場所によっては平均半日
その後全身余すことなく磨き上げられた俺、もとい私は着替える事になったのだが……。
「支給品で悪いけど下着も服も揃ってるわよ。シャワー前に気付けて良かったわ」
「タオルでも十分と言ったんだが、よくサイズがあったな」
「幼年学校の子供とか、あとは軍の施設で育った子なんかが前線に出る事もあるからね。あぁ、危険な仕事じゃなくて体験としてだから安心して」
あんなド田舎の辺境コロニーで死にかけて安心とはこれ如何に。
「で、これはどういうものなんだ?」
「え?」
小さな布切れが二枚。
ズボンとシャツ、それと上着に帽子はわかるが……。
「下着、わからない?」
「どういう用途なのかは知ってるけど着方も着る意味もわからない」
「……常識から教えなおさなきゃダメかしら」
「裸なんか見られたところで困らないだろ。むしろ繁殖のためなら無駄な布はいらないはずだ。なにより資源が限られている」
将来的にはそうもいかなかったかもしれないけど、私の場合は股間さえ見られなければ男扱いだったから下着の必要性も感じなかった。
いつも適当な服を盗んで着ていたし、周りの奴らもそうだった。
性別を気にするのは一部の男だけだったが、そいつらが厄介だったんだよなぁ。
あと性別問わない変態。
「必要だから着るのよ、特に女の子は今後大変だから」
「……あぁ、生理ってやつか」
「はいお口チャック。そういう生々しい話は他の人の前じゃしちゃいけません」
「じゃあどうすれば?」
「あとで色々教えてあげるから今は無口なふりをしているといいわ」
それなら得意だ。
スラムって言うのは好む好まざるに関係なく情報が集まる。
ただ、それを口外した瞬間そいつはいなかった事にされるだけだ。
裏も表も関係なく、スラムで得た情報は扱うなが暗黙の了解だったなぁ。
「とりあえずパンツの履き方はわかるでしょ。で、こっちのスポブラがシャツと同じ要領で……あとはできるわよね」
問いには無言で頷く。
「よろしい、というか呑み込みが早いわね」
じっと目を見つめる。
「えっと、喋っていいわよ」
「私達は必要なければ半年以上口をきかない事もあるから」
「それって、やっぱり環境が原因?」
「あそこはそういう場所だった。脅されたけれど、たぶん監獄コロニーの方が生きるのには苦労しない」
「……えっと、一応言っておくと監獄コロニーだと危険な労働もあるの。だから新人の平均寿命は半年と言われているわ」
「スラムは3日と言われていた」
誰が言い出したかわからないけれど、監獄だろうとスラムだろうと掟と言うのは存在する。
それに適応できる人間だけが生き残り、それ以外は死ぬ。
極端な話、共に寝起きしている人間に殺されないだけ監獄の方がましだ。
「……そんなところでどうやって生きてきたか聞いても、いえ、まって、やっぱり食事をしながらにしましょうか」
「いわゆる飯の不味くなる話だけど、それでもいいなら」
「えぇ、隊長達も一緒に食事をすることになったの。なんと左官用の専用食堂よ」
何か凄いらしいけど……わからん。