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のぞきみさん。  作者: ましゅ麻呂
2章、アルバイト、始めました。
7/19

7日目、ばいとまえ。

「えー!この店知ってる!」


友人は街中で叫ぶ。

誰かガムテープ持ってこーい。


「この店俺の従兄弟のじいちゃんばあちゃんの店だ!」


遠いような近いような。


「のぞみさん、入ろう。」


キュキュキュ

『うん。』


そそくさと扉を開けて入った。

なんか外から誰かが叫んでるな。

やばい人かな・・・・・・。

物騒だな・・・・・・。



「放置プレイが一番嫌いなんだよー!!!」



「あらぁ!のぞみさん!」


おばあちゃんがのぞみさんに抱きつく。

もうそんな関係になってたのか。


カランカラン


「人の話を聞けよ!」


友人乱入。

右フック炸裂。

ダウン。

K.O.


「友人黙っとけ!」


かなやんが叱る。

あ、かなやんってのはおじいちゃんのことだ。

想像以上に声が西〇カナだったからだ。

目つぶったら今の叱った場面もファンにとってはたまらないセリフだろう。


「あ!じいちゃん!久しぶり!」


右頬を赤く膨らましながら起き上がる。

元気だなコイツ。


キュキュキュ

『バイトまで、こっちの方で休んでますね(っ´ω`c)』


そういえばのぞきみさんは最初っからコイツのことシカトだな。


「はぁいよぉー。」


のぞきみさんが席についた正面の席に座る。

友人は自分の隣に座った。


「そういえばさ、のぞきみさんって宙のこと好きなの?」


友人はテーブルに肘を付きながら図々しく質問した。

のぞきみさんは自分にしか見えないようにしてホワイトボードを見せた。



キュキュキュ

『左も』



「あぎゃあああ!!!」


キュキュキュ

『ざまあみろσ(>д<*)』


のぞきみさんはあっかんべーした。

マスクしてるから舌は見えなかったが。

友人は背もたれにぐったりしながら笑っていた。

とうとう逝っちゃったな。


「なるほどなるほど。宙のこと好きなんだな!」


また自分にだけ見えるように書き始めた。


キュキュキュ

『腹』


「どぅぅぅぅうううう!!!!」


友人は椅子から転げ落ちた。

うわー。めっちゃ苦しんでるー。

いたそー。


「まじ、腹は、だめー。」


こんな姿を見ても全く動じないおばあちゃんとかなやん。

やっぱりどこいってもこんな感じなのかな・・・・・・。


「付き合ってるって聞いたところに起こったんじゃねーよ。」


のぞきみさんはうんうんと頷く。

友人はまだきょとんとしている。


「え?じゃあのぞきみさんどこに怒ったの?」


のぞきみさんは自分を見て1回頷く。

自分もそれを見て頷く。


「あのさ、のぞみさん、な?」


3秒後、はっとしてのぞきみそんの顔を伺う。

急にしょげた子犬みたいになった。

いつもこんな感じだったらいいんだけどな。


「のぞみさん、ほんとごめん。嫌だったんだね。」


こいつがこんなでもモテる理由がこれだ。

普段と真面目な時のギャップが凄い。

顔はいい方なのだからもったいない。


キュキュキュ

『全然、大丈夫( ・ㅂ・)و ̑̑』


「よかったー」


隣で胸をなでおろした。


キュキュキュ

『そういえばなんで私の名前知ってるの?』


「だって宙がよく話してももももも」


とっさに友人の口を塞いだ。

のぞきみさんの顔を見るとハテナがいっぱい浮かんでいる。

よかった、鈍くて。


友人が抵抗して自分の手をどけた。


「こいつのぞきみさんのこと話してるといい顔してるんだよ!」


ああああ

なんか照れるんだけど、なんだよこれ。

のぞきみさんは・・・・・・。

下向いてる・・・・・・。


キュキュキュ

『私といると・・・・・・楽しい?』


なんだよそれ、

そんなの決まってんじゃん。



「楽しいよ。」



キュキュキュ

『私も!』



なんだなんだなんだ、

やばいやばいやばい。


「お邪魔者は帰りまーす!」


友人は席から立ち上がった。


「お、おい!」


そのまま扉を開けていってしまった。

なんなんだよ・・・・・・。



目、合わせらんないな・・・・・・。

どうしようかな。


キュキュキュ

『私そろそろ行くね、』


「あ、行ってらっしゃい。」


のぞきみさんのアルバイト姿が見られるのか・・・・・・。

ちょっと楽しみだな。


今日はなんだかワクワクしてる。

「あんたぁ!店内でいちゃいちゃしてるんじゃあないよお!」


「あぁ、ごめんなさい。」


「なんだかやりづらいねぇ。今日はあ。」

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