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古の灯火  作者: 丸亀導師
第一次世界大戦
34/83

南洋諸島海戦

南洋諸島海戦 


1914年8月1日、東京・海軍軍令部。


夏の陽光が、軍令部の建物に差し込み、作戦室の空気を重くしていた。

欧州からの電報が、次々と届いていた。

サラエボ事件から数週間。


オーストリアのセルビア宣戦布告、ロシアの動員、ドイツのフランス侵攻。事態は、急速に拡大していた。戦線は拡がり、一つの戦争と言うにはあまりにも大規模で、世界的な展開が見えていた。


海軍軍令部長の秋山真之少将は、この戦争がどこまで拡がるのか、予想を立てていた。

このまま行けば、人類が経験したことのない大規模な戦争になるだろうと。そうなれば、戦争の継続期間は日露戦争の比ではない。1年で終われば良いほうだ。

最悪の場合数年間は続くだろうことが、容易に結論付けた。


そんな事を考えながら、彼は軍令部作戦室の机の上に広大な太平洋を臨む地図を広げ、参謀たちに指示を出していた。


彼は、日本海海戦の英雄として知られ、海上での機動と偵察を重視していた。

この大戦は、海軍にとって新たな試みを試す絶好の期間であり、同時に試練でもあった。


この連携が成功すれば、日本帝国陸海軍の採用する研究会の戦略・戦術が、完全なものであるという確信が持てる。


「ドイツの太平洋拠点は、カロリン・マーシャル・パラオ諸島に散在している。

これらを無力化するため、連合艦隊の即時出撃を準備せよ。

各部署との連携を怠るな、陸軍にも根回しをしておけ。」


真之のそんな言葉に参謀の一人が、電報を報告した。


「外務省から、英国との連携を確認する連絡が入っています。

同盟履行として、ドイツ権益の処理を求められています。」


その一言は、真之の予想した通りの事態が、起こっていることを示していた。戦争は欧州だけではない、世界中に広がっている欧米植民地、各地域に広がる様々な勢力同士がぶつかるということなのだ。

真之は頷報告に頷きながら、指示を飛ばす。


「外務省と密接に連携せよ。

英国の要請に応じつつ、我々の権益確保を優先する。

青島攻略は陸軍主導だが、南洋諸島は海軍の責任だ。

海上封鎖を徹底し、南洋諸島に潜むドイツ太平洋艦隊をあぶり出す。」


外務省との連携は、迅速に進んだ。

外務大臣牧野伸顕は、英国大使との会談で、太平洋島嶼の占領を同盟の義務として確認。帝国海軍の正当な武力行使を担保とし、同時に領土に対しても、公認したということだ。


日本は、ドイツの極東権益を無力化し、アジア・太平洋の安定を確保する立場を明確にしながら、迅速な動きに転じた。


軍令部は、外務省の外交的裏付けを得て、作戦計画を具体化したし軍の移動を開始した。

作戦計画の核心は、ドイツ太平洋艦隊の退避阻止と島嶼の早期占領だった。

これにより、同盟国である英国に対する海上的優位をある程度担保しつつ、帝国海軍の抑止力の誇示を意味した。


連合艦隊は、金剛型巡洋戦艦を先頭に、巡洋艦・駆逐艦を展開。

航空機研究部隊の海上飛行隊が、艦隊に搭載された。

水上偵察機約10機が、巡洋艦から発艦可能となり、偵察範囲を大幅に拡大する。

帝国海軍始まって以来の、初めての遠洋航行作戦となる。


これらの事案に対して秋山は、参謀に言った。


「海上飛行隊の搭載を急げ。

敵艦隊の位置を、上空から把握する。艦隊軌道の試験も、並行して実施せよ。」


海上で最も難しい事は、敵の位置を正確に把握することである。野山のない海は、目印の無い草原に同じである。

航空偵察は言わば、艦隊にとっての目であり耳であると言えよう。


それに付随して、艦隊軌道の試験は、研究会の影響下の無線通信と偵察機を活用したものだった。


艦隊の進路を柔軟に調整し、敵の退避を予測・阻止する。

言うは易いが、この行動は有史以来誰も成し得なかった行動である。

これこそ航空機の、海上戦闘への積極的抜擢がなせる、戦術であった。


演習で証明された軌道変更が、実戦で初めて試される。


陸軍との連携も、密接だった。揚陸部隊の展開方法を、合同で立案し、陸軍の工兵・歩兵部隊を、運送艦で輸送。

島嶼上陸時は、海軍の砲撃支援と偵察機の観測射撃を組み合わせる。


揚陸は、敵港を奪取または、舟艇と自動車の併用で、迅速な展開を図った。

観測射撃までの動きは、慎重に計画された。偵察機が敵拠点を特定し、無線で座標を伝達。

巡洋艦の砲撃で制圧後、揚陸部隊が上陸。



帝国海軍の動きは非常に迅速であり、連合艦隊は、横須賀・呉から8月23日には出撃準備を完了した。

山屋他人長官は、旗艦で最後の確認を行った。


「外務省の裏付けは得た。陸軍の揚陸部隊も完了し、海上飛行隊の搭載も終えたか…。」


秋山は、静かに言った。


「連合艦隊はこれより出撃せよ。ドイツ東洋艦隊の及び太平洋泊地に対する攻撃を行う。陸海の戦力を持ってして、敵の太平洋での動きを完全に封殺するものである。」


その言葉と共に艦隊は、太平洋へと出撃した。

港には大勢の国民の見送りがおり、彼らの武運長久を願っていた。


南洋諸島海戦は、始まろうとしていた。



―――

南洋諸島海戦(1914年8〜10月、ドイツ領太平洋島嶼占領作戦)で参加した日本海軍の主要艦艇は、連合艦隊の主力部隊を中心に構成されました。


研究会の影響による偵察・機動重視と効率化が反映され、迅速な展開と無血占領を優先した編成です。以下に、主な参加艦艇を艦級ごとに整理して記述いたします。


連合艦隊主力(山屋他人長官指揮)


戦艦: 河内型 2隻(河内、摂津)

主力火力として砲撃支援を担当。30.5cm連装砲4基の背負式配置で、島嶼要塞の制圧に寄与。


巡洋戦艦: 金剛型 4隻(金剛、比叡、榛名、霧島)

高速機動部隊の中心。偵察・追撃を主眼に、ドイツ艦隊の捕捉を支援。


装甲巡洋艦: 出雲型 4隻(出雲、磐手、吾妻、八雲)

艦隊護衛と偵察支援。気球・水上偵察機の母艦として運用。


防護巡洋艦: 千歳型・須磨型など合計10隻程度

偵察・護衛任務。海上飛行隊の搭載艦として、水上偵察機の運用を担当。


駆逐艦・水雷艇部隊


駆逐艦: 約30隻(峯風型相当、神風型相当、その他初期型)

雷撃戦・護衛・島嶼接近任務。高速で敵小型艦艇を掃討。

水雷艇: 約20隻

近海偵察と揚陸支援。


補助艦艇

給油艦: 神威型 2隻(神威、鶴見)

長距離作戦の燃料補給を確保。

運送艦: 能登呂型 2隻(能登呂、百鷹)

揚陸部隊・資材の輸送を支援。

工作艦・病院船: 明石型 1隻、病院船1隻

修理・衛生支援。


航空関連

海上飛行隊: 水上偵察機約10機(共同研究部隊から派遣)

巡洋艦・運送艦から発艦。敵艦隊・島嶼の偵察を担当し、作戦の成功に決定的貢献。


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