1/72
20190308ビホルダー
子供の頃からなにか一つのものをジーと見てるのが好きだった。
蟻とか蜘蛛の巣や、樹の幹や切り株だとか、建物のような人工物でもいいし、空模様なんか何時間でも見上げていられる。
対象はわりとなんでもいい。石ころひとつ、鉛筆一本でも。
昔からそういう風にしていると心が落ち着いて頭も冴えてくるのだけれど、周りには気味悪がられたり心配されたりした。大人になった今では更に一層そうだろう。
でも最近では誰も彼もが、同じような目でスマホの画面を凝視しているではないか。大人も子供も、その姿だってハタから見ればたいがい変だ。
もうひとつ思うのは、自分はスマホをいくら見ていても、他の物をジーと見ている時のような充足感は、ついぞ感じたためしがないということだ。
不思議と言えば不思議だが、当たり前の事だと言い切ろうと思う。