[7.5]九尾の嫉妬と収まらぬ好奇心
スピンオフみたいな感じになってます!本編には一切関わるようなものがないので和みたい人向けな感じになってます
「大丈夫なのか?今日くらいは俺の屋敷の書庫で教えることくらいできるのに」
「グズグズしてられない!リードこれは大切な事なのよ」
「いやぁ、魔力の事もあるしそれにまだ2週間もあるんだそんなに急がなくても」
「街の状況を知るにはこの目で見て確かめるのが先決よ」
「無理して倒れたってなったら俺が怒られるんだけど」
「倒れないようにするわ!」
「根性論でどうにかなる話じゃないんだけど」
リードとソフィーは押し問答を繰り返す
「けど…!」
「焦らなくていい。それにドアの向こうでソワソワしている狐の相手をしなくちゃいけなくなったから今は横になって休むこと!とりあえず明日から再開するから魔力が不安定な時が1番安静にしなくてはいけない事を忘れないこと、あとは…」
「わ、分かったから!ちゃんと休むわ」
「監視よろしくウエル」
「任せるのじゃ」
「でもやっぱり…」
リードは軽くソフィーの額を弾く
「いたっ!」
「全く。ソフィーはバカだ。自分の体の状況も分からないのか?何かを学びたいのならその箱の中の下にある本を読むといい。華來さんお手製の学書。色々書いてあるそこから学べる事も少なくはない」
言われた通りに箱を開けて底から本らしきものを取り出した
「本とはちょっと違うのね」
「華來さんの国ではその本が主流だからな。1つ1つ筆で書き上げられている詳しい事はウエルが分かるんじゃないか?」
「我はこっちの本の方が好きじゃよ。ソフィーよ我が読み聞かせてやろう
じゃからリードをあまり困らせるでない」
バンツ!!!
勢いよくドアが空いたと思ったら綺麗な毛並みをした九尾がリードに擦り寄っていた
「あー、我慢出来なくてこうして来ちゃったらしい」
リードが撫でると九尾も嬉しそうにしっぽをふる
「そういうことだから、とりあえずはその本で我慢すること」
そう言ってリードは九尾を連れて部屋を出ていった
「まあ、そうむくれるでない。向上心があるのはよいが人を困らせては上に立つものとして威厳も保てなくなる。でも我はお主のそういう所が好きなんじゃよ。それにこの本とても興味深いものが書かれておる」
「興味深い?」
「ああ、魔力や妖力の根元についてやそれらを用いた戦い方まで載っておる。それから妖術の見分け方、ほほうこんな事まで事細かに書いてあるのか」
「ウエルばかり読むのはずるいわ。私今字が読めない病気にかかってるの、読み聞かせてちょうだい」
「もちろんそのつもりじゃよ。絵も載っておるから分かりやすい我の体だと本が持てぬから持ってくれぬか?」
「えぇ、分かったわ」
そして1人と一匹は華來の書いた本を読む
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【リードの部屋にて】
「ルシア待たせたのは謝るけどそんな膨れっ面しても可愛いだけだから」
そういいながら膝に乗せ櫛で毛をといていく
「私の主はリード様だけなのです。ご褒美だってココ最近全くないじゃないですか!」
「それは……ごめん」
「主の仕事はたくさんあるのは知ってます。でも少しのこういったスキンシップも大事なんですよ?私を娶ったのは主の方じゃないですか」
「娶ったとか絶対外では言うなよ」
「娶ったも同然ですよ。高貴な狐の妖怪九尾をこうして近くに置いているのですから」
「お前の毛で服でも作ろうかな」
「ダメです」
「それにしても……でかくなったな」
「もふもふになって一回り大きくなったんです!それにまだしっぽ6本といてないですよ。」
「はいはい…っていうかお前しっぽを1束に出来たよな?」
「なんの事ですか」
「もういいや」
無心に櫛で解いていると9つのしっぽのうち1本が一匹の狐として出てきた
「この子は主と遊びたいらしいです。でも私が先なので貴方は大人しく私のしっぽに戻りなさい」
「腕はふたつあるから大丈夫だ」
「片手間でやられるの嫌です」
グルルルル!
「なんですか。私と主を取り合うつもりですか」
「お前ら一応体の一部だろやめろ」
「フンツ!主に免じて許してあげます」
「とりあえずブラッシングするからその後で遊んであげるから大人しく、な?」
キュウ
「いい子だ」
軽く撫でると丸くなって寝始める
そしてブラッシングを再開しまた無心で毛をときはじめる
ー数十分後ー
「やっと終わった……」
「綺麗になった私どうですか?主!」
「嬉しいのは伝わったから暴れないで、ブラッシングするのは懲り懲りだから、さてまとめて遊んであげるか。ルシア他に遊びたい子が居たら出てくるように言っておいてちょっと服着替えるから」
ルシアの毛で服が白くなりつつあった
「俺の服ほんとに少ないな…いつも同じ(ちゃんと洗っている)のを着てるから違うのは変な感じがするな」
クローゼットを探るが動きやすそうな服が今着ている服しか無いことを思い出す
(だけど服を綺麗にする魔法苦手なんだよな。この服には武器は少なくとも20は入ってるけど他の服は忍ばせずらいうえに動きにくい…明日は国を案内しつつ服でも買うか)
そしてリードが服に悩んでいる中遊びたい者は10匹となっていた
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「よし!お前らこれをとりにいけ!」
勢いよく木の枝を10本分を均等に投げる
して彼の服装は女メイドの服になっていた!
