久々の
視界は、白一色。天井も、壁も、備品もすべて白。そして、独特の匂い。
ああ、ここは病院か。と、どうにも体がなまっているような気がする、俺こと十 羽石は、起き上がる。
病院というのは400年経っても基本的な部分での変化が無いという事に安堵すると共に、違和感を覚える。おそらく外側がそうなっているだけで、内側の設備やら何やらは俺では到底予測もできない様な代物になっているのだろうけど。
ウィーンという機械音を聞き、そちらを見ると。真っ白なナース服に身を包んだ。美里さんがいた。基礎がいいからナース服がとてもよく似合う。不覚にも見とれてしまった。
二人して目が合う。
……。
気まずい沈黙。先に口を開いたのは美里さんの方だった。
「違うのよ、これはボランティア活動なのよ!」
俺にはどうしてもこれが言い訳にしか聞こえない。実際に俺のいた時代でもボランティアで看護師さんの手伝いをする機会はあったが、それでもナース服までは着ないと思う。もっとも俺はやったことがないので分からない。入り口で突っ立っているわけにもいかない様で、ベッドの横の椅子に腰を下ろす。
「率直に言って、貴方は自分の身に何が起こったのかわかってる?」
「そんなこと言われても困りますよ、なんか高層ビルの上に行ったと思ったら、気づけばここですよ。」
「まぁ、そうよね。なら簡単に説明するわ―――。」
「はぁ、そんなことがあったんですか。命を助けてもらったみたいですね。本当にありがとうございました。」
10分後、ベッドの上で土下座をする少年の姿があった。
「いいのよ。そんなこと、リーダーとして当たり前のことをしたまでよ。」
「でも、ゆみさんがまさかそんな人だったなんて、それで結局ゆみさんはどうなったんですか?」
今の俺の思考はそれでいっぱいだった。もしもまだ命を狙われているようなら安心してベッドの上でなんか寝ていられないし。
「それに関しては問題ないわ。彼女は絶対にここには入ってこられないから。」
「なんで、そんなことが分かるんですか?」
「そんなのは簡単よ、私がここでずっと見張ってるからよ。」
「え、もしかして俺がここに来てからずっとですか?」
「そうなるわね、今日で7日目よ。」
予想以上に俺は眠っていたらしい。
「なんかもう、色々とスイマセン。」
「いいのよ。ただ、これからは働いてもらう事になるわ。あなたの初ミッションよ。貴方をこんな目に合わせた女。ゆみに復讐しにいくわよ!」