神の領域
「あなたの能力。それは……。」
緊張する。
「時空間の支配よ。」
は?
「え、どういう意味ですか、それ。」
「だから、時空間を支配するのよ。あなたの能力は。」
だから時間移動ができるのか。と、納得する一方。空間の方に疑問が残る。
「時間の方は理解できるんですけど、空間の方がよくわかりません。ちょっと説明を詳しくお願いします。」
美里さんはすぐには言葉を繋がない。考えているのだろうか。
「いいこと?あなたは空間を支配できるのよ。この三次元を。」
「その具体的な意味ですよ。」
「今説明中!口を挟まないで。あなたの疑問に答えてあげてるのよ。」
怒られてしまった。俺は口を真一文字に結んで、説明が終わるまで絶対に口を開かないと誓った。
「やろうと思えばあなたなら、ここにものを創造することも可能なはずよ。例えば、この部屋には机は一つしかありません。でも、あなたの能力を使えば、違う空間から物を移動させることで、この場所にもう一つ用意することも出来れば、新たに原子を生み出して創ることもできるわ。」
なんか、めちゃくちゃな、チートな能力だ。そんなもの使いこなせるのだろうか。それだけの恵まれた能力を持ちながら、俺は何を望み、その超能力製造マシーンを作ったのだろうか。
「つまり、あなたの能力は基本的になんでもできるわけね。説明終わり!」
「どうしたら、そんな能力が使えるようになるんですか?」
「それは、今使える能力をひたすら使う事よ。」
「経験値稼ぎってことですか?」
「そうなるわね。」
「でも、発動は自分の意志でできないです。」
そこが問題なのだ。自分で自由に使えるならまだしも、こんな制約な能力から、神がかった能力に達するまで、一体どれだけの時間が必要になるのだろうか。
「安心していいわ。それについても考えてあるわ。」
そういって美里さんは、机から何かを取り出した。黒くて、長い。何かを。全身から冷や汗が噴出した。
「美里さん、それって。もしかして。」
「ん?これ、これは鞭よ。」
ですよね……。
「ついてきて頂戴。こっちに防音の部屋があるから。」
そうって彼女は立ち上がり部屋を出て行った。いたぶられることを知っていて、誰がついていくものか。
そう心に決めて、その場から俺は動かない。