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古の灯火  作者: 丸亀導師
戦間期
73/81

1930年 列強各国国力推計

列強各国国力推計並ビニ戦略的情勢分析


作成: 総力戦研究所 第四分析班


日時: 昭和5年(1930年)10月


対象: 日・米・英・独・蘇(ソ連)・仏


1. 総合国力指数(1930年現在)

米国(1929年のピーク時)を「100」とした場合の、各国の**「現在発揮しうる実質国力」**の比較。

(※括弧内は、恐慌前の潜在能力)

――――――

1 米国 65 (100) 崩壊中 工業稼働率50%低下。失業率25%超。巨大だが動けない巨人。


2 英国 45 (60) 衰退 ブロック経済化で維持図るも、ポンド価値下落。


3 蘇連 35 (40) 急伸 五カ年計画による強制重工業化。恐慌の影響を受けず。


4 日本 32 (25) 独歩高 世界で唯一のプラス成長。「鋼紙」等の代用材により実質資源力は数値以上。


5 独逸 28 (45) 混乱 米資本引き揚げにより壊滅的打撃。政情不安。


6 仏蘭 25 (30) 停滞 金保有量は多いが、工業力は低い。


――――――


2. 各国詳細分析


■ アメリカ合衆国(The Sick Giant)

現状:

ウォール街の暴落以降、GNPは半減に近い勢いで落下中。

「豊かさの中の飢餓」に喘いでおり、工場設備は世界一だが、それを作るための資金も買う市場も消滅している。

対日脅威度: 低下(一時的)

国内の失業対策と社会不安の鎮圧に手一杯で、太平洋への軍事介入を行う余力は当面(5〜10年)ないと思われる。

ただし、その潜在的な工業力は依然として怪物理的であり、目覚めさせてはならない。


■ 大日本帝国(The Rising Anomaly)

現状:

史実(指数10〜15程度)と比較し、約2倍〜3倍の実質国力を計上。

これは「円ブロック」による資源の安価な調達と、「鋼紙」による輸入代替効果(鉄・革の節約分を他へ投資)によるもの。

強み:

完全雇用: ニューディール政策の前倒しにより、国民の士気と生産性が極めて高い。

資源自立: 「鋼紙」と「焼尽薬莢」の実用化により、戦略物資(鉄・銅)の海外依存度が40%低下。

エネルギー: ペルシア・シホテルーシからの独自ルート確立により、英米石油メジャーの支配を脱却。


■ ソビエト連邦(The Red Threat)

現状:

スターリンの「第一次五カ年計画」が進行中。世界恐慌を嘲笑うかのように重工業化を推し進めている。

日本の「北の動脈シホテルーシ」と接しており、地政学的に最大のライバルとなりつつある。

分析:

日ソ両国とも「計画経済」の成功例として、世界から奇異の目で見られている。

1930年代後半には、日ソ間での「ユーラシア東部の覇権」を巡る緊張が高まることは不可避。


■ ドイツ(The Desperate Eagle)

現状:

敗戦の賠償金と、頼みの綱だった米資本の引き揚げにより、経済は死に体。

しかし、その技術力と国民の不満エネルギーは凄まじい。

日本の関与:

日本はドイツに対し、「円ブロックへの技術輸出(化学・機械)」を提案中。

「ドルがないなら、バーターで日本の食料・繊維と、ドイツの機械を交換しよう」という誘いは、困窮するドイツ企業にとって救いの手となっている。


3. 分野別「戦略係数」比較


軍事力に直結する重要分野における、日米の比較(日本を100とした場合)。


―――――――


分野 日本対 米国

鉄鋼生産 100 対 600

備考 圧倒的差だが、日本は「鋼紙」で代用するため実質差は縮まる。


石油確保 100 対1,200

備考 依然として大差。ただし日本は備蓄と独自ルートで「干上がらない」体制を確立。


造船能力 100 対 150

備考 恐慌で米造船業が停止している間に、日本は巨船量産で急速に肉薄中。


熟練工数 100 対 80

備考 米国は失業で熟練工が散逸中。日本は教育強化で急増中。


国民士気 極大 極小

備考 最も重要な戦略差。


―――――――


4. 総力戦研究所の結論

好機ウィンドウ・オブ・オポチュニティは、今後10年にあり」

現在、世界でまともに「国家が機能している」のは、日本とソ連のみである。

米英が恐慌の泥沼から這い上がるまでの今後10年間(1930-1940)が、日本がアジア・太平洋における「既成事実(要塞化・経済圏確立)」を作り上げる唯一絶対の期間である。


この期間に「20カ年計画」の前半を完遂すれば、米国が回復した際にも、もはや軍事力で日本を屈服させることは不可能となる(コストが見合わないため)。


提言:

対外拡張(軍事侵攻)は極力控え、米英を刺激せず、ひたすら内需拡大とインフラ構築に邁進すべし。

「静かに、しかし速やかに、怪物になれ」





承知いたしました。

「総力戦研究所」の冷徹な計算の下、1920年代から継続的な「先行投資」が行われた結果、1930年(昭和5年)時点でのこれら4カ国は、史実とは全く異なる「基礎体力の充実」を見せています。

あくまで「1930年時点」の断面図として、各国の国力(経済・軍事・インフラ)を推計。



1. シホテルーシ共和国(沿海州共和国)

