尾張名古屋時代9
大晦日の前日の夕刻に文治は戻ってきた。組の入り口は、すっかり迎春の装いとなっていた。文治は、その光景に郷里を思い、家族一人ひとりへの思いが巡る、智爺のことも、そして、売られていったハツをも思い出す。ハツへの回想に至った時に、文治は我に返り、これから行うべき事項が山積している事を思い出し、身を引き締めるのであった。
「よお、文さん、御帰り。」「文さん、御帰り」「お帰り、文さん」玄関の掃除をしていた若衆や人足頭、近所の婦人や娘たちが、口々に文治に声を掛けた。
近所の娘が店の玄関を掃除している姿に、文治は目を丸くした。年の入った婦人達が玄関掃除を手伝うのなら珍しくは無いが、娘たちは、婦人達の手伝いとして勝手口から賄いに出入りすることはあったが、表玄関に娘が立つということは、今迄、見たことが無かった。それだけ、権座組が地域に受け入れられたことを示している。
「只今帰って参りました。」文治は、挨拶を返しながら、上がり端にかなり大きな包みを置いた。「これは、桑名のお店からのお土産です。お正月に皆さんと頂きたいと思います。」
奥から、手拭いで頬被りをした権座が出てきた。その見慣れない姿に文治は思わず吹き出して笑ってしまった。親分が自ら掃除をしていたに違いないが、殆ど人足達と変わらない姿になった権座を文治は初めて見たのである。普段の権座からは予想もつかない格好だった。
「おう、文さん、御帰り。って、何がそんなに可笑しいんだ。」
「権座さん、只今戻りました。・・・すいません、権座さんのその様な格好を見たのは初めてですので。」
「うっ。まぁ、俺もこんな格好をするのは、20年振り位だからな。丁度、掃除も、飾りも終わる処だ。」そう言いながら、権座は頬被りを外した。
「おうい。皆、ご苦労だった。文さんが帰ってきたし、少し休んでくれ。」
権座の文治が帰ってきたとの声を聞いて、奥に居た者達全員が出てきた。大晦日前で人気の少なかった店の入り口が、いつもの昼間が人足達で混雑するのと同じ様な状況にまで賑やかになった。文治に一声挨拶をするためなので、文治が中心になっているのだが、あちこちで談笑する輪もできる賑わいとなった。
皆は文治を質問攻めにした。いつもの様に丁寧に応対するのだが、後から文治の話しが終る前に、文治の話しに被せての質問をするという状況で、店先が、あたかも雑踏という状態となっていた。
奥から、普段の格好になった権座が現れ、一喝すると、組の者達は静かになったが、婦人達は権座のことなど耳に入らないといった風で、御構い無しに文治を取り囲んで、話しを続けていた。
「おばちゃん達よ。文治も疲れて帰ってきているんだ。飯を作って食わせてやってくれよ。」
権座の言葉に我に返った様に、婦人達は勝手場へと退散してくれた。
夕食が揃うまでの間、権座と文治は、座敷で情報交換を行った。権座は、組の者達の変わり様、組への値域の信頼向上などを話し、文治は桑名の値域の盛り上がり方について話し、互いに気に掛かっていた事を伝え合った。
座敷には、二人の他に、若頭や若衆の大半が居たのだが、二人が話す内容を組の者達は、一言も聞き逃すまいと全員が聞き入っている様子は、そこに権座と文治しか居ない様な静けさとなっていた。ただ、時折、小声で内容の確認をし合うといった事はあった。しかし、話しに割って入るとか、話し掛けるといった事は起きなかった。それは、まるで神社で神主に祝詞を上げてもらっているとか、寺社で僧侶に経を唱えてもらっているといった風であった。組の者達は、二人の会話の中から、何か自分達の行動に繋げられるものが無いかと必死に考えている姿となっていた。
そうしている内に、夕食が整い、いつもの賑やかな宴会が始まった。久しぶりの文治の定位置が埋まって、文治を囲んでの婦人達との会話、その周りを囲んで、また、割り込んでの組の者達との会話といった構図は以前と変わり無く進んでいった。
