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のぞきみさん。  作者: ましゅ麻呂
3章、あなたは、だれ。
10/19

10日目、げーむせんたー。

今日も寒気がする。


この寒気はのぞきみさんじゃないな。

さっきから周りを気にしながら歩いているのだがわからない。



「ちょりーーーーーぐふぉおおおおおああああ」



恒例の友人へのご挨拶。

これがおはようございますの代わりなのだ。

友人だって頬を両手で押さえながら喜んでる。

いつも犬みたいにニコニコしてて気持ち悪いな……。



「で、昨日のデートはどぶっふぉおおおおおだったの?」



くそ、コイツ頑張って最後まで言ってきたな。

デートじゃないし。バイト姿見てきただけだし。



「がんばってたよ。」



友人はニコニコしながら顔をのぞいてくる。

ゆっくりと拳を顔の前に持っていく。

友人から冷や汗が吹き出し、ニコニコしたままゆっくり去っていく。



「でも、今いい顔してんじゃん。」



なんだよ、それ……。

友人を見ると悪戯にニコニコしていた。

そんな目で見るなよ。



「顔真っ赤にして、わんこかよ。」



ほっぺをツンツンとされる。

ほんとに調子くるうな……。



やっぱ友人にはかなわないな。

ニコニコバカやってるようで本当は結構物事考えてるんだ。

はぁ……とため息がこぼれた。



「はぁ……はぁ……いいですわ……いいですわ……。」



~*~*~*~*~*~*~



歳を重ねるごとに一日の流れがとても速く感じる。

着実におじいちゃんへの道を踏みしめているわけだ。

そう思うとなんかこう……。

もっと今のうちに遊んでおこうとか思ってしまう。

というわけで今日はゲーセンに来ている。

もちろんコイツらとだ。



「めっちゃ久しぶりだねー!ゲーセン!」



声でかい友人。(100dB)

それとあのUFOキャッチャーの陰に隠れているあの人。

いつものように襟を掴まれて登場です。

のぞきみさん。(0dB)

今日もこの3人でお送りします。



キュキュキュ

『ゲーセン!ゲーセン!』



今日はテンション高いな。

あ、それよりも。



「今日バイトは?」



キュキュキュ

『今日は店混まない曜日なので休みでいいと。』



大丈夫かなぁ……。おばあちゃんとかなやん……。

休日の昼しか混んでないのに混まない曜日って何……。

平日常に休業してんのと一緒じゃん……。



「UFOキャッチャーだあああああああああ!」



走って駆け寄る。

ほんと精神年齢何歳なんだよ。

このぬいぐるみmoimoi君じゃん!



キュキュキュ

『moimoi君だ!』



「のぞみさんmoimoi君知ってるの?」



なんか初めて見つけた共通点。

すんごく嬉しい。



キュキュキュ

『え!そらもmoimoiやってるの?』



moimoiとは音ゲーの一種で、大きな箱に傾斜をつけた形をしている。

その形が冷蔵庫に似ているため一部のユーザーからは冷蔵庫と呼ばれている。

そのマスコットキャラクターがmoimoi君なのだ。



「やってるやってる、moimoiやる?」



キュキュキュ

『うん、やろうやろう!(やってること知ってたなんて言えない)』



そこ、全部書いちゃわないの。

とりあえず二人でmoimoiをやりに行くことにした。



「わー、こっちも取れそうだけどなー、プロにとっちゃこれは難しいんd



~*~*~*~*~*~*~



「結構すいてるね。」



放課後友人にすぐに連れられてきたため2台あるうちの1台が空いていた。

ラッキーと思いながら100円を入れ、カードをかざした。

すると画面に自分のデータが映し出された。

どれどれ、のぞきみさんは……。



「同じくらいだね。」



キュキュキュ

『そうだねー。』



レートというプレイヤーの腕前が大体わかるものがあるが、それがほとんど一緒だった。

こやつなかなかやるな……。

じゃあ難易度はもちろんマスターだな。



「曲なんでもいいよ。」



moimoiには今はやっているゲームの音楽や、ワラワラ動画というサイトに投稿された人気楽曲などがたくさん入っている。

のぞきみさんはどんな曲を選ぶのかな……。



キュキュキュ

『じゃあこれで!』



ガッツリオリジナル楽曲……。

オリジナル楽曲とはmoimoiのためだけに作られた楽曲のことだ。

最近では他の音ゲーともコラボしていてたくさんの機種で遊ぶことができる楽曲もある。

だが、のぞきみさんの選んだ楽曲はガチ勢の曲だ……。

難易度は12段階表記の内の12、つまり最高レベルだ。

この曲は結構いいランクを取ったことがあるからなんとか勝てるか……?



「なかなか渋いね、お客さん。」



のぞきみさんはえへへと笑う。

そんな笑顔見せられても負けないから。

残念だったな。



~*~*~*~*~*~*~



「くっそ……。」



フラグ全回収自分……。

さすがです……。



キュキュキュ

『なかなか強いね。』



のぞきみさんも自分もランクはSだったが、少しの差で負けてしまった。

わー悔しい。



「次曲選ばせて!」



こんなに熱くなったのはいつぶりだろうか。

とても久しぶりな気がする。

中学から部活に入っておらず、ただやる気ないまますごしたきた。

でも、今、燃えている。

やる気のない自分を燃やすことができたmoimoi恐るべし。





「今日は……女性と一緒なのですね……。」





曲を選んでる最中にブルっと体が震えた。

朝と同じあの感じ。

あーもう朝から誰かに絶対見られてる。



今日も寒気がする。

「ちょ、もう一回やろう!」


↑結局全部僅差で負けた人。

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