遠距離への挑戦
武器を持った敵。強さは未知数。今まで通りの戦法でよいのだろうか。武器を変えてみることにした。今までは敵に近づかなければ使えない武器なので、その分危険度が高まる。飛び道具にしよう。
この時代の遠距離武器はどういうものなのか分からないが、俺のいた時代では銃がオーソドックスな武器だ。だが、実際に銃に触ったことなどある分けもない。だが、俺のこの空間を操る能力からの応用である、物体創造能力の要部分はいかに精巧に創造物をイメージするか、である。
銃のイメージをするもとは、自分のいた時代でやった据置型ゲームに出てきたものだ。そのゲームは非常に丁寧で、登場する武器一つ一つを詳細に見ることが出来たのだ。記憶の糸を紡いでいく。
噂でしか聞いたことがないのだがリボルバー拳銃というのは非常に反動が大きく。子供や女性が撃つと片腕が後ろ方向へ吹き飛ぶらしい。おそらく自分の能力を応用すれば再生することは出来るだろうが、確証はないし、痛みもあるだろうからリボルバーはやめておきたいので、オートマチックにしておく。
”拳銃を!”再び右手に光が収束されていく。一度まるく集まった光が粘土細工のように伸びていく。そして、俺の手に生まれる黒光りする金属の塊。創造が終了すると右手に重さが伝わってくる。こうして生まれた拳銃を持った右手を前方へ突き出す。片手だと安定しないので左手も添え、両手で構える。そして、引き金を一気に引く!
パンッ!という音とともに火薬の匂いが漂う。だが、依然として相手の闇はそのまま佇む。拳銃から発射された弾丸はあらぬ方向へと飛んで行ったのだ。その後も何度も引き金を引くのだが、全く弾丸が当たらない。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」というが全く当たらない。引き金を再度引いたが、弾が出ずに、今までにない手ごたえが返ってくる。弾切れだ。
仕方がなく俺は使い慣れた逆十字の剣に武器を変える。剣に武器を変えた所で今まで動かなかった闇が動き始めた。
速い。今までにない速さだった。一気に間合いを詰められる。闇が剣を上から振りかぶってくる。俺はとっさに自分の剣を上に掲げて攻撃を防ぐ。だが、重さが違い過ぎた。自分の剣が押されて俺の顔に肉薄している。このままでは、どうしようもない。俺は右足にスパイクを形成する。相手に直接触れなければ問題ないのだ。スパイクで相手の腹の辺りへ思いっきり蹴りを入れる。相手が押されて後ろへ下がる。それにつられて剣も戻る。俺は後ろへ飛びずさる。このままでは埒が明かない。俺は再び銃を生成する。今度はアサルトライフルだ。これなら、連射が出来る。引き金を引き絞り、右から左へと掃射していく。今度は反動で銃口が上を向く。だが、それを抑えて何とか平行に移動させる。今度は当たった。闇が前に倒れ込む。そして、視界が開けていく。