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のぞきみさん。  作者: ましゅ麻呂
1章、いつもの、日常。
2/19

2日目、はらへった。

今日も寒気がする。


振り返るとやっぱり木の陰にヤツがいた。

影乃覗見。

いっつも自分の後を付け回しているヤツだ。


今日も仕方なくヤツに近づいて行ってやる。

またアタフタしている。

マスクの下でもごもごしている。


今日もゴスロリ目の服の襟を掴んで持ち上げる。

ジタバタしていたが暫くして




グ〜〜〜。




これは今までにないパターンだ。

顔を真っ赤にして目をグルグルさせている。

ワニみたいにローリングして手から離れた。


のぞきみさんは慌てながらバッグからホワイトボードとペンを取り出した。

キュキュキュとボードとペンがこすれる音が響く。


『今のお腹の音じゃないよ!!!』


何を言っているんだコヤツは。

めっちゃ文字が震えてるじゃないか。

どう言い訳するのかが見どころですね。

「じゃあ何の音?」



キュキュキュ

『新しい生命が誕生する音!!!』




うん、20点。

個人的にはツボだが世間的にはどうだろうか。

のぞきみさんは頬を赤く染めながら上目遣いでリアクションを待っている。

やっぱ25点。



「どっか食いに行くか?」



キュキュキュ

『うん!』



ちょうど昼時でお腹もすかせていたしまあいいだろう。たまには。


「あそこのカフェでいい?」


キュキュキュ

『(*′ω′)b』


最近出来た、レトロな雰囲気のカフェ。

いつもは窓から店内を眺めるだけだったが

今日は中に入れる。

扉を慎重に開けるとカランカランと祝福の音が鳴った。

入ると同時に木の柔らかな香りが心地よい。

夫婦で経営してるのだろうか、厨房ではおじいさんがフライパンを握り、おばあさんが料理をせっせと運んでいた。

作業効率が良くないのだろうか、混んでる訳では無いが何人もテーブルに何も乗ってない状態で待っている。

だがそこに怒りはなく、むしろこの空間自体を楽しんでいるようにも見受けられる。


料理を渡し終わったおばあちゃんが案内してくれた席は窓際の柔らかい陽射しが差し込む席だった。

のぞきみさんは窓の枠に両手をついて外を眺めている。

「なに食べるの?」


キュキュキュ

『ナポリタン!』


意外と普通。

じゃあ自分もそれにしよう。

「すいませーん。」


「はいよぉー。ちょっとまってねぇー。」

おばあちゃんが忙しそうだったので仕方なくコイツと会話して待ってるかな。

キュキュキュ

ん?なんか書いてる?



『名前聞いてなかった、教えて。』



え、名前知らなかったのに?

覗き見してたの?


「朝倉・・・・・・宙・・・・・・。」


キュキュキュ

『そっかー!そら!よろしくね!』


のぞきみさんは微笑んだ。

なんだろう、こう、なんか。

説明ができない、この感じ。

陽射しのせいだよな、

なんか体が暑い。



「お、う。よろしく、な。」



「はぁーい!ご注文は何ですかぁー!」



おばあちゃんはニヤニヤしながら自分の隣に立っていた。

反射的に体がビクッとし手がテーブルから5センチ浮いた。

「・・・・・・ナポリタン二つ・・・・・・。」


「はいぃー。かしこまりぃー。」

おばあちゃんはメモ帳に恐らくメニューを書いた。

そしてのぞきみさんに聞こえないような声でこう囁いた。



「若いっていいねぇ。」



「は、ちが、そんなんじゃ

「ナポリタン二つぅー。」


ここでメニュー叫ぶんならメモとった意味なくね!?

のぞきみさんを見るとマスク(口元)に手を当てて微笑んでいた。



あーもう!今日も寒気がする!

キュキュキュ

『なんて言われたの?』


「なんも言われてねーよ!」

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