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プロローグ
Kronos4252第25次月日
天候は朱膜、西からの荒風が酷い日だ。始まりの日としてはこれ以上にないほどの最悪なコンディションとなってしまったらしい。こうなってしまうんだったら昨日に『やっぱり昼飯の味が恋しいから出発は明日にしよう』なんて妥協しなければ良かったと、今になって後悔してるよ。
張り切って昨日深夜から一人で旅荷物を指差し確認したので、忘れ物はないはずだ。こう見えても、幼少期は忘れ物なしで誰もから『万能ポケットちゃん』と褒め称えられたりしたことがある――と自称しているし、そんな呼ばれ方はされた事はない。
今日から始まる一人暮らしに胸を躍らせ、興奮と不安を入り混ぜながらも、これからどんな日々を過ごすのだろうかと妄想に老けていた。