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☆第十二話 根性

 今年もまた、じいちゃんと山へキノコ採りに行く季節が近づいてきた。

「あと十日ほど先だな…」

 じいちゃんはキノコが採れる頃合いが絶妙に分かるお人だ。僕の師匠だから当然と言えば当然だが、なんといっても長年の経験からの勘によるところが大のようだ。

「じいちゃん、キノコの根ってあるの?」

 僕は普段、疑問に思っていることを、つい口にしてしまった。

「キノコの根な…。いや、それは、ない。根に見えるが、あれは菌糸のかたまりだ。正也も習ったろうが…」

 あっ! そういや…と、僕は学校の授業を思い出した。すでに習っていたものを忘れていたのだ。頭はよいみたいだが、僕もその程度の粗忽者なのである。

 根といえば、じいちゃんの根性はすさまじいもので、大よそ、この世のことは、すべて自分でなんとか出来ると確信をお持ちの大人物なのである。そこへいくと、父さんは、じいちゃんの子であることが嘘のように持続力がなく、まるで根性というものがない。駄目だと分かると、すぐ根を上げて撤収するか弱い小人物なのだ。しかし、そうも言ってられないのは、その小人物から僕が生産されたらしい…ということである。確率の高い嘆かわしい事実で、すぐにも消し去りたいが、そうはいかないのが人の世である。とりあえず、母さん似ということで得心することにした。で、その母さんは、じいちゃんといい勝負の根性の持ち主で、日々、根を上げずに家事や愛奈まなの育児に明け暮れておられる奇特なお人なのだ。じいちゃんは威厳めいた照かる丸禿まるはげ頭だから思わず合掌したくなるのに比べ、母さんの場合は、その有難さに手を合わせたくなる訳だ。父さんの場合は…程度で、意に介さない。空気のような存在とまでは言わないが、僕の家では、それに近いものがある。さて僕だが、丘本先生にもめられたのだが、何事も最後までやる子だそうだ。僕もそう思えるが、途中で棒を折るのが嫌いな性分だからだろう。決して根性がある、などと大仰には言えないが、じいちゃんの万分の一ほどはある、と謙遜しておこう。愛奈は泣き通す根性をお持ちだ。このお方には誰も勝てない。タマとポチに根性は関係ない。彼等は根性などどこ吹く風で、日々のんびりと暮しておられる。

                    第十二話 完

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