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のぞきみさん。  作者: ましゅ麻呂
4章、どこに、いるの。
16/19

16日目、おしえて。

今日も寒気がしない。



「なんだよ……それ……。」



気が付くと前のめりになって友人に迫っていた。

友人は笑顔のまま驚いて後ろに仰け反っていた。

少し空気を肺に送り込んで落ち着かせた。

やはり友人の言う通り、追いつめられているのかもしれない。

温まった椅子にまた腰を掛けた。



「これだよ、こ、れ。」



友人は手を下に隠してからスマホを取り出した。

そして顔の前に突き出してフリフリとする。

え、のぞきみさんの連絡先知ってるのか……?



「ジゼルと交換しておいたんだー。」



フンフーンと鼻歌を歌いながらスマホを起動させ、すさまじい勢いでタップする。

そして右耳にスマホを当てる。

その顔は少し得意げだった。



「あ、もしもし、ジゼル?」



もぞもぞとスマホの向こう側から声が聞こえる。



「のぞみさんのことなんだけどさ、」



またもぞもぞと聞こえる。

友人はうん、うん、とスマホ越しに頷いて見せる。



「え?うん、わかった。」



友人は首をかしげながらスマホをこちらに差し出す。

自分は少し顎を出して返事を返す。

すると、空っぽの手の人差し指で何度か耳をトントンとした。

なんどか頷いて承諾をする。

スマホを受け取って耳に当てる。



「……もしもし。」



友人と目が合い、なんか気まずかったから目をそらした。

その先には子ども達がケンカしているのが見えた。

騒がしい中、優しい声が耳を撫でる。





『宙さん……?話がありますので……。これからどこかで待ち合わせしませんか……?』





~*~*~*~*~*~*~





「こんにちは……。」



ジゼルが軽く一礼した。

釣られて一礼をする。



「で、話の前に。」



辺りを見回す。

ジゼルが指定した場所。



「ここの豪邸に住んでるの?」



信じがたいがジゼルの家らしい。

執事がいる地点でおかしい。

日本じゃないな、ここ。



「ええ……。そうですわ……。」



両手の指を交互に挟み、口元に持っていき首を少し傾ける。

しぐさの一つ一つから感じていたが、本当にお嬢様だったとは……。

紅茶を3つのカップに注ぎ、2つ差し出した。



「さて……。本題に入りますわ……。」



紅茶で口を潤してからコホンと咳払いをした。

そしてクッキーの乗った皿を3cm程こちらの方に押し出した。

長くなるのかな。



「クリスティーナについてです……。」



真剣な眼差しで目を合わせてくる。

思わずそらしそうになったが、本人はいたってまじめだ。

のぞきみさんのことをなぜかクリスティーナとジゼルは呼んでいる。



「最近見かけないんだけど。」



ジゼルはカップを置き、両手を膝に添える。

そして呼吸を整え目を見据える。





「あなたのせいですよ……。ある意味では……。」





は?

自分のせい?

なんかした?

思い当たる節がまったくない……。





「先日、私にこんなことを話されました……。」





今日も寒気がしない。

「お前、一言もしゃべんないのな。」



「なんかこういうとこだと緊張しちゃってしゃべれないんだよー。」

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