役割: 北の資源庫・対ソ防波堤

史実ではソ連領ですが、この世界線ではシベリア出兵後に傀儡化、あるいは緩衝国家として独立を維持している想定です。


* 経済力: 「満州に次ぐフロンティア」

* 主要産業: 林業、漁業、そして鉄鉱石・石炭の採掘。

* 1930年の状況: 日本資本による鉄道網(南満州鉄道の規格)がウラジオストクからハバロフスク方面へ整備中。日本向けのパルプ(鋼紙原料)と石炭の供給基地として、経済成長率は非常に高いですが、人口密度が低いため内需は小さい。

* 推計: 経済規模は「北海道」の0.7倍程度。ただし、鉱工業生産力は急激に上昇中であり、フライアッシュ(石炭火力)の原料供給源としても重要。


* 軍事力: 「国境警備隊レベル+日本軍」

* 自国軍は軽装備の警備隊(数個師団)程度。

* 実質的な防衛は、駐留する日本軍(関東軍・シベリア派遣軍)と、新設された早期警戒レーダー網(千里眼)が担っています。


* 日本の支援:

* 港湾整備(ウラジオストクの不凍港化・ドック拡張)。

* 農業指導(寒冷地稲作・大豆)。




2. シャム王国タイ

役割: 南の盟主・大英帝国への楔

史実では1932年に立憲革命が起きますが、この世界線では経済的繁栄により王室の権威が安定、あるいは親日政権による穏健な改革が進んでいるでしょう。


* 経済力: 「東南アジアの優等生」

* 主要産業: 米(世界有数の輸出国)、錫、ゴム。

* 1930年の状況: 日本との「互恵通商条約」により、英仏の経済的植民地支配から脱却しつつあります。日本の商社がゴム園や鉱山を開発し、その対価として「円(Yen)」が大量に流入。


* 推計: 史実の倍近い外貨準備高を保有。「アユタヤ級ポケット戦艦(30.5cm砲搭載)」を発注できるだけの国家予算があることが、その豊かさを証明しています。


* 軍事力: 「小粒だが精強」

* 海軍: 英国製の旧式艦を廃棄し、日本製の新鋭艦(長良型の準同型艦や駆逐艦)へ更新中。1930年時点では「アユタヤ級」はまだ起工直後ですが、既に東南アジア最大の「自立した海軍」を持ちつつあります。

* 陸軍: 日本の教官団による近代化。装備の日本製化(三八式歩兵銃(新式弾調整済み)など)が完了。

* 日本の支援:

* バンコク港の浚渫と近代化(5万トン級タンカーが入港可能に)。

* 鉄道の複線化支援。




3. ペルシア帝国イラン

役割: エネルギーの心臓・中東の盟主

レザー・シャー・パフラヴィーの近代化改革が、イギリス(アングロ・イラン石油会社)の搾取ではなく、日本の「技術提携」によってブーストされています。


* 経済力: 「オイル・ボナンザ(石油ブーム)」

* 主要産業: 石油(原油・精製)、絨毯、農業。

* 1930年の状況: 史実では石油利益の大半を英国に吸い上げられていましたが、日本が「5万トン級タンカー」による大量輸送と「適正な価格」を提示したことで、国家収入が激増。

* 推計: 中東地域で突出した工業国になりつつあります。アバダン製油所周辺には、日本企業との合弁による精製プラントや化学工場(パルプ・肥料)が立ち並び、建設ラッシュに沸いています。


* 軍事力: 「急速な機械化」

* 石油収入を背景に、陸軍の機械化(トラック・装甲車)が進行。

* 海軍は、ペルシア湾の自国権益を守るため、日本から**「沿岸防備艦(海防艦)」や「高速魚雷艇」**を購入し、英国海軍への牽制力として機能し始めています。


* 日本の支援:

* パイプライン敷設技術と、製油所プラントの提供。

* カスピ海〜ペルシア湾を結ぶ縦貫鉄道の建設支援(対ソ・対独物流ルート)。




4. エチオピア帝国

役割: アフリカの橋頭堡・セルロース農場

史実では1930年にハイレ・セラシエが皇帝に即位。イタリアの侵攻(1935年)に怯える時期ですが、この世界線では「日本の盾」があります。


* 経済力: 「プランテーション国家としての自立」

* 主要産業: コーヒー、綿花(セルロース原料)、金。

* 1930年の状況: 日本の繊維産業・化学産業(鋼紙)が必要とする高品質な綿花を大量に輸出。その代金でインフラ整備が進んでいます。

* 推計: まだ最貧国の部類ですが、「飢餓がない」「道路がある」「外貨がある」という点で、周辺のアフリカ諸国とは一線を画します。国家財政は黒字化しており、イタリアにつけ込まれる隙(借金)がありません。


* 軍事力: 「ゲリラ戦ではない正規軍へ」

* 史実では旧式銃を持った民兵が主力でしたが、1930年時点で日本製の「三八式歩兵銃(新式弾調整済み)」と「軽機関銃」が行き渡り、日本陸軍の顧問団による「陣地防御訓練」を受けています。

* まだ戦車や航空機は少ないですが、「イタリア軍が攻めてきても簡単には負けない」レベルの士気と装備を維持。


* 日本の支援:

* ジブチ鉄道(仏領)に依存しない独自の物流ルート整備の調査。

* 農業試験場の設置と、綿花栽培の指導。


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