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第11話『堕ち込み、落ち込む海の中』

「はぁ……」

「……」

「はぁ……」

「……」

「はぁあ……」

「……」

「はぁあ~……」

「いつまで落ち込んでるんですか。もう終わったことです。確かに悪いことだけど、もう終わったことだし、そろそろいつもの『ふっふっふっ……闇の力が疼いてくるぞぉ。ウィンディーネよ、今すぐ旅の支度をせよ! 魔王を倒しに行くぞ』なんて異常行動してくださいよ」

「それ、願ってたの?」

 というか、励ましてるのか罵ってるのか分からないよ、ウィンちゃん。あ、あとウィンちゃんの真似、かわいい……。

 普通、すぐには立ち直れないんだよ? 異世界だからといって放火は厳禁だよ? 第10話のタイトルで『不味いなら、上手くしましょう、万薬を』なんて言っておいて、結局ただ店燃やしただけじゃん。推敲ミスは現金なんだよ?

「あ、あの。声が全部漏れてるんですが……」

 そもそもぉ、異世界来てからすぐに馴染めるどこぞの二次元世界主人公とかがおかしいわけだよ。私の力をもってしても、三日で馴染めるわけがないじゃん。話数は11話突入しても、実際はまだ三日間しか経ってないからね? 技を習得できただけマシなんだから! ポ○モンでいう『体当たり』的技だとしても、それが進歩の一歩なのだよ? そう、私は主人公なのだから異世界に来ても何したって良いじゃない! 燃やしちゃってもい――

「良くないです」

「はぁ……」

 結局、何もできてないなー、この世界来てから。武器もまともに扱えないなんて、私としたことが……。

「あ、どこ行くんですか、狐火さん?」

「ちょっと……一人に、させて」

 私はふらりと立ち上がると、ウィンディーネの家を出て行った。それからとにかく人けのない場所を目指して歩いていく。ポジティヴシンキングな私にもブルーになることぐらいあるのさ。


「……狐火さん……ってあれ? ちょっと、絵の具垂れてますよ?!」

 狐火木ノ葉の背負う筆から絵の具が垂れていて、軌跡を描いていた。狐火木ノ葉がどれだけ萎えているかが分かりやすい。そして――

「……この絵の具の、色……」


 絵の具が滴り落ちているのを知らずに、私は一人、海を訪れていた。ほら、言うじゃん? 落ち込んだ時は、広い広い広大な寛大な膨大なとにかk(ry――海を見て、ちっぽけな自分に浸ってみたらスッキリするとか何とか……。あれ、古い?

「はぁ……そろそろ現実見たほうが良いのかな……というか、これも一応現実、なんだけど……。現実でもこの体たらくね……」

 サスペンスドラマに登場してもおかしくない海食崖の上に座りながら、塩の香りの海風に一人黄昏ていた私。ふと、何か異変に気づき、すぐさま立ち上がると――靴やスカートがびしょ濡れ、冷たっ?! いや、何で?! 崖の上だよ? なぜ海水が? いや、これ……海水、じゃないのかな……。

「いやいやいやいや、私じゃないよ?! 私なわけないじゃん! この歳にまでなって漏らすとか……ないないないないないない!」

 なんて誰もいないのに誰かに向けて一人叫び主張する私はそれに気づく。自分の背負う長筆が青色に変色していることに! そしてその青い絵の具から水が流れ出していることにも! そう、これは……

「水属性……? ナニコレ? え? え? つまり、私がブルーな気持ちだから、絵の具もブルーになったと? ……何その単純思考……キタコレぇぇぇえええええ! ふははははははははっ! ついに水属性を習得したのか! そうだな、名づけて……幻想色彩フィクションカラー・ア、あっつっ?! あぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢっ?!」

 活力を取り戻した勢いにより、ハイテンションになった私。その反動で青い絵の具は赤色に変色。自身を燃やし始めた! 全力で転がって消化する私は暴れすぎて崖から転落。燃え移っていた炎は海水によって消化される……が、不幸なことに、その着水地点に謎の渦潮?! その渦潮に私は飲まれて海の中へと消えていった。


 昔から星を眺めることが好きだった。季節によっては顔色を変える夜空を見上げ、ただボーッとしたまま、変わらない星々を見ているのが心地良かった。それが真冬の寒い夜だとしても、ずっと見ていられた。人は私を変わっていると言う。そうだろうか? 星好きは数えられないほどいるはずなのに、私が星を見ているのは『おかしい』と言う男子女子。ずっと私はそれこそおかしいと思ってた。けど、世の中は少数を弾くようにできているらしい。