明日は大晦日である。組の者達は、各々、割り当てられた神社へ出向いて、初詣の人々を焚火をして、受け入れ、もてなし、人波の整理をすることになっている。したがって、今日は今年最後の宴である。例年ならば、最後の宴ということで、組の者の中には浴びる程酒を飲んだり、酒に飲まれる程酒を飲んだりする者が少なくなかった。しかし、今年は適量の酒の消費量で、宴を楽しむという場になっていた。
明けて、大晦日。文治は、相変わらず何やら文書を綴っている。権座は、組の者達を各神社へ送り出してから、文治を真似て何やら文書を書き始めた。
権座は、次の組を担う者の為に、この半年余りの間、文治に触れたことで、色々な事に気付きがあり、その内容を記録して、残しておくことを始めているのである。
考えるべき事、行うべき事、そして、それらを使っての謀をして、目的や目標を定める事を学んだ。何より、組の者達の意識が変わった。学ばせるつもりは無かったが、人は背を見て育つの言葉通り、文治と権座の掛け合いを見聞きして何がしかを覚えた。そして、元々、行動力は人一倍の者達である、動機と目標を得たのだから、動きは早い。そして、結果として現れる効果も早い。
そうした配下の者を更に自分以上の後釜へと育てていく事が、今の自分に与えられた使命である事として、その認識を維持するための覚書といったものを、権座はしたためるのであった。
権座も、組の者達も、昼食もそこそこに、初詣の人々を整理し、誘導するための準備や初詣の際には毎年発生する酒の入った者達の小競り合いを仲裁する場所の確保等のために各神社へと散っていった。
文治は、手紙を書いていた。
親、家族、等の故郷の者へ長く帰郷していないことを詫び、そして、近況を交えて出来事を伝えていた。文治としては、自分の成功や失敗を弟や妹に伝え、考えさせて、生きていく上での糧の一部にして欲しいとの思いもある。
そして、月に一度の割合で、東京に住む吉永と實小路へ月々に起きた出来事を伝えている。毎日を整理しても、伝えたい意図を文書にするには、かなりの時間を必要とする。
権座に対しても、同様の意図を伝える文書を残すべきなのだろうが、権座は元来の頭の良さから、大して必要も無いと思われる。文書にして残すよりも、年明けにでも話しをして、指摘する内容を箇条書きにでもしておけば、賢い権座ならば十分な対応だと思われる。
燈明の下、除夜の鐘が始まる時間になって、近所の娘4人が訪ねてきた。文治の所に寄ると言っても、親は別段心配する事も無かったらしい。年越しに、一緒に話しをする事を求められ、蕎麦の差し入れが有った。男女同席での食事は殆ど無い時代なので、蕎麦は文治だけの1杯である。
文治は、勝手場から4膳の箸と椀を持ってきて、そばを取分け、二口三口ではあるが、娘たちに勧めて、文治は切り出した。「さて、何の話しをしましょうか。」
そばを分け合って食べるという事だけで、娘たちは既に感動している。更に、火鉢の上で沸いた白湯を湯呑に注いで娘たちに出してやった。たかだか、それだけの事なのだが、それで娘達の心を掴むには十分だった。
組の者達と共に摂る夕食の際であれば、組の誰かを肴にして、話題を求めるのだが、娘達にとって、目の前に居ない組の者の事を引き合いに出しても話が通じないと思われる。大晦日ということで、初詣の話しから始めることにした。
「早咲さん、五月さん、睦さん、タエさん。年は御いくつですか。」
四人の娘は、それぞれ、十五、十八、十三、十四と言い、干支も答えた。
「来年は申ですね。今年は未。今日は大晦日で、間も無く鐘が終るでしょうから、もう元旦になりますか。初詣の風習は昔から続いていて、新年の神々への挨拶です。一年間、宜しくお願いします、という意味です。」
娘達は、知ってるという顔で軽く頷いた。
