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過日記  作者: 湖ポルル


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20151227追想3.11

追想3.11


2015年12月27日03:37


全体に公開みんなの日記304 view

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■燃料搬入中に警報、一時中断=高浜3号機、再稼働に影響なし―福井

(時事通信社 - 12月26日 20:01)

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=3778669


大津波の衝撃的な映像と、間断なく続く大小の余震に人々が不安な時間を過ごしている中で、原発の状況は切迫していった。

金曜の午後に起きた震災は、首都東京を含めた日本の経済を瞬時に麻痺させ、膨大な数の帰宅難民を生じさせた。主要な道路は、電車の不通により数を増したマイカーで溢れ返り、数時間の後には全く身動きの取れない大渋滞となった。混雑は翌朝まで尾を引き、その後も給油制限を理由にガソリンスタンド前の渋滞は数週間も続いた。

地震の後の数日は、関東ではよく晴れて寒さも薄く、皮肉なほどの好天の、うららかな週末だったことを覚えている。


定時で開かれる東電の会見は、あまり要領を得なかった。高い放射線量の数値が述べられていたが、発言者の口調は淡々として事務的に徹し、予備知識のない多くの人は、漠然とした印象を受けただけだった。

ある人はネットで知識を漁って愕然とし、ある人はメディアが伝えるレントゲンとの比較のフリップを見て拱手していた。


少なくとも3基の原発が同時に制御不能に陥り、そのうち2基は爆発という結果に至った。爆発を免れた1基も、外壁に穴が開き密閉が喪われた。

核燃料の冷却目的と称して、世界に類を見ないヘリコプター等による直接放水が行われ、その効果に疑問を抱きながらも、人々は固唾を呑んで中継の映像を見守った。

建設現場でしか目にすることのない放水車が、当時は都内の道路でも頻繁に見受けられた。東北へ向かう高速道路の規制は長く続き、災害支援の車輌だけが、葛西のインターチェンジから環状線を北に向かって行った。


原発の位置を中心に、同心円状に50km、100kmと線が引かれた異様な日本地図が、大企業の役員の部屋にさえ少なからず架けられていた。

東北の被災により工業部品の生産が停止し、経済的な影響な日本全国に波及した。

海外からの貨物船は、放射能汚染を危惧して入港を見合せた。国内から海外へ避難した日本人が、現地の空港でスクリーニングを強制された結果、入国を拒否される事件も報じられた。同様の検査と規制は、日本からの輸出品についても当然のこととして行われた。降下物による農作物への汚染は広範に及び、レストランのメニューも書き換えられた。葉物野菜への影響は特に大きく、生産現場の混乱と流通量の不足は長く続いた。

出荷制限の中心はその後、農作物から海産物へと移行していき、その一部は今日も解除されてはいない。


瓦礫の焼却処理に関して世間が紛糾するのは、少し後になってからの事だ。

当初は毎日が危機の連続で、憤りと失望と淡い期待とが世に充ちて、被災者もそうでない人も多大な影響を免れなかった。

事前の通達も十分でないまま電力の計画停電が実行されたのもこの頃だった。まだ稼働中だった他の地方の原発から、関東に電気が送られもした。ネット上では電力会社や関連企業、その社員に対する憎悪の声が渦巻いていたが、現実社会での襲撃に至った例はほとんどなかったものと見られる。


震災から5年に近付き、日本各地では無謀にも原発の再稼働に向けた動きが進む。

東日本は勿論のこと、それ以外の地域についても、同様の事故が起き、国土と国民が将来に渡り永く汚染される恐れがあることと、原子力災害の影響の甚大さとを、今一度一人一人がよく省みるべき時期と言える。

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