「そんなのおかしいよ!」

 と、おかしな子は私のことを普通だと言う。この子にそう言われると、確かにおかしいと思える、自分が。

「ちょっと普通に何か失礼じゃないですか?!」

 その不思議でおかしな子に出会って、ボーッと見上げていた星空が、また別の景色に見えるようになった。

「ねぇねぇ、あれは何?」

「……あれは便座だよ」

「便座?! そんな星座あったっけ?!」

「ないよ」

「ないんかいっ!」

 その子は私と同じく……いや、合わせてくれてたのかもしれないけど、星が好きだった。その子は私に色々と質問を投げかけてくる、推察ばかりの、いえ……ただの興味本位なのかもしれない。私に色々なことを尋ねてくる子だった。同い年なのに妹のような……。

「いやー、たまにはじっくりと星を眺めるのも悪くないよねー」

「……そう、それは良かった」

 無駄なことばかりが頭の中を駆け巡る私は『それ』に気づくのが遅れる。夜道は油断禁物である。ヘッドライトのついていない乗用車がその子を轢いてしまう瞬間だった。

「――っ!」

 私の身体は咄嗟に動く。普段から運動もロクにせず、読書ばかりな私の身体が不思議と軽く素早く、彼女に手を伸ばし、そして弾き飛ばした。そして身軽なこの身体は、いともたやすく弾き飛ばされた……。


「闇ちゃんっ?!!」

 らしくもなく飛び起きてしまう私。真っ暗闇の中、全身びしょ濡れの寝起きは最悪の気分だった。とにかく暗すぎて分からないので、長筆を構え――

幻想色彩フィクションカラー夕景フレイム!」

 長筆を赤く変色させ、火を灯す。そう松明替わりというわけです! 何と便利な長筆だこと。今ならこちら税込含めて――いえ非売品ですね、はい。

「突っ込みをくれぇぇぇええええ!」

 と、叫ぶ声が反響するその空間。地面は平らな岩で舗装されているから、洞窟ではなさそうだね。天井部は高すぎて光が届かないなー。

「海に落ちた後……一体何が……」

 こ、これは冒険の香りがしますねー、狐火さん? 主人公の第一の試練じゃない? この謎の空間からの脱出! ……というものの、正直言うと……怖い。

「ウィンちゃーん、たーすーけーてー(棒)」


 垂れた絵の具を掃除し終えたウィンディーネはソファーに座り込んでため息を吐いていた。狐火木ノ葉が一人落ち込んで出て行ってしまったことを思い出す。あれほど暴走していて元気な狐火があれほど落胆していれば、さすがに気にしてならない。一人にしてほしいとは言っていたものの、ウィンディーネは狐火木ノ葉を一人にはさせれなかった。

「ウィンー、狐火くんのちょーしはどうだーい? ってあれれ? いないの?」

 事情知らずのフィノがウィンディーネの家に訪れた。狐火木ノ葉に何か用事があったらしいのだが、当の本人は不在。ソファーの上で頭を悩ませるウィンディーネだけだった。

「どしたのさ? 悩み事かい?」

「それが――」


「ふむふむー、なるほどねー。だから外に絵の具が垂れてたのかー」

「あれ?! 絵の具外にまで垂れてたの?!」

「そうそう。軌跡みたいになってたよ、相変わらず口も頭も絵の具もユルユルだねー」


「今、なんか悪口言われたような気がするんですけどぉー……」

 長筆を赤く灯して、『空間』を照らしながら歩く私の独り言は誰も聞いてはくれない。こう見えても結構お化けとかは――

 ガタンッ!

「うおああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 物音に、心臓がショック死レベルの鼓動を見せ、私の身体は反射的に危険を察知。逃げ足が人生の中で一番素早く加速。スピードが120アップした。そして数十秒後に壁に大激突して本気で死にそうになった。

「いっ――ったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ?!」

 バタバタと転がって独り暴れる私の筆が吹き飛び、赤い絵の具が飛び散る。

「うがぁあああああ!! 全速前進の時速16キロで走ってグラフィックが雑になるスピードで小指をタンスにぶつけて全身複雑骨折するレベルの衝撃が今、私の頭部に舞い降りましたぁああああああ!!!」

 どんな状況であってもここまで口が饒舌に動く女子は私の他いないね! って痛いんですけど、普通に。現実的に考えたらもう、死んでるおおおおお!

「――ってあれ? なんか明るいんだけど」

 暴れているうちに飛び散ってしまった絵の具がそこらじゅうに付着し、光を灯す。その絵の具たちのおかげあってか、視界が少しばかし広がっていた。これ、使える! そう、プレステでやっていたあの絵の具を塗りたくるかの有名な当ゲーム『ス○ラトゥーン』の武器でもある筆『ホク○イ』のような絵の具の大暴走を見せつけてくれぬおああああっ!!!