「神頼みという言葉がありますよね。神々に欲しいものや困りごとの解決を願うという意味です。初詣で、ついでに願い事をすることもあるでしょうが、挨拶に行って、ついでに、お願い事をするというのは、少々、図々しいと思いませんか。」
娘達は、顔を見合わせ、頷き合った。
「文治さん、じゃあ、お願いは何時すれば良いですか。」良く喋る早咲が尋ねた。
「そうですね。願い事は、いつでもどこでも構いません。」
文治の言葉に、四人は、全く理解できない様子で、互いの顔を見合った。
「願いというのは、この様に成りたいと思う事ですよね。お参りに行った時だけ、神様の前で思う訳では、無いでしょう。」
四人は、当たり前の事だと頷く。
「お参りに来たのだから、何か願いをしておかなければ損だと、思い付きで願い事をしても駄目です。願い事は、いつも願っていなければ、叶う事はありません。」
四人は、思い付きで願ったことも、いつも願っていることも、両方思い当たるのか、目を伏せて話しを聞いている。
「たとえば、良い縁に会いたければ、いつもそう願うのです。そして、願いが叶う様に努力しなくてはなりません。良い縁に会うための努力というのは、良い縁が近付いてくる様に、外見も内面も御縁に好かれる様にする事です。
外見を良くするというのは、廓の方々の様な化粧をする事ではありませんよ。お母様に頼って怠けてばかりですと、そのことが普段の行動に表れてきます。それでは、御縁は近付きません。女の人は家を守るために炊事、洗い物、掃除、更には、子育てが要ります。そういった事ができれば、知らず知らず、普段の行動に表れてきて、御縁の方からやって来ます。
皆さんは、如何ですか。お母様や婆やに頼ってばかりではありませんか。」
四人は、一度、顔を上げたが、また、目を伏せてしまう。
「でも、そういった事を始めると、直ぐに変わってきます。願い事をする事と、その願いを叶えようと努める事で、心も体も御縁に近付いていくのです。そのことは、周りの方々は、貴女方に御縁を与えようとするのです。この人なら、縁を結んでも良いと。
時には、見染められる事もあります。神社、寺社に行った時に、そういった態度が表に出ていれば、一つの機会ではあります。
願い事は、神社や寺社に行くことだけではありませんよ。お分かりになりますか。ですから、初詣は、願い事をするのではなく、ご挨拶に行くと申し上げたのです。
ご挨拶というのは、相手に感謝し、これからも宜しくお付き合いくださいという意味です。願い事を続けていく事ができるのは、神仏が生かしてくださっている御蔭です。これからも願い事を叶える様に務めていきます、と誓うといったことが、初詣と言って良いでしょう。」
四人は、分かった様な気もするが、実際に何をすれば良いのかと考え込んでしまう。
いち早く口を開いたのは、やはり早咲だった。「文治さん、何だか良く分からない。」
残りの娘達も同様に文治に質問をする。具体的に何をすれば良いのか、神社とお寺とどっちが良いのか、母親に頼らないとはどういう事で、何をすべきなのか、といった事を矢継ぎ早に口にした。
文治は、微笑しながら、一人ひとりに話しをしていった。
「先ず、早咲さん。着物や帯は、何竿かお持ちでしょうが、今日の御召し物はご自分で決めましたか。」
早咲は、母親が着ていく様に決めた物を来ていると答えた。
「そうでしょうね。帯と帯締めが、着物に合わせた時に、少し、大人し過ぎる様です。お母様が身に付けられる時の色使いとなっている様です。ご自分で色柄の組み合わせ選びをしてみると、もう少し華やかになるかも知れません。ご自分で反物を買う事は難しいでしょうが、手元にある着物と帯を組み合わせる事はできます。そういった事が、お母様に頼らないということの一つです。」
「次に、タエさん。一番お若いからかも知れませんが、他の御三方が言われるがままに何となく合わせていますよね。」
