、挙げ句の果てには器物破損にて壁をぶち壊す始末。壊した壁の向こう側に、なぜか新しい空間が出現するという無理やりな展開を渋々認め、新しい空間へと足を進めると、その空間に恐らくボスキャラであろう人間の姿が。

「――というか人間じゃないんですけど」

「興冷めですね、みたいな顔すんのやめろや。そもそもボスキャラっていうのは大抵人間じゃないだろ? お前のような人間風情にはボスキャラは務まらないってことだろ」

「あらあら、言ってくれるではないですかー。主人公を舐めたら痛い目みるのは分かってることで?」

「狐火木ノ葉さん!」

「あれ? この声――」

 一人分の駆け足が聞こえ始め、狐火木ノ葉の元に現れたのは――

「ウィンちゃん?! いやいや、おかしいから! 展開的におかしいから!」

「はぁ……その、滴り落ちてた絵の具をたどってきたら、崖の所で途絶えたから、きっと落ちちゃったんだなって思って心配しましたよ。良かった……無事で何よりです」

「さぁ、ウィンディーネよ。今こそ、あのボスキャラを倒すのだー」

 なんて棒読みでウィンディーネを押し出し、敵に突きつける史上最高に最悪な主人公こと狐火木ノ葉。これでいいのさ! ウィンちゃんは私と同じく『人間風情』だもの! 見せつけてやりなさい!

「そんな身勝手な……」

 ウィンディーネと対立する、そのボスキャラは誰が見たって何者かが分かる簡単な容姿をしていた。一言で表すと悪魔。とても人間には思えない。そんな悪魔がウィンディーネの姿を見て、表情が固まった。

「……お前、何でここにいる?」

「さて、誰のことですか?」

「お前、リドゥラ……だろ。ずっと消息不明だったあの――」

 敵が何かをブツブツと呟く中、ウィンディーネが私に向けて小声で呟いた。

「……狐火さん、一秒ほど目を瞑ってくれませんか?」

「ええー、なんでーきになるぅーねぇねぇねぇね――」

「ああっ!」

 突如、驚声をあげて目を見開くウィンディーネに身体をビクつかせる私。

「うわっ! な、何?」

「狐火さんの後ろにとっても可愛い幼女が!」

「え、どこどこ?!」

 単純思考の私がまんまと後ろを振り向いたその瞬間、背中に膨大な量の風を受けて私は体勢を崩し、吹き飛ばされた。というか、既にウィンちゃんに性癖がバレているんですが!

「ぐぬああああ?! ウィンちゃあああああん?!」

 その風を瞬間的に吹き乱れ、一瞬にして忽然と消える。そして視界の前にはただ佇むウィンディーネの姿……だけだった。

「さ、帰りましょう。狐火さん」

 笑顔でニコリと手を差し伸べる神々しきウィンディーネに自然と手を引いてもらった私は、状況が理解できずに数秒間呆然としてから、ボスキャラがいないことに気がつく。あー、かわいそうに。登場してから消えるまで五分もなかったね。完全にモブキャラだったよ、あれ。……ウィンディーネが……殺った?!

「……何?」

 ウィンディーネが深刻な表情で狐火を見つめる。あ、ごめんなさい! そんなんじゃなくて――

「分かったよ、フィノちゃん」

「え? フィノちゃん?」

「あ、その……通信魔法です」

 通信魔法により、フィノちゃんと通話をしていただけらしいウィンディーネ。はぁあああ! 良かったぁ! 普通に嫌われたかと――いや、良くないね。あの表情で良いとはないね。何か事件の香りが――

「とにかくここから早く脱出しないと私たち二人とも死んじゃいます」

「なん、だと……」


 レインズブロウ海底神殿。夏期になると観光客で活気ずつその海底神殿は、春・夏期のみ営業する。なぜなら、春から夏の間だけ、その海底神殿は海水を排出して人の存在できる空間を作るからだ。秋期に入ると、海底神殿は完全に水没して誰も入場できなくなる。その仕組みを作り出すのは海底神殿奥部に生息する『空圧草』と呼ばれる草によるもの。その草は春から夏までは膨大な量の酸素を排出し、空圧で水を押し出す。変わって秋から冬の間は酸素排出を終えて休息期に入る。そのため、海底神殿に海水が侵入。あっという間に水没してしまう。その間に『空圧草』は海水を補給し、養分に変える。それのサイクルが奇跡的に海底神殿を観光スポットとして存在させることとなった。

 そんなレインズブロウ海底神殿に異常が発生していた。前半期である今現在、レインズブロウ海底神殿は観光スポットとして営業しているはずである。つまり海水は排出されて歩行可能になっているはずだった。しかし、見ての通り床は海水で満たされ、少しずつではあるがそのかさを増している。それは『空圧草』が異常を来たしているというサインだった。

「……さっきのモブキャラさんは空圧草を採集してたみたいです。もちろん、違法です。空圧草の減少によって酸素排出量が低下し、この通り、海水が侵入し始めたのです。海面に渦潮が現れたのは、酸素が抜けてしまってたから、なのです!」

 ない髭をさすって、ウィンちゃんが博士面しながらドヤ顔の説明をする現在も海底神殿は浸水し続けている。脱出できなければ二人揃って溺死、というわけだが――

「慌てることはない! 入ってきたところから出れば――」

「水圧が強くてとてもじゃないけど無理です」

「うわぁああああああああああしんだああああああああああ!!!!!」

「早っ?! まだ諦める時じゃないです!」

 そう、まだ諦める時ではない。神はこう言っておられる。まだ死ぬ時ではないと。なんせ私には主人公の加護が付いてるのだから死ぬわけなーい!

