神レベル1
闇へ対峙しようとしたところで、視界が急変した。白と黒だけの世界から、色のある現実世界へと視界が変わっていく。
目をカッと開き、上体を起こす。また俺はどこかへ寝かされていたようだ。
「リーダー、起きましたよー。」
ゆみさんの声が聞こえる。
「おー大分早かったな。」
美里さんの声も聞こえた。さっきまでのは何だったのだろう。まさか、夢落ちとかじゃないだろうな。あんなに苦労したのだから、現実であってほしい。
「どうだった、私の用意した特訓ステージは?」
「あれ、準備したのあなただったんですか。」
「そうよ。私の能力。」
そういえば美里さんの能力ってなんなのだろう。そりゃ勿論組織のリーダーにふさわしいだけの能力なんだろうな。
「で、なんで俺にあんなことをさせたんですか。」
「それは、何の役にも立たない人間を組織に置いておくわけにはいかないからでしょ。後、一人称。」
しまった、長年の習慣が抜けずに、また「俺」を使ってしまった。いや、でも今回は違う気がする。能力の使い分けの様なものだと思う。意識を”俺”と”僕”で区別することによって、能力を使い分ける感じだろう。
「じゃあ、特訓の成果と行かせてもらおう。何かここに創ってみてくれ。」
「そう簡単そうに言わないでくださいよ。使えるかわかないんですから」
「使えないと困ることになるのは君だぞ?」
俺はそんな会話をしながらも、集中する。出現させるのは、さっき成功した剣がいいだろう。
”我が手に剣を出現させよ!”
光が手の中で生まれる。そして、四方へと延びていき、逆十字の剣を創る。
「上等よ。ちょっとその剣こっちに貸してみてくれるかしら?」
俺は美里さんに剣を手渡す。彼女は受け取った剣を大きく振りかぶり、目の前にある机に向かって振り下ろす。