タエは、驚いた。本当は違うのだが、つい他の三人に合わせてしまっている。この僅かな時間で文治が見抜いてしまっている、そして、他の三人の前でものを言うことになるとは思ってもいなかった。戸惑っているタエを見て、文治は続けた。
「人は集うのが性ですから、一人で生きてはいけません。ですから、迎合することは必要です。でも、いつも周りに合わせるだけでは御縁はやってきません。
多分、ご自分の意見をお持ちでしょう。ご自宅では、気遣い無く話しをされているのでしょう。それは、貴女が発言する迄、待ってくれる人が居るからです。でも、いつも発言を待ってくれる人が居るとは限りません。タエさん、貴女はどうしますか。
はい、タエさんの発言を待ちます。」
タエは、少し考えていた。
そこへ、早咲が何かを言おうとするので、文治は手を早咲に向け、制止した。
「タエは、言いたい事が言える様になりたい。でも、どうすれば良いのか分からない。」
「そうですよね。でも、恐らく思っているだけでは、いつ迄経っても言える様にならないでしょう。しかし、タエさんは、そうなりたいと口にしましたよね。それで良いのです。
誰かの話しに割って入るのは、かなり経験が必要です。でも、誰も話しをしていない時なら、発言ができています。では、誰も喋っていない時を狙って、思っている事を口にすれば良いのではありませんか。
早咲さんもタエさんに意見を求める事が有ります。その時には、思っている事を素直に言えば良いのです。こんな事を言うと、何て思われるだろうかなどと考えると物が言えなくなります。
同じ意見の時でも、そう思うとだけ言うのではなく、その理由を言う様にすると良いでしょう。その内容が、たとえ他の方と重複しても良いですから、筋道を立てて話しをする様に習慣付けると良いでしょう。そういった事を繰り返していけば、誰かに何かを伝える事ができる様になるでしょう。」
タエは、口を一文字にして、色々、思い返している様だった。
「では、睦さん。貴女は、一番の年長ですね。そして、今日のお蕎麦は、貴女が作られたと思います。如何ですか。」
また、四人は顔を見合わせて、何故、そんな事が分かるのか、不思議で仕方ないという顔になっていた。
「当りですか。年長であることと料理をすることとは関係はありません。
或る程度料理の経験をしている方は、たもとのさばき方で分かります。料理をされる方は、たもとが料理の邪魔にならない様に上手くさばかれます。実は、私の母のたもとをさばく仕種と睦さんの仕種が似ていたものですから、その事を思い出したのです。
ご婦人方は留袖ですので、普段は、あまり気にされませんが、貴女方の様な嫁入り前の方々は料理の際には袂をさばくことになりますよね。そうした仕種は、思わず出てしまうものなのです。
もしも、御縁が無いというのであれば、恐らく、ご家族が遠ざけていらっしゃるだけなのだと思いますよ。今年は、御縁が沢山有ることと思います。貴女の仕種を見て、嫁に欲しいと思う殿方は少なくないでしょうから。」
話しを聞いて、睦は顔を真っ赤にした。どうやら、そういった話が進んでいるらしい。めでたい事である。その反応に気付いた他の者は、睦を肘で突いて、「ちょっと、睦ちゃん。何で私達に黙ってたのよ。」「ちゃんと言ってよ。」などとひと騒ぎとなった。
「さて、五月さん。何か悩み事が、お有りの様ですね。お聞かせ願えますか。言いたくなければ無理にとは言いません。如何ですか。」
五月は、他の娘達に調子を合わせて騒いでいただけに、他の者達は意表を突かれた様だった。暫く、全員が沈黙し、火鉢の鉄瓶だけが音を立てているだけとなった。他の者達は息を殺して、五月の言葉を待った。
「うん。文治さんになら話しても良いかな。」
