20140405酔漢の唄
酔漢の唄
2014年04月05日13:52
全体に公開みんなの日記20 view
編集する
■現代人を襲う「無気力症候群」
(JIJICO - 04月04日 13:10)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=180&from=diary&id=2830378
昨夜、仕事を終えて夜道へ出ると、向こうから覚束ない足取りでフラフラと歩いてくる男性がいた。
遠目にもそれと分かる酔客で、身なりも一応シャツは着ているものの、会社勤めにしてはラフすぎる。片足を少し引きずるようにして、近寄ってみれば表情は不覚なようで、人通りの多い街中を歩けば、顰蹙を買うか目を背けられるような姿だったと言えるだろう。
ただ、彼は歩きながら、唄を歌っていた。
呟くほどでもなく、張り上げるほどの声でもなく、たぶん彼自身にとって一番心地よい大きさで、少し古い歌謡曲かなにかを口ずさんでいた。
その唄が、彼の外見の印象に反して、少しの哀愁も帯びておらず、威圧的でもなければ世間を拒む風でもなく、また押し付けがましい楽しさを誰かに強要する風でもなかったので、なんだか惹き付けられてしまって、彼が遠ざかるまで耳を澄ませて聴いていた。
街中にいて、あんな穏やかな歌声を聴いたことが一度でもあったろうかと、思い返してみたが記憶にない。
今の社会に、人々の暮らしに足りないものが、あの覚束ない足取りの酔漢の唄に含まれていたように思う。




