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400年越しの願い  作者: 神船一
移動の末にたどりつく場所
11/51

未来に・・・?

 長い夢を見ていたようだ。それも飛び切りの悪夢を。死んだはずの家族が俺に対して語りかけてくきて金縛り(?)のような現象に見舞われるという夢だった。


 うっすらと目が開く。始めに視界に入ってきたのは金属の様な色のタイル。重力にひかれている方向的に俺は寝かされているのだろう。本当にひどい夢だった。状況把握のために身体を起こす。やっぱり、俺は寝かされていたようだ。

「あ、やっと起きた?」

「え?アレ?」

そこにいたのは、さっきの少女だった。

「あんたか。いい加減に名前を教えてくれないか?殺人の現場を見てもおどろかないような人間に俺はあったことがないからな。」

「私?私は神永かみなが ゆみ よ。」

「神永だな。」

「呼ぶときは、『ゆみ』でお願い。」

俺は小さく舌打ちをしてから。

「『ゆみさん』あの後どうなったんだ。」

俺は名前に「さん」を着けることにした。

「大丈夫よ、あなたが心配することは何もないから。」

「本当に何があった!」 

 殺人後に逃げ切るのが簡単なわけがない、しかも俺というお荷物を連れて。

「本当に、大丈夫よ。ちゃんと逃げ切ったから。”警察では”ここまで来れないから。」

「じゃあ、此処はどこなんだ?後、バットはどうした?」

「バットはこの部屋に隠してあるから、安心して。それで、場所については、後でね、ちょっと移動するよ。後、私の方だからその口調やめてね。ちゃんと敬語を使うように。」

今までの会話から、このゆみさんは敵ではなかった、ということが分かる。敵なら警察につき出していただろうし、バットも隠してくれたようだし、当面は信用しよう。

 歩き出すゆみさん。俺は遅れて、ベッドの様なものの上から降りて、ゆみさんについていく。


 部屋から出ると、すぐに廊下があった。廊下の突き当たりを右に行き、建物から出る。建物の外に出てとても驚いた、周りにあるのは廃墟だらけだったのだ、勿論さっきまで俺のいた家もそのうちの一つだった。

 外に出て気が付いたのだが、俺の服は血に染まっているはずだ。誰かに見られてもいいものではない。と、あわてたのだが、杞憂になった。理由は二つある。一つ目は、何故か違う服に着替えさせられていたからだ。そして、もう一つここは町の形をある程度とどめているのだが、人が一人もいない。

 

 周りをよく見渡せば、見渡すほどに、此処が明らかに現代の日本ではないということはだけは分かった。俺の知る日本にこんな荒廃した場所があるはずがない。まさか、未来とかも言わないよな、だったらやっぱり海外のどこかだろうか?

「ここはどこなんだ?」

「だから、敬語を使ってね。って言ったとおもうんだけど?」

俺はため息をついた。今、情報源になるのはこのゆみさんだけなのだから、機嫌を損ねるのは得策とは言えない。

「ここはどこですか?ゆみさん?」

皮肉たっぷりに言ってやった。

「ハイ、良く出来ました。」

子ども扱いをされた気がする。

「ここ日本って言ったら信じる?」

「信じないですよ、もし、ここが日本だとしたらおかしいじゃないですか。日本は唯一と第三次世界大戦の被害を避けた国じゃないですか、こんなことになってるわけないじゃないですか。」

彼女に対して敬語を使うのに慣れてきた気がする。それか、今の状況に対して冷静になったのか。

「そう考えるのが妥当よね、あなたのいた時代なら。」

え、何その言い方。あたかも今がさっきまでの2040年じゃないみたいな・・・

「ちょっと待ってください。その言い方だと、今が2040年じゃないみたいじゃないですか。」

「そうよ、今は2040年じゃないわよ。」

一番ないと思ってた可能性があっさり肯定された!

「今は2000何年ですか?」

「そうね、その説明も後にするわ。」

「え、なんで・・・。」

「だって目的地に着いたからよ。」

と、言われて辺りを見渡しても何もない。さっきまであった廃墟すら見当たらない。あるのは雑草や岩山や岩だったり、自然の物だけだった。人工物は見当たらない。

「まさか。この原っぱみたいなとこが目的地なんですか?」

「そうよ。」

「まさか、ここでピクニックとかいいませんよね?」

それにしては、定番のお弁当を持ってないけど。

「そうしたいならしてもいいけど。残念、今は違うんだな。」

と、いいつつ彼女は辺りを見渡した。

「ならどうして・・」

彼女はボソっと、よし。と言って。

「ちょっと待ってね。」

彼女はそういって岩肌に近づいて何かをしている。というか、ポケットから取り出した何かを壁に押し付けている。

「そんなこと・・、して。」

どうするんですか?と言いかけて、言葉につまる。

何故なら壁に変化が起きて人一人分ぐらいのスペース開いているのだから。

「いや、これはなんですか?」

なんかやばい気がするんですけど・・・。

「何って入口よ?さ、入って入って。」

「いや、ちょっ。」

またしても最後まで言いたいことを言い切る事が出来なかった。ゆみさんに背中を押され、中に押し込まれたからだ。急に押されたことでバランスを崩す。なんとか転倒することは避けた。

 中には長い通路があった。飾り気のない廊下だが、つくりなどは豪華だ。さながら、王宮の廊下のようだ。所々に曲がり角や、扉がある。俺が一人でここに入ったのなら、絶対に出てこれない気がする。まぁパンでも撒いて行けば平気かもしれないが。

 後ろからゆみさんが通路に入ってきたところで、扉が閉まった。

「ここはどこですか?」

「ん、ここ?ここはねぇ。私たちの秘密基地みたいなものかな。」

「めっちゃ豪華ですね。」

「いいでしょ。」

その後は会話の無いまま通路を進む。 

 俺は大事な事を忘れていた。

「だから、今ここは2000何年なんですか?」

「あー、そういえばそんな話してたね。」

「忘れてたのかよ!」

そんな感じだった。俺の中では結構重要な事なのに、ゆみさんの中では大して重要度の高い案件ではない様だった。俺もちょっと忘れてたけど……。

 アレ今の状況を整理すると。知らない場所。知らない時代(?)。一緒にいるのも知らない人。時間を超えた拉致じゃないのか・・・・。


 などと考えていたら、ひときわ大きな扉の前に立っていた。材質はさっきまでの廊下と同じで、装飾がないのも同じの二枚扉。ちょっと寂しい感じだ。

 再び彼女はポケットからカードを取り出して、扉の横に縦に走っている溝に当てて、上から下にスライドさせる。ピッ、と電子音がしてから無愛想な二枚扉が左右に動きだす。

 やっと目的地に到着なのか・・・。

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