「それにウィンディーネと言えば水属性! 蒼髪は確定で水属性と相場が決まっているのさ! 水を操るウィンディーネの力で海水を真っ二つに――」

「できませんよ」

「……え? で、でも私を助けにきたからには、脱出方法も知ってて――」

「……す、すいません」

「うわぁああああああああああしんだああああああああああ!!!!!」


 完全水没までおよそ二時間……。その間に抜け出さなければ二人揃ってお陀仏というわけだ。ウィンディーネと二人でたわいない話をしていた時も浸水は止まらず、既にくるぶしまで浸水しかけていた。その中で、

「いやだーいやだー! だれかーだれかー!」

「さぁ、いき、ます、よぉ!」

 ウィンちゃんに襟首を掴まれ、引きずられながら私たちはどこかへと歩いていた。というか、どんなシュチュエーション?! ヒロインに引っ張られる主人公って……。そもそもあてなしで彷徨ってたらあっという間に二時間なんて過ぎちゃうよ?

「その場で動かず溺れ死ぬより、マシです!」

「ウィンちゃんと心中できるなら、それもいいかな、あははは」

 バシンッ!

「ぶふぇっ?!」

「……バカ。死んじゃったら……こうやって話もできないのに」

 え? ちょっと待とうか。

「聞いてください、狐火さん」

 ちょっと待てって! 待とうか! その展開は絶対違う! どう考えても最終回ムードだから! どう考えたって場違いだから! ヒロインのビンタって最終章だから! 無理やりすぎるタイミングですから!

(作者:ということでやり直しにしますか)

 え? それはダメじゃない?! 絶対にそれはダメじゃ――


 バシンッ!

「いったぁ?! ってそこからやり直しかい! もっと戻せ戻せ!」

(作者:はい、ていくすりー。さーん、にー……)


「ここが契約した一軒家です」

 そう管理人に紹介された家はどこにでもあるような――

「戻しすぎなんだよぉおおおおおおおおお?!」

 分かってました、はい! 分かってた展開だけども! とにかく真面目に行こうか! 私が使うワードじゃないけど、真面目に行こうか! じゃないと、収拾つかないから!

(作者:それ言ったら、この下り全部いらなくない? 全てバックスペースで削除確定ですね)


 尺を使いすぎた作者により、完全水没まで残りあと一時間まで迫っていた。既に海底神殿の半分が浸水。私とウィンディーネのいる階層が一番上であったためにまだ水没はしていないが、時期にこの階層も水没する。出口をより探しやすくするため、私は赤い絵の具をそこらじゅうにまき散らしながら探索をする。赤い絵の具による炎の灯火が全体を照らし出すが、一向に出口が見当たらない。

「レインズブロウ海底神殿は、最古の神殿として有名で、先住民族たちは『神殿こそが神の安らぎの場であり、そして知識の巣窟である』と神殿に数々の知恵の罠を張ったと言います。例えば……鍵付きの扉、とか」

「なるほどー、ここに来てRPG要素から離脱して脱出ゲームに移行したわけですかー。じゃあ、当然鍵も装置も○鬼もいるわけね! いやぁあああああああっ!!!」

「……大丈夫ですか?」

 いつもの『大丈夫ですか?』がこの時だけ『頭がおかしいから病院に行ったほうが良いですよ』と言われた気がしてならない。確かに頭がおかしいのは認めるけど、病院送りは酷くないかな?! ねぇ、酷くない?! 確かに、このままだと凍傷か、溺れて病院送りーーそれどころか地獄送りだけどね!

「とにかく、普通に出口が見つからないってことはどこかにスイッチがある! そういうことだね」

 じゃあ、観光客たちはどうやって出入りしてるんでしょうねー?

「ここは観光エリアじゃないんです。普段から公開しているのはほぼ一部だけ、なんです」

「前々から思ってたけど、人の心勝手に読むのは何?」

 とうとう小説の世界観が完全に崩壊し始めましたね。自分自身でも収集つかないレベルなんですが……。妄想し続けて僕自身もどこまで話が展開していくのか謎なんです。この暴走少女『狐火木ノ葉』が僕の思考回路でどれだけ暴走してくれるかによって、今後の『ひとぐら!』が続くかどうか変わっていく。


 そして最近流行りの『小説名が長い小説のタイトルを略称するスタイル』に乗っ取って、『一人暮らしで浮かれてたら異世界転移したので厨病激発しちゃったりする話』を『ひとぐら!』に勝手に略称するな! その『!』マークはどこから出てきた?! 略称しづらい名前を付けてしまったのを後悔しながら、無理やり略称してる感が否めないんだけど?!


 だって、良くない? あだ名みたいで(笑)

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