五月は呉服屋の娘である。呉服は最近の洋服に押されて、商売としては成り立っているが、売り上げは随分と落ちている。それに加えて、五月の親は、投機に失敗し、借金が膨大で、本業で稼いだ分はすべてが返済に充てられ、使用人に給金が払えなくなって辞めてもらって、両親が借金を返すためだけに働いている。両親は、一人娘の五月には、「何も心配する事は無い。」と言っているが、日々、疲れ果て、顔色が悪くなっていく親を見ているのが辛いということであった。
他の娘達は、借金に対して何も言う事も、する事もできない。深刻と思われる話しに声を出せる者は居なかった。
文治は、冷めかけた白湯を一口啜って口を開いた。
「お話を伺っておいて申し訳ありませんが、私も、居候ですので、御用立てできるお金は持ち合わせてはいません。ただ、御両親が貴女に心配は要らないと言われる事について、話させてください。
五月さんが、御両親を見て大変な思いで働いていらっしゃる事を感じているという事は、御本人達にすれば、見た目以上の思いで働かれていると思います。それでも、子供に辛い思いをさせたくないという事です。親というのは、大変、有難いものですね。
子供は、日々、接しているのですから、親の大変さが良く分かります。親に何かしてあげられる事は無いのか思い悩む事になるでしょう。でも、何をすれば良いのか分からない。そんな時は、御両親も仕事を何も言わずに見守ってみてください。お仕事の何が一番大変なのか、または、大変な時間帯というものが見えてきます。
貴女ならば、その時に何を手伝えるのか、お店の仕事は知っていらっしゃるので、分かりますよね。そうする事で、貴女の気も紛れるでしょうし、御両親も喜ばれると思います。ただ、最初は手伝いを反対されるかも知れませんね。そんな時には、仕事の手伝いが花嫁修業であると言ってあげる、今の時代は、夫を支えるために体を動かすのは当たり前になってきているとね。
親としては、子供が手伝ってくれる事を嫌がる者は居ません。嬉しい事なのです。ただ、子供を思う親心としては、子供に親の心配を掛けたくないという気持ちも有るのです。でも、悩みを分かち合える年齢になったという事を知らせてあげる事が必要です。それが、貴女が手伝うと親に分からせた時なのです。
悩みは、多くの者で分かち合った方が早く解決するものなのです。今日、貴女が話してくれたことで、貴女の心の重しは、少しは軽くなったのではありませんか。自分の悩みを分かってくれて、その事に色々助言をくれる者が居るだけでも随分と違う筈です。例え、助言が役に立たないとしても、心の重しは軽くなったと思います。」
五月は、文治の言葉が、未だ、腹に落ちていなかったが、最後の「助言が役に立たなくても心の重しは軽くなった筈」と言われて、文治の言う通りにやってみても良いかも知れない、他に案が思い浮かばないのだからと思えた。
「そうよね。何もしないで、あれこれ考えるよりは、良いかも。やってみようかな。」
五月は、決心した様だった。
「五月さん、一つだけ。御両親を手伝うことになったら、見守ってみて分かった事を基に、手伝う中身を御両親と良く話し合ってくださね。と、言いますのは、この先の事を考えておくべきだからです。
貴女が、次の店主を務めるとか、借金を返し終わったら商売を変えるとか、呉服だけでなく他の商品も扱う様にするとか、色々有る筈です。その事に向けて、少しづつでも準備をする事が良いでしょうから。
それと、こちらの三人のお友達は大切にしてください。お店を手伝い始めると交友する時間が取れなくなることも少なくないでしょう。それでも、今日、こうして貴女と共に私の所へ来られたのは、お友達が居たからです。これから、貴女方四人は、色々な事に出会っていく事になりますが、お友達というのは、利害関係無しに付き合えるものなのです。」
その後、四人娘達は、他愛もない話しを喋り合い、その間に文治は空いた椀や箸を勝手場で洗い、湯を沸かし直し娘達に振舞った。
その後、初詣の整理が一段落した辰吉が戻って来たのを機会に、文治は四人娘を自宅まで送っていくことにした。