(この服意外と快適だな。スカートのせいでなんか落ち着かないが武器は少なくとも10は入った!これなら敵なんか来ても殺せる)
リードがこんな考えをしているうちに狐達は走って木の棒をリードに渡す
「偉いな」
よしよしと順番に頭を撫でる
「主!木の棒飽きた!」
一匹の狐はそう言う
「流石に275回は飽きるよな。じゃあボール遊びでもするか」
そう言うと狐たちは喜ぶようにリードの周りをかける
「怪我しないようにちゃんと前とか見るんだぞ。それ」
(木の棒がボールになっただけであまり変わってないな)なんて事を考えるのはやめた
「おやおや〜。リードさん狐達と遊んでる暇あるんですか〜?」
「ゲッ、」
上から来たのはイリヤだったが服装を目にすると黙って写真を撮った
「別に女装の趣味はないからな。あとその写真機寄越せ破壊する」
「こんな面白いもの誰が渡すもんですか。ってそれにこの状況助けてよ」
「みんなイリヤが遊んでくれるって大いに付き合って貰うといい」
「いやいや!オレ公務中なんだけど!たまたま見つけて来てみたらそんな格好でいたからちょっと写真に残しただけじゃないか」
「俺とも遊んでもらおうか!」
頬をナイフが掠める
「ヒィ!ちょっと待って話し合おう!話せば分かる!お互い言語があるだろう?!」
「そんなものはない!皆あいつを捕まえろ!今日の獲物だ」
狐たちはイリヤを捕まえようと追ってくる
「あのー!オレ公務中だから残念ながら遊べないからー!聞いてます?リードさん!っ!あっぶね妖術使うのはなしじゃん!!こっちは数で負けてるんだけど!?それにさっきから後ろを追いかけてくるナイフにオレの心臓もたないんですけど!?」
「俺とも遊んでもらうって言っただろう。これだけじゃないからな!」
先ほどよりも鋭利なものが飛んでくる
「木の枝ってこんな鋭利になるものだっけ?!」
「俺のこんな姿見て生きて帰れると思うなよ!」
「あ、走らなくてもいっか」
そう言って宙に浮き始めた
「お前卑怯だ!宙なんかに浮きやがって」
「さっきから高速で飛んでくる木の枝を受け止めてるこっちの身にもなってよ」
「こっちは変えの服がなくてこんな服装なのにっ!」
「イメチェンじゃなかったのー?」
「イメチェンじゃない!ルシアのブラッシングしてたら毛だらけになったんだよ。」
「ちょっと待って風刃は聞いてないって!それに俺魔法の天才だから綺麗にするくらい余裕だからそれでチャラにしてください!」
「写真機」
「写真機はお宅の狐ちゃん達におもちゃにされて壊れてます」
視線をやると壊れた写真機があった
「許す」
ホッと胸を撫で下ろすイリヤ
「で、汚れちゃった服は?」
「これ」
「確かにこれは…というかいつも服綺麗にしてくれてる人は?」
「ルシアだ。だけど今はメイドの気分じゃないから出来ない」
「あー、、なるほど」
イリヤは気を取り直して服を綺麗にする魔法を唱えた
「やった。これでこの服とはおさらばだ」
一瞬で着替えるとリードはイリヤを見る
「先程はすまなかったな。あいつらも満足したらしいほら」
指を指す方向を見ると一匹の九尾がいた
「満足したなら良かった、はぁ疲れたよ。ソフィーに会ってもいい?」
「ダメだ。療養中」
「分かったよ。でも写真機新しくしないと」
「何か必要な事でも?」
「"映え"を撮りたくて」
「ばえ?」
「うん。最近若い子の中で流行ってるらしいよ。写真機を使っていい具合にとれた写真とかを友達とかと見合うらしい」
「写真機を壊したのはこちら側の責任者だ。これで好きな写真機でも買えばいい」
「これは!!良いのか?!?!」
嬉しそうに見つめるイリヤに頷いてみせる
リードが先程渡したのは龍の鱗だ。他の国でも通用するくらいには高値がつく龍の鱗は屋敷を建てられるくらいの価値がある。だが龍の鱗は物を買うと同時に硬貨へと変わる
「前に華來さんがくれたんだ。使う機会も無かったがこれで幾らでも高い写真機が買えるだろ?」
「写真機買ったらまずはオレら統括者組の集合写真撮ろ!」
「気が乗れば、な」
「素直じゃないね。まあ、そろそろ公務に戻るから」
またねーといって去っていった
「あ、」
そしてリードは3ヶ月前の噂について聞くのを忘れていた
「まあ、いっか。屋敷に戻るぞルシア」
そのまま夜が更けていった