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☆第十八話 運動会

 また恥を世間にさらす日が近づいてきた。運動会である。運動神経は悪くなく、走りもそう遅い方ではないが、父兄の方々に芸能人のように写真やビデオを撮られるのはそう得手ではない。どちらかといえば、準備とかの裏方が好きだから、シャイな面も含めて芸能人向きではないだろう。顔もイケてない訳ではないと思うが、イケてるとも思えないから余計、そう思える。最近の運動会はオリンピックのような選手宣誓とかの構成が一般的になったが、幸いにも僕の学校では昔ながらの朴訥ぼくとつとした古風な構成である。僕は、この運動会を大層、気にいっている。恐らく、永遠に続くことはないだろうが、続く限り続いて欲しい…と願うばかりだ。すでに僕の小学校の運動会は重要無形文化財の様相を呈しているのだ。

「正也、今年はじいちゃんも見に行くぞ!」

 来なくていいよ! とは口がけても言えず、「うんっ!」と可愛く言うに留めた。

「お前は、どうする?」

 じいちゃんが父さんを指名した。

「あっ! 私は仕事が…」

 父さんが運動会で仕事を休めた試しがないことは家族全員が知っている。愛奈まな、タマ、ポチですら知っている…とまでは言わないが、少なからず雰囲気は感じているのではあるまいか。

「…だろうな」

 じいちゃんが半ばあきらめ口調でつぶやいた。

「あなたも一度くらいは、いらしてね。私の顔もありますから…」

「ああ…」

 母さんはPTA役員の手前、外聞を気にしておられる。僕としては返って好都合なのだが…。じいちゃんが来て、そこへ父さんが…。思うだけでも、おぞましく、ゾォ~~っと身の毛が、よだつ。口争いとまではいかなくても、じいちゃんによる小言が始まる可能性は否定できない。いや、かなり高いだろう。だから助かる…と、まあこうなる。

「今年は愛奈を皆さんに見て戴けるわ」

 母さんは笑顔で言うが、愛奈にしてみれば、デビューしたい訳でもないだろうに、哀れなことだ。いや、スヤスヤ出来ないのだから、いい迷惑かも知れない。

                   第十八話 完

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