それでも生きる…大切な時間
それでも生きる…大切な時間
――アンナと、わたしと、不安と希望。
パニック障害と共に生きて、もう四十年以上になります。
一人で出かけるのが怖くて、乗り物に乗ると心がざわつく。
そんな日々の中で、わたしのそばにいてくれたのが――アンナでした。
アンナは、ペットであり、家族であり、わたしの心の支えでした。
不安で震えるとき、アンナのまなざしは、何も言わずにわたしを包んでくれました。
まるで「だいじょうぶだよ」と言ってくれているようでした。
そのアンナが、この三月、静かに旅立ちました。
喪失感は大きく、家の中の風景からアンナの気配が消えたとき、
心のどこかにぽっかりと穴があいたようでした。
けれど、不思議なことに、今も時々感じるのです。
アンナが、わたしの中で生き続けていることを。
娘は京都に嫁ぎ、父はすでに他界し、
いまは発達障害の息子と、八十九歳の母との暮らし。
わたしのこれからには、いくつもの不安があります。
もしかしたら、将来は施設に入ることになるかもしれない――
そんな想像をするとき、心がざわつきます。
それでも。
わたしにはまだ、できることがあります。
小さなパソコン教室を続けたり、
今日一日を無事に終えることに、そっと感謝したり。
不安と希望は、いつも並んでいる。
アンナと、わたしと、不安と、そして希望。
どれも、わたしの人生をつくってきた、大切な時間の一部です。
泣く日もある。怖い夜もある。
それでも、生きています。
今日も、明日も、たぶん、きっと。
読者へのメッセージ
もし、あなたが「もうだめかもしれない」と思う日があっても、
どうか忘れないでください。
不安があるからこそ、希望を見つけたときの光は、やさしく胸にしみるのです。
誰かと比べなくていい。
昨日より少し元気じゃなくてもいい。
ただ、「生きている」だけで、ちゃんと意味があると思います。
あなたの今日が、どうか穏やかでありますように。
そして、ひとりではないと、ほんの少しでも思えますように。