14日目、ぬけだそう。
長らくおまたせいたしました。
これからは頻度上げられるよう、頑張ります!
今日も寒気がする。
それはきっとゲームセンターの前で待っているアイツ、のぞきみさんのせいだ。
ジト目でこちらを見つめている。
その手には、抗議文が書かれたホワイトボードが持たれていた。
『楽しそうだなぁ……。』
いや、あなたがあんなことをしたから。
永久追放されないだけいいと思えよ。
さて、友人とジゼルで楽しむか、と思い二人の方を振り返ると何故か少し怒っているようだった。
「お前さ、マジで鈍いよな。」
「ほんとですわね……。」
え、なんで自分が責められてるの?
もう一度のぞきみさんの方を見るとプイッと顔をそらしてしまった。
大きくため息をつき、のぞきみさんの方に近寄る。
これでいいんだろ、これで、と振り返ると二人はもういなくなっていた。
なんだよまじで……。
「のぞみさん。」
顔を見てくれない。
絶対怒ってるよ……。
放置したからだよな……。
「ごめん。」
チラッとこっち見て何かホワイトボードに書く。
キュキュキュ
『許さん』
また顔をそらす。
そんなに怒らなくても……。
「あ、のさ……。」
こっちを見てくれない。
ああ、もどかしい。
「2人で抜けよう。」
~*~*~*~*~*~*~
公園のベンチの隣ののぞきみさん、目をまだ合わしてくれない。
勢いで抜けては来たものの。
微妙に気まずい空気が流れるわけでして。
「なんか食べる?」
ちょうどホットドックやかき氷の屋台が並んでいた。
のぞきみさんはどれにしようかと悩んでいるようだった。
キュキュキュ
『やきそば。』
お。
リアクションを示してくれた。
急いで立ち上がり、焼きそば屋の前に来る。
「焼きそば2つください!」
コテを使って焼きそばをほぐしていたおじちゃんがちょっと待って、と言う。
そこで思った。
今日のぞきみさんにおごってばっかじゃね。
ま、喜んでくれるならいっか。
「お待たせー。」
二つ焼きそばのパックを持ちながら駆け寄る。
待ってましたと言わんばかりの表情で見る。
キュキュキュ
『ありがとー。』
のぞきみさんは焼きそばを受け取ると早速もぞもぞと食べ始めた。
もちろん、マスクの下からだ。
どうしても口を見てみたい……。
「前も聞いたんだけど、食べにくくない?はずさない?」
目が合う。
長い3秒。
ホワイトボードにまた何かを書き始めた。
キュキュキュ
『そうだね。』
その文字が信じられなかった。
と……いうことは……?
ゴクリ、と生唾を飲む。
ゆっくりとマスクに手を掛ける。
もうすぐ……。
ワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワン
もう少しで見れそうだという時に叫ばれる。
仕方なくそっちの方を見ると散歩中のイヌがこっちみてめっちゃ吠えてた。
そして飼い主に引きずられて遠くの方へ行ってしまった。
「なんだったんだ……。」
あっけにとられてると笑い声が聞こえた。
のぞきみさんが大爆笑している。
ツボがわからない。
「っぷ……。」
釣られて笑ってしまった。
というより、のぞきみさんの笑顔が見れて安心したというか……。
ほんとによかった。
「あはは!」
公園に二人の笑い声が響く。
それでいい、今は。
大事なのはマスクの中身とかじゃない。
そんなことに気づかされた。
今日も寒気がする。
「あいつらうまくやってるかな……。」
「宙さんと友人さんは付き合ってるんですか……?」
「は!?」