 私は長筆を再び赤く灯し、その筆をハチャメチャに振り回しながら徘徊を始めた。赤い絵の具を周囲に乱雑に撒き散らし、その空間を汚していく。あっという間に視界は開け、どういう空間なのかを理解できるようになった。さすがはゲーマーの私というとこだね! リアルでもこのとおりに汚せるのさ。汚すことには負ける気がしないね。母親が引越しの時にかなり頭を悩ませていた私のゴミ部屋のごとくね! ……ごめんなさい、お母さん。

 その空間は石のタイルを張り巡らせたような規則性のある作りをしている、まるで神殿のようなところだった。と、言うか神殿。マジ神殿。そうですね、スフィンクス佇んでてもおかしくない広さの空間に一人。天井まで数十メーター。これだけ塗りたくって灯しても、広すぎるあまりに光が届いていない箇所も。そして床が浸水しているのに今頃気づく私。全身びしょ濡れで気づかなかった!

「なるほど……海底神殿といったところかー。つまりはボスキャラと対立するイベント付きと見た。当の作者はこの私の実力を試している、そう見る! そして主人公補正により、私は死なない! そして物語の始まりに大怪我はしないという法則性があるはず! ならば、ここで無理やり突き進んでも死なないということなのだっだっだぁ!」

 メタ発言も程々に、私は絵の具をまき散らしながら神殿を汚し回る。そう、例え『神殿』であろうとも、私はためらいなくこの世界を汚していくことを誓います。そう、主人公のポジションを与えられたあの日から、私はこの小説を汚すことを誓ったんだ! だからコンセプトはハチャメチャな暴走少女! そう、それこそが私、

「狐火木ノ葉だぁあああああああ!!!!!」

 暴走少女、狐火木ノ葉は勢い任せに迷走していく。出口がどこにあるかなんて分からない。だったら切り開くだけなんだ! 

「ぬおおおおお、幻想色彩・夕景!」

 長筆の赤みが増し、これまでにない熱量が空間を歪ませる。そして次の瞬間、私が筆を一薙ぎしたその空間に爆炎の華が咲く。目の前の壁を木っ端微塵に吹き飛ばし、そこに新たなる道を作り出した。

「うお?! 本気で開いた?!」

 完全にノリで壁をぶち壊しただけなんですけど?! 新たなる空間できたー?! これはちょっと無理やりすぎる展開じゃないかな?! 読者も『は?』みたいな顔してるよ?! そもそも何でまた別の空間?

「はっ! 察したお。つまりボスステージきたああああってわけね!」

 壁を突き破ってできたその穴を通り抜け、暗闇の中へと恐る恐る(半ば好奇心)進んでいく。

「……うお?! び、びびったー……」

「ぎゃああああああああああああああ!!!」

 あまりの衝撃に腰を抜かして大絶叫を見せる私。その暗闇から聞こえた男性の声。暗くて対象者は見えないが、どこかに誰かがいる。逃げようとする身体が硬直して動かなかった。ボスキャラの登場ということだ!

「ぎゃああああああああああああああ!!!」

「ちょ、そこまで驚かなくても――」

「ぎゃああああああああああああああ!!!」

「おま……絶対わざt――」

「ぎゃああああああああああああああ!!! あ、そっか……幻想色彩・夕景!」

 前方へと赤い絵の具を吹き飛ばし、空間を赤く照らす。

「あっつっ?! バカ野郎!」

「あ、何かいる」

 ジタバタ暴れて、絵の具による炎を振り払う何かがそこに。あ、ごめん。そこにいるとは思わなかった。っていうか、この人って――

 休日はしっかり休むもののはずが、僕は真逆ですね。いかに休日の暇な時間を作らせないか。その時間をどれだけ有効活用できるかと全身全霊の休日ということですね。十二時間あっても焦ります。そんな忙しい暇人です。

 どーも、k本的にコミュ症ボッチで非リアな小説作家こと、星野夜です。

 こうしてパソコンで後書きを書いている今も、日が落ちかけようとしております。焦りです。日が落ちる前にコンビニで夕食を買ってお風呂に入ってゲームがしたい!

(前述の『忙しい人』を撤回してもらおうか、夜どの)

 そんなこんなで休日が大好きで大嫌いな僕、星野夜でした。いざ、ゲームの世界へ!

「ひと○り、いこーぜ!」

(その前にコンビニに行け、コンビニに)

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