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400年越しの願い  作者: 神船一
粛清
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黒髪のバックは

 何故だ。その一言が、先ほど羽石から報告を受けた時から、美里の頭の中を占めていた。元より、ゆみとは能力の系統が似ていることからドリーマーに干渉される可能性も考えていたが、もしその通りに干渉されたなら元締めである自分が気づかないわけがないと、思っていた。だが、予想よりもゆみの方が美里よりも能力が達者だったようだ。

「これは…結構痛いわね…。」

羽石に肩を借りながらリビングに移動するさなかにそう呟いた。

 実際に自分の目で確かめてみても、信じがたい。何かないかとリビングの隅々まで目を凝らしていると、窓の方からコンコンという物音がするので、そちらの方を振り返る。羽石もそのことに気が付いたようで、音の発信源に銃口を向ける。

 すると、一つの人影が大きめの鉢の裏から突然現れた。二人して、予想外の出来事に驚き、窓に近づく。その人影には見覚えがある。それは、身体に密着するタイプのスーツを着込んだゆみだった。長い髪の毛が夜風に吹かれてなびく。夜景をバックにしたその姿は、スーツのおかげで体の凹凸がはっきりした事も加わり、何かの写真集にでもそのまま載れそうなものだった。その姿に同じ女としても尊敬できるよる様な姿だった。


 だが、自分たちの倒すべき相手の姿に見惚れていたのでは話にならない。そう、直ぐに私は気が付いた。自分には直接の攻撃能力がないので、物理攻撃担当の羽石に攻撃をさせようと、

「撃て!」

そう、叫んだ。だが、一向に銃声は聞こえてこない。羽石は直立不動の状態で硬直していた。軽く押してみても、何の抵抗も示さずに後ろへと倒れていった。

また、やられた。彼は再び精神を支配されてしまっているのだろう。だが、今はそこまでの時間が無かったため、生死にかかわる様なものではないと、願いたい。

 本人が起きないのなら、自分でやるしかない。そう判断し、腰に下げていた、『アレ』に手を掛ける。引き抜こうとしたところで


 ゆみは、そのままベランダの柵を乗り越えて飛び降りていった。またしても逃げられてしまった。

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