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尻叩きカウント17

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

「超高速通信開きます」


 食堂で隊長に抱えられたと思ったらそのままどこかに連行された。

 目隠しはされなかったけど、こんな広い場所普通に迷うと思うんだよ。

 実際何処通ってきたかうろ覚えだ。

 で、たぶんだけどここはブリッジ。

 夢で見たのとよく似ている場所だし、外の映像も見えるし、よく見ればレーダー表示なんかも見える。

 ……あ、今画面には映ってないけどあのコロニーの近くか。

 待機中って事かな。


「よう、伯爵」


「やぁウルフ大佐、今は辺境コロニーの視察と新型機のテストに向かっていると記憶していたけどトラブルかな?」


「トラブルもトラブル、そりゃすげえぞ。とりあえず今戦闘ログと、交戦後拾ったデータ、それからコロニーの映像を送った。確認してくれ」


 指をパチンと鳴らすと手紙のマークが相手に届いたように表示され……伯爵っていったか隊長。

 お貴族様と繋がりがあるとは聞いてなかった……まぁ、軍の中でそこそこの地位にいるならそういう事もあるのかな。


「これはこれは、随分と不愉快な情報だ。けどこっちの戦闘ログは面白いね」


「だろ?」


「途中まではフランソワ少尉の動きだね。教本通りだけど、だからこそ弱点が丸わかりで面白みがない。けど途中からパイロットが変わったのか、学校でやったら教官にぶん殴られるような挙動しているね。その小脇に抱えた子と何か関係あるのかな?」


「それやったのこいつだよ」


「はははっ、面白い冗談だね。いつそんなセンスを身につけたんだい?」


 伯爵さま、目が笑っていない。

 こちらを値踏みするような視線だ。

 ならばこちらも遠慮なく……目はライトグリーンで、左手薬指につけてなければだいたい盗んでも問題ないタイプの宝石みたいな色だ。

 けど後々面倒だし換金する場所も無いから積極的には狙わない獲物。

 金髪は伸ばし続けているのか片目を隠して、背中の方では一本に結んでいるみたいだ。

 画面越しでもサラサラしているだろうなと言うのがわかるくらいに奇麗だけど、触れない方がいいタイプになってくる。


 話題として出すのもまずいだろう。

 肌は白を通り越して血管が透けているような青白さ、もしかしたら何かの病気かもしれない。

 結論、地位とか知らなくても近寄らない方がいい類。


「……面白いね。僕を観察していたよ、その子」


「だろ? こいつは銀の鍵の可能性が高い」


「銀の鍵だって? おとぎ話じゃないか」


 聞き覚えの無い単語だ。

 いや、なんか夢で似たような事言ってたような……だめだ、誰がどんなこと言っていたのかまで思い出せない。


「ふーむ、君がそこまで入れ込むのはまぁいいよ。それでデータもそれなりに集まった。コロニーの対処もこっちでするけど、君は何が欲しいのかな?」


「手っ取り早くて助かるぜ。こいつらの戸籍を作ってほしい」


「なるほど、こいつらでいいのかな?」


 ん? 私以外にも誰かいるのか?


「名前はどうする」


「男女の双子だからな。鼠関係の苗字かミドルネーム入れておいてくれ」


「了解した。じゃあ軍役は君の部隊から出した潜入調査官と言う事にして活動歴をでっち上げておく」


「で、どっちもパイロットってことにしておいた方が面倒は無いだろうな。ついでに兄の方は潜入中に体調を崩して療養だ」


「いいだろう。新型二機を支給するよ。それと……それは男じゃないのか?」


「女だ。といっても少尉が脱がすまで男か女かわからなかったがな。一人称も俺だったのを矯正しているらしい」


 うむ、うっかり俺と言うとフランソワ少尉に持ち上げられて尻を叩かれる。

 滅茶苦茶痛いからボロを出さないように頑張っているが、食堂に行くまで3回くらい叩かれたし、ここに来るまで5回は叩かれた。


「兄の方はどこで療養していることにするんだい?」


「機体を貰うんだ、うちの船で……と言いたいところだがあんたの所にいるって事にした方がいいだろうな」


「だね、君の船でも隠せなくはないが、隠し通すのは無理だ。かくまうのもね」


「そういうこった。その分こっちも一つプレゼントとしてこいつの戦闘データをくれてやるよ」


「それはありがたい。最近退屈していたんだ。今回の手間に見合うだけの成果があれば、相応のお礼をするよ」


「はっ、そう言って礼なんか貰った事ねえぞ?」


「手間に見合うだけのものがあればって言ってるじゃないか。君がくれるデータの大半がつまらない物ばっかりなんだ。でも、また君と遊ぶのも面白いかもしれないね」


「そっちに行く機会があったら相手してやるよ。ただ……」


「うん、そうだね。もし本当に彼女がそうなら、その方が面白いかもしれないね」


 なんの話をしているのかわからないけれど、私が何かの標的になっているのは確かだ。

 普段なら逃げているが、こうして小脇に抱えられているため逃げられないのと、宇宙空間を飛んでいる船から逃げる方法を私は知らない。

 だから諦めるしかないな。

 それにわからないはいいが、知らないは命取り。

 銀の鍵が何を意味するのかを調べないとここを動けない。

 だから、あんたらの思惑に乗ってやる!

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