驚異の朝食
結果として俺が日が昇ってくるまでに何をしていたのかといえば、寝落ちだ。あんなに寝れない。寝れない。と一人で騒いでいた割にあの後すぐに眠りに落ちてしまっていた。挙句、エリさんに起こしてもらうという失態を犯してしまった。生まれて初めての女の子に朝起こしてもらうという経験をしたわけだが、寝不足のせいで全く覚えていない。その後俺は、寝ぼけ眼のまま何処に行けばよいのかわからずにフラフラしている。そう、この家は非常に広いのだ。制服姿に着替えを済ませたエリさんに背中を押され、どこかへと案内された。
連れていかれたのは今まで見た部屋の中でも一番広い部屋だ。おそらくリビングだろう。
「おはよう。」
後ろから、図太く低い声をかけ振り返ると、白いランニングシャツを着た大男がいた。
「え、あ。おはようございます・・・?」
「兄です。」
エリさんにそう言われて思わず二度見する。か弱いイメージを持たされるエリさんとは打って変わって、銃弾の一発や二発なら平気で受け止めそうな、大男だ。兄妹というのはここまで似ないことがあるのだろうか。本当に人間というのは不思議なものだ。
ほかにもメンバーがいることを予想したのだが、リビングには俺、エリさん、大男さん。の3人しかいない。
「他にメンバーはいないんですか?」
率直な疑問を投げかける。
「ええ、他にもいらっしゃいます。ただ、みなさん起きる時間がバラバラなものでして、この時間に起きるのは私たちだけです。」
「そうなんですか。」
「では、朝ご飯にしましょう。羽石さんは、そこの椅子に座ってください。」
と、俺の腰くらいの高さがある、白いテーブルの横にある背もたれ付の椅子を指し示す。特段断る理由もないので、席につかせてもらう。他の二人も席に着く。400年後の食事というのには大変興味がある。やはり、サプリメントだけだったり、ゼリー飲料なのだろうか?
「お願いします。」
エリさんは、誰に言ったのかわからないが、そういった。そうすると、先ほどまで何もなかった場所に皿と料理が並べられていた。
「え・・・?」
どういう理屈なのだろうか。全くもってわけがわからない。誰か、教えてもらいたい。
「では、いただきます。」
「いただきます。」
二人にとってこの光景は当たり前のようで、何も言及しない。
400年後の技術、